【ニューヨーク2022年9月13日PR Newswire=共同通信JBN】
*腫瘍制御機構を標的とする新規の治験薬およびFDA承認済み治療薬の精密かつメカニズムに基づく同定と臨床評価に向けた「患者からモデル、さらに患者へとつながる(PMP)」ロードマップが明確に
ニューヨークを拠点とするバイオテクノロジー・抗がん剤創薬企業DarwinHealth, Inc.(www.DarwinHealth.com )は、同社独自の抗がん剤創薬・検証パイプライン「腫瘍制御機構を標的とする治療薬の同定・検証のための「患者からモデル、さらに患者へとつながる(Patient-to-Model-to-Patient、PMP)」抗がん剤およびバイオマーカー創薬プロトコル」が2022年9月9日、「カレント・プロトコル」(Wiley Science)にオンライン掲載されたと発表した。
ここで紹介した論文へのリンク: https://currentprotocols.onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/cpz1.544
研究者らが掲載論文で指摘しているように、DarwinHealthの基礎となっている薬剤、バイオマーカー、および新規がん標的創薬パイプライン・技術を象徴する「患者からモデル、さらに患者へとつながる(PMP)」プロトコルは、現在、抗がん剤開発のアキレス腱となっている、(a)がん細胞の状態の機構的・生物学的ドライバーおよび決定因子の特定、(b)がん細胞の転写状態を支配する、治療上重要な分子標的の特性化と標的化、(c)試験環境下での臨床反応の正確な予測因子となる有効なバイオマーカーの生成-という、創薬とヒト試験での評価の成功に必要な3つの重要要素の間に正確で予測可能な関連性を構築できていないという問題に真正面から取り組んでいる。
精密ながん治療や創薬の妨げとなっているこうした障壁は、がんの不均一な性質によってさらに複雑になっており、DarwinHealthグループは、単一細胞解析と独自のアルゴリズムツールを組み合わせ、転写同一性状態に基づく腫瘍のサブタイプ分類を可能にすることで、この課題に対処している。
DarwinHealthが発表したPMPアプローチは、がん生物学向けの腫瘍構造に基づく枠組みを活用し、計算アルゴリズムと実験的方法論を採用してヒトのがん細胞の制御論理を再構築・徹底調査し、新規および既存の薬剤による「腫瘍チェックポイント」の同定と治療標的化を行う。重要なのは、PMPプロトコルが、特定の患者の腫瘍サンプルから、腫瘍チェックポイントを構成するマスターレギュレーター(MR)タンパク質を体系的に同定することである。そして、遺伝子発現プロファイル(RNAシーケンシング)を使い、患者の腫瘍チェックポイントを再現することにより、組織状況特異的な薬剤の作用機序をさらに解明するため、適切な細胞株および動物モデルとなる体外および体内モデルを同定する。
こうした適合モデルを使用することで、バイオマーカーに基づく正確な薬効の前臨床検証が可能になり、その結果、より高度なPDX検証や、この技術を使って現在行われているヒト試験に移行することができる。特に、薬剤の作用機序と患者の腫瘍チェックポイントの正確な同定を組み合わせることで、研究中の薬物療法に最も反応しそうな患者を対象とする前向き臨床試験を充実させる、個別化された、メカニズムに基づくバイオマーカーが提供できる。
科学ジャーナリストのForest Ray博士は、genomewebにオンライン掲載した記事で、DarwinHealthの論文と同社の技術について、そのPMP医薬品・バイオマーカー創薬プラットフォームの科学的・商業的意義を解説している。リンクは以下の通り。
筆頭著者でDarwinHealth計算生物学シニアディレクターのPasquale Laise博士は「PMPは、患者を中心に据えたシステムバイオロジー主導のプロトコルで、高度な計算手法と、正確な単一細胞解析を取り入れた実験的アプローチを統合し、創薬を最適化、迅速化する」「このプロトコルは完全に一般化されており、あらゆるがん種やサブタイプに適用できるが、PMP創薬パイプラインの各ステップは、個々の患者サンプルの腫瘍の分子プロファイルに合わせて調整されているため、メカニズム・バイオマーカーと関連性のある異なる薬理型を示す患者の大規模集団を特定することもでき、バイオマーカー指向の臨床試験の成功の可能性も最大化できる」と指摘した。
腫瘍チェックポイントの同定と薬剤ベースの標的化は、抗がん剤開発に特化したDarwinHealth独自の方法論の大きな特徴である。DarwinHealth最高科学責任者(CSO)のMariano Alvarez博士は「PMPプロトコルは、がん細胞の転写アイデンティティー(表現型の状態)を制御する制御タンパク質(つまりマスターレギュレーター)のコアセットを同定し、標的とするための体系的アプローチで、これが、「化合物から臨床(Compound-2-Clinic(C2C))」開発ロードマップが他の全ての利用可能な戦略と違うところだ」「重要なのは、がん遺伝子中毒の概念を、普遍的に存在するがん細胞状態の転写調節因子へと拡大することで、全ての腫瘍を詳細に分析できることだ。このプロトコルは、患者の腫瘍組織から直接マスターレギュレーターを分離することでサークルを閉じる。そして、同種の体外モデルでの実験で解明されている薬剤の状況特異的作用機序を利用し、パイプラインが、最も重要な臨床試験で評価中の薬剤の治療反応を予測する」と解説した。
