【プリマスミーティング(米ペンシルベニア州)2021年2月24日PR Newswire=共同通信JBN】
*第1B相臨床試験は、アフリカで実施されるラッサ熱の初の試験
*目標は、第2相試験後にワクチンを備蓄製品として緊急使用できるようにすること
*INO-4500の進展は、INOVIOの感染症との闘いへの重点的かつ継続的取り組みの反映
*試験は、感染症流行対策イノベーション連合(CEPI)が全額費用負担
感染症やがんから人々を守り、治療するための精密設計DNA医薬品の迅速な市場投入に重点的に取り組むバイオテクノロジー企業INOVIO(NASDAQ:INO)は23日、ガーナにおける同社のラッサ熱DNAワクチン候補INO-4500の第1B相臨床試験で、最初の参加者が投与を受けたと発表した。ガーナのアクラにある野口記念医学研究所で行われている第1B相臨床試験(LSV-002)は、ラッサ熱が風土病である西アフリカで実施される同感染症の初のワクチン臨床試験である。INO-4500は、ヒト臨床試験に入る初のラッサ熱ワクチン候補でもある。
INOVIOは、新興感染症ワクチン開発のための研究プロジェクトを支援するため、公的、私的、慈善、市民社会組織の資金を活用しているグローバルパートナーシップ「感染症流行対策イノベーション連合(CEPI)」から費用を全額負担してもらいINO-4500の開発を進めている。INOVIOは既に2018年にCEPIから5600万ドルの助成金を受けており、その下でラッサ熱と中東呼吸器症候群(MERS)のワクチン候補を開発している。INOVIOとCEPIは、第2相試験後に備蓄製品として緊急使用できるよう、可及的速やかなワクチンづくりに取り組んでいる。
INOVIOの社長兼最高経営責任者(CEO)であるJ. Joseph Kim博士は「米国で実施された第1相臨床試験では、INO-4500ワクチン接種により持続性のある抗体およびT細胞免疫反応の発現が観察された。これを受けてINO-4500が第1B相試験に入ったことは、ラッサ熱との闘いにおけるさらなる重要なステップだ。この試験は、INOVIOの感染症ポートフォリオにとっても大きな前進であり、当社のDNA医薬品プラットフォームと独自送達デバイスCELLECTRA(R)の有効性をさらに確かなものにしてくれる」と語った。
Kim博士は「これは、当社のCOVID-19DNAワクチン候補INO-4800のINNOVATE第2/3相試験の第2相部分で、送達に使用されているのと同じデバイスだ。当社のワクチンプログラムに対するCEPIの