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オミクロン変異株と抗オミクロン抗体JMB2002の新たな特性で画期的発見

Jemincare
2022-01-04 17:34 1601

【上海2022年1月4日PR Newswire=共同通信JBN】Jemincareのバイオ医薬品部門と中国科学院(CAS)上海薬物研究所(SIMM)の共同研究により、Jemincareのバイオ医薬品部門が発見した抗SARS-CoV-2中和抗体(NAb)JMB2002は、SARS-CoV-2のオミクロン変異株にも有効であることが確認された。

Jemincareバイオ医薬品研究開発センターのSu-Jun Deng博士率いる研究者チームと、H. Eric Xu教授とWanchao Yin博士率いるCAS・SIMMの研究者チームは、オミクロン変異株に対するJMB2002の結合と偽ウイルス中和活性を確認しただけでなく、オミクロン・スパイクタンパク質とACE2およびJMB2002の複合体の構造をそれぞれ解明した(図1および図2)。共同研究により、オミクロン変異株の感染力増強と免疫回避のメカニズムが分子レベルで明らかになり、これまでに報告されたNAbとは異なるJMB2002のユニークな結合メカニズムが実証された。オミクロン変異株とJMB2002の新たな特性に関する発見の詳細については、bioRxivのプレプリント・ウェブサイトで公開されている(参考文献 1)。

図 1.ACE2と結合したSARS-CoV-2オミクロン変異株スパイクタンパク質RBD複合体の構造。A. ACE2-RBD複合体の全体的な構造とコンフォメーション。B. RBD-ACE2の相互作用インターフェース。C. RBD・2量体の相互作用インターフェース
図 1.ACE2と結合したSARS-CoV-2オミクロン変異株スパイクタンパク質RBD複合体の構造。A. ACE2-RBD複合体の全体的な構造とコンフォメーション。B. RBD-ACE2の相互作用インターフェース。C. RBD・2量体の相互作用インターフェース

最新の研究成果により、JMB2002はオミクロン変異株に対する高い結合活性を有し、強力なオミクロン疑似ウイルス中和作用を示すことが明らかになった(図 2A、2B)。承認済みや臨床段階にあるSARS-CoV-2中和抗体医薬品の多くが、オミクロン変異株のスパイクタンパク質の多重変異により、中和活性を失うか、中和能力が大幅に低下していることを考えれば、朗報である。 

オミクロン変異株の感染力増強の理由の1つは、そのスパイクタンパク質・受容体結合ドメイン(RBD)のSARS-CoV-2受容体ACE2に対する結合能力が、野生型よりも高いからである。このため、オミクロン変異株を標的とした特異的な治療用抗体の開発が急務となっている。Jemincareの研究者らは、JMB2002 Fabとオミクロン変異株のスパイクタンパク質との結合親和性が、WTのそれより4倍高いことを発見した(図 2A)。さらに重要なのは、H. Eric Xu教授のグループが、オミクロン・スパイク3量体とJMB2002の複合体の構造を解明したことで(図 2C)、この構造から、JMB2002がRBDの背面に結合するという、新しいコンフォメーションを持つユニークな結合エピトープであることが分かった(図 2D)。これにより、JMB2002は、これまで報告されている全ての中和抗体と異なる結合メカニズムを持つ、クラスVの中和抗体に分類すべき、新しいクラスのSARS-CoV-2中和抗体であることが示唆された。疑似ウイルス中和試験の結果は、JMB2002がデルタ型を除く、世界保健機関(WHO)が懸念される変異株(VOC)に分類している全変異株を標的とする広域中和抗体であることを示している(参考文献 1)。

図2. A. JMB2002Fabの、オミクロン・スパイクタンパク質とWTとの結合。B. 疑似ウイルス中和試験における、WTおよびオミクロン変異株に対するJMB2002の生物活性中和。C. オミクロン・スパイクタンパク質RBDのJMB2002およびACE2との結合複合体の比較。D. クラスVの中和抗体(NAb)に分類すべきJMB2002の、オミクロン・スパイクタンパク質に対する新たな結合エピトープ
図2. A. JMB2002Fabの、オミクロン・スパイクタンパク質とWTとの結合。B. 疑似ウイルス中和試験における、WTおよびオミクロン変異株に対するJMB2002の生物活性中和。C. オミクロン・スパイクタンパク質RBDのJMB2002およびACE2との結合複合体の比較。D. クラスVの中和抗体(NAb)に分類すべきJMB2002の、オミクロン・スパイクタンパク質に対する新たな結合エピトープ

JMB2002は中国での第1相臨床試験を終了

JMB2002は2021年6月、中国の健康なドナーを対象とした第1相臨床試験を終了、優れた安全性と望ましい薬物動態(PK)特性が確認された。JMB2002は2021年3月、米国での臨床試験が承認された(IND 154745)。Jemincareは現在、2000L級のバイオリアクターで、さらなる臨床試験に十分なだけのJMB2002原薬を生産している。

▽Jemincare Group Co., Ltd.について

中国の著名製薬会社の1つであるJemincareは、高品質の医薬品を患者に提供することに注力しており、長年、中国の製薬会社トップ100中、トップ10にランクインしている。Jemincareは2018年から上海張江科学城(Shanghai Zhangjiang Science City)に研究開発センターを設立し、500人を超える研究者を採用してきた。同研究開発センターは、生物製剤、小分子、新規薬剤送達システムなどの革新的な技術プラットフォームを構築し、腎臓病、腫瘍、心血管・脳血管疾患、呼吸器疾患、感染症、小児病、疼痛の革新的治療法の開発に取り組んでいる。

詳細については、www.jemincare.com を参照するか、PR@jemincare.com に問い合わせを。

参考文献

1. Structures of the Omicron spike trimer with ACE2 and an anti-Omicron antibody: mechanisms for the high infectivity, immune evasion and antibody drug discovery, https://doi.org/10.1101/2021.12.27.474273.

 

 

ソース: Jemincare