PMPプロトコルは、がん治療やバイオマーカー開発に対する現在のアプローチの欠点や限界に対処するべく設計されている。DarwinHealthの共同創業者でコロンビア大学システムバイオロジー学部教授兼学部長(https://news.columbia.edu/news/deciphering-cancer-messy-and-complex-were-here-it )のAndrea Califano博士は「ビルが数多くの柱に支えられ、どれか1本が欠けても建物全体が崩壊しないようになっているのと同様、がん治療の最適かつ永続的アプローチは、複数の腫瘍依存性を同時に標的とする必要がある」「今回の論文のハイライトである抗がん剤創薬の技術とアプローチは、腫瘍細胞の異常状態と制御プログラムを維持する役割を担っているマスターレギュレーター・タンパク質に代表される、腫瘍の脆弱性の全レパートリーを標的とすることで、がんの遺伝子治療に重要な補完性を提供している」と説明した。
DarwinHealthのPMPプラットフォームと創薬パイプラインは、同社が、新規がん標的の同定、新規バイオマーカーの生成、医薬品開発に焦点を当てた数多くの科学的共同研究や提携で採用してきた基盤技術を補強している。DarwinHealthの共同創業者兼最高経営責任者(CEO)のGideon Bosker博士は「当社が発表した「患者からモデル、さらに患者へとつながるプロトコル(PMP)」は、患者の腫瘍サンプル中心の、システム生物学に基づく抗がん剤創薬パイプラインで、精密腫瘍学や免疫腫瘍学の分野で幅広く応用できる」「カレント・プロトコルに発表した「化合物から臨床」薬剤開発や検証パイプラインの各ステップは、計算アルゴリズムと実験データの統合によって活用され、プロトコルが細胞株から動物モデル、そして最終的に臨床応用のために患者へと進む際に、標的とする制御構造(「腫瘍チェックポイント」)と評価中の薬剤の作用機序(MOA)が一貫して作用的に関連付けられているようにするものだ。PMPモデルは、そのがん生物学の文脈における普遍性から、血液がんや固形がんに幅広く適用され、現在、この創薬技術に基づいて数多くの臨床試験が行われている。さらに、腫瘍微小環境におけるTreg、線維芽細胞、マクロファージなどの細胞サブタイプ間の免疫反応の最適化と免疫抑制効果の低減にPMP技術を応用すれば、免疫抑制細胞の表現型状態を再プログラムすることで、免疫チェックポイント阻害剤の反応を救済する薬剤の開発に向けた最も有望な軌道の1つになる」と解説した。
PMPプロトコルの商業的応用が継続的に改良・拡大されているDarwinHealthのように、体系的に展開されれば、PMPに基づくがん標的、バイオマーカー、創薬パイプラインは、腫瘍制御機構と免疫中心細胞の制御機構の両方を標的とする治験薬、独自薬、食品医薬品局(FDA)承認済み治療薬の精密かつMOAベースでの同定に向けたロードマップを提供できる。
▽DarwinHealth(ダーウィンヘルス)について
DarwinHealth:Precision Medicine Therapeutics for Cancer Medicineは、CEOのGideon Bosker医学博士とコロンビア大学システムバイオロジー学部長兼クライド・アンド・ヘレン・ウー化学システムバイオロジー教授のAndrea Califano教授が共同で創業した、「がんの最前線」のバイオ技術に焦点を当てた企業である。同社の技術は、過去15年にわたりCalifano研究室で開発され、コロンビア大学から独占的にライセンス供与されている。
DarwinHealthは、独自のシステムバイオロジー・アルゴリズムを活用し、事実上、全てのがん患者を、治療成果の上がる可能性が最も高い薬剤や薬剤の組み合わせと一致させる。Bosker博士は「逆に、同じアルゴリズムで、ヒトの悪性腫瘍の全スペクトルに対する未知の潜在力のある治験薬や化合物の組み合わせや新たながん標的に優先順位を付けることもできる」「これは、化合物パイプラインの最適化と機序的に実行可能な新たながん標的と、化合物と腫瘍の組み合わせの発見の両方を追求している製薬会社にとって極めて有益だ」と説明した。
DarwinHealthの社是は、システムバイオロジーに根ざした新たな技術を展開して、がん治療の臨床転帰を改善することである。その核となる技術であるVIPERアルゴリズムは、がんの実行可能な新種の治療標的であるマスターレギュレーター・タンパク質の密に結合したモジュールを識別できる。この方法論は2つの補完的な軸によって適用される。まず、DarwinHealthの技術は、がん細胞の制御ロジックのより根本的かつ深い段階で、創薬可能な標的の体系的な識別、検証をサポート、同社と同社の研究パートナーが、根本的かつより普遍的な腫瘍の依存性と機序に基づく次世代の効能を引き出すことができるようにする。第2に、医薬品の開発と創製の観点から、マスターレギュレーターをベースとする潜在的に創薬可能な新たな標的とそうした標的のアップストリーム・モジュレーターの特定が同じ技術でできる。腫瘍チェックポイントの解明と標的化に重点を置いたDarwinHealthの腫瘍構造アプローチは、ここに、精度重視のがん治療薬の創製と治療を前進させるために最も重要なソリューションとリポジショニング・ロードマップを提供している。
DarwinHealthが採用している独自の精密医療ベースの手法は、同社の重要なコンピューターインフラを共同開発したDarwinHealthのCSO、Mariano Alvarez博士をはじめとする研究首脳が著した膨大な科学文献に裏付けられている。こうした独自の戦略は、コンピューター上、体外、体内の分析データを統合することにより、がん細胞のゲノムワイドな制御とシグナル伝達ロジックをリバースエンジニアリングし分析する機能を活用している。これにより、医薬品資産の正確な開発曲線を解明、加速、検証できるよう設計された完全統合型の薬物特性評価・発見プラットフォームを提供、臨床および商業化の可能性がフルに実現できる。詳細については、www.DarwinHealth.com を参照。
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