【上海2016年8月16日PR Newswire=共同通信JBN】2年間の準備期間を経て、第1回Shanghai Isaac Stern International Violin Competition(SISIVC、上海アイザック・スターン国際バイオリンコンクール)の開会式が上海シンフォニーホールで挙行され、続いて記者会見とスピーチが行われた。スピーチを行ったのはShanghai Municipal Administration of Culture, Radio, Film & TV のアートディレクター、ウー・シャオミン氏、上海交響楽団(Shanghai Symphony Orchestra)の音楽監督でコンクール組織委員会委員長のロン・ユー氏、上海交響楽団の団長でコンクール組織委員会の執行委員長フェディナ・ジョウ氏、China Pacific Insurance (Group) Co., Ltd.(CPIC、中国太平洋保険)会長のガオ・グオフー氏、審査委員会共同委員長のデビッド・スターン氏とベラ・ツー・ウェイリン氏。開会式では審査委員会メンバーとコンクール出場者も観客に紹介された。
▽文化推進と才能養成
チャイコフスキー、エリザベート王妃、パガニーニ、ヴィエニャフスキなどの著名なコンクールは長らく世界の音楽愛好家の注目を浴びてきた。中国経済が発展するに従い、中国市民の文化的行事に対する需要も伸びており、高水準のコンクールを実際に見てみたいとの要求も高まった。フェディナ・ジョウ氏は「そうした長年の要求が中国でのSISIVCの創設によりようやくかなえられることになった。しかも上海の芸術的、文化的風景は一段と美しくなった。われわれはSISIVCが世界中から優秀なコンテスタントをここに呼び寄せたのを見てうれしく思う。彼らの存在は、中国のオーディエンスのための音楽祭で現在の世界の優れたバイオリン演奏の水準を楽しむことができることを保証している」と述べた。
SISIVCは中国が主催するトップレベルの国際コンクールとしてその独自性を示すため、セミファイナルに出場するコンテスタントはいずれも、著名な中国の楽曲であるバイオリン協奏曲「バタフライラバーズ」を課題曲の一部として演奏することになる。このコンクールの主要後援者であるCPICによって授与される「最優秀中国作品演奏賞-CPIC賞」は、コンクール候補者がその才能を中国の楽曲に振り向けるよう鼓舞することになろう。今後もSISIVCは、コンクールを中国の作曲を評価するプラットフォームとして活用し、そうした評価を世界に広める努力の一環として、中国の既存の楽曲や新曲を課題曲に指定する方針である。
組織委員会はまた、国際的な音楽事務所や交響楽団の代表者たちが新たな優秀な才能を発掘するためコンクールを訪れ、これらの才能がキャリアとして花開くのを支援することを明らかにした。コンクールのオーガナイザーである上海交響楽団に加え、中国フィルハーモニック・オーケストラ、広州交響楽団、メルボルン交響楽団、シドニー交響楽団などのオーケストラも将来性のあるコンテスタントに演奏契約を提供することを約束している。ロン・ユー氏は「SISIVCの創設は、世界の才能を有する人たちにその腕前を発表するためのプラットフォームを提供するだけでなく、より重要なのはコンテスタントたちをクラシック音楽文化の大使に養成することである。われわれはクラシック音楽を再活性化させ、推進するために、SISIVCを通じて包括的な才能養成機関の樹立を期待している」と語った。
▽著名ゲストであふれた楽しいステージ
15人の著名ゲストがステージを埋めた開会式の記者会見は印象的な光景だった。コンテスタントたちと審査員らが別々の入り口からステージに入ってきたが、それはコンクールが開かれた公正で透明性のあるものだとのコンクールのコミットメントを反映するもので、組織委員会がコンテスタントと審査員との緊密な接触を明確に避けようとしたものだった。審査委員会共同委員長のベラ・ツー・ウェイリン氏は「準備期間中われわれは、現行の国際コンクールのルールや過去に審査パネルに参加したわれわれ自身の経験や洞察を参考にしながら、コンクールのルールについて繰り返し議論した。これらの努力のすべては、コンテスタント全員が集中して音楽を演奏できるようにするために、すべての人に公正さをもたらすことを狙ったものだ」と説明した。ゲストたちに見守られる中、コンテスタントたちはファーストラウンドの演奏の順番を決めるくじを引くために1人ずつステージに現れた。セミファイナルとファイナルの演奏順番はそれぞれファーストラウンドおよびセミファイナルラウンドの終了後にくじ引きで決定される。
コンテスタントたちにはコンクールの熱戦開始までもう2日足らずしか残されていない。4日間にわたる第1ラウンドの結果、最大18人が1週間にわたるセミファイナルに進み、その後残った6人がファイナルラウンドで競い合う。コンクールに適正な環境を提供するため、オーディエンスは撮影機能の付いたすべての電子機器をコンクール会場内に持ち込まないよう指示されるし、審査委員さえも携帯電話の会場内持ち込みが認められない。
▽超人気のチケット、TVとウェブでライブ放送
セミファイナルの入場券は発売開始後1週間足らずで売り切れた。ファイナルラウンドの低価格の入場券がわずかばかり残っているだけだ。第1ラウンドの予約はほぼ満席。コンクールのオーディエンスは、遠くは北京、天津、四川、西安、そして一部は海外からもやってくる予定。
組織委員会はこうした人気の高い需要に対処するよう十分準備している。フェディナ・ジョウ氏は記者会見で、SISIVCがLeTV Music およびSMGと協力することを明らかにした。協力によると、SMGはファイナルラウンドをArt Channelで現場での解説付きでライブ放送する予定。この放送はまた、SMGとLeTV Musicとの協定によりLeTV Musicのウェブサイトの特別SISIVCセクションでライブストリーミングされる。北京国際音楽祭やヴェルビエ音楽祭など広範なライブイベントのストリーミング経験を有する公的なオンライン・パートナーとしてLeTV Musicはセミファイナルをライブストリーミング配信する。第1ラウンドのビデオは、Weibo、WeChat、YouTube、Facebookなどの同コンクールのオフィシャル・ソーシャルネットワーク・チャンネルで視聴できる。
▽挑戦的な要求と特別な賞
2015年9月の創設発表以来、SISIVCはその著名な審査委員会メンバー、挑戦的で難しい課題曲要求、そして世界最高の入賞賞金額で世界の注目を浴びた。審査委員会の強力さは長い間存続しているいかなるコンクールのそれにも匹敵するものである。委員会は、様々な角度から候補者の潜在能力をよりよく評価するために、著名なソリスト、卓越した教育専門家、および他の楽器部門のアーティストで構成されている。
SISIVCのコンテスタントへの厳しい要求は、その義務的な課題曲に反映されている。ほかのコンクールがセミファイナルラウンドでは一般的に60分間のリサイタル演奏を求めているのに対し、SISIVCはコンテスタントに対し、2つの課題協奏曲-ピアノ伴奏つきのバイオリン協奏曲「バタフライラバーズ」と室内オーケストラを伴うモーツアルトのバイオリン協奏曲第3番(カデンツァ部分は自作の即興曲で)-とソナタ1曲、さらにシューベルトまたはブラームスのピアノ三重奏曲の第1楽章の演奏を求めるという難題を突き付けている。いかなるコンテスタントも、相当な才能と事前準備がなければこの要求に応えることができないであろう。こうした挑戦的な条件は疑いなく、それをクリアして誕生する受賞者をすべての人にとってより納得させるものにするだろう。
SISIVCはまた、独自の「アイザック・スターン賞-ヒューマンスピリット賞」を創設した。音楽を通じて人類に貢献した個人(人物)の努力を象徴するストーリー募集の公開呼び掛けが既に実施され、米国やブラジルなど多くの国から熱狂的な回答が寄せられた。ロン・ユー氏、ゲスト審査員ヨーヨー・マ氏とスターン・ファミリーは共同で受賞エントリーに関して決定、9月2日のコンクールのファイナルラウンドの日に発表される。受賞エントリーで特集された個人は招待され、スターン・ファミリーから賞を授与される。ヨーヨー・マ氏は「彼の精神が今も生き続けているとは、われわれは何と幸運なことだろう。それは彼が指導した多くの人々(それには私自身も含まれるが)を通じてであり、彼の素晴らしいレコーディングと演奏を通じてであり、彼の子供たちそれぞれの人生や音楽への献身を通じてであり、映画「From Mao to Mozart」(毛沢東からモーツアルトへ)が記念した彼の中国への旅を通じてであり、そして今やアイザック・スターン・ヒューマンスピリット賞を通じてである。私はこの賞の最初の受賞者に祝意を表したい」とコメントした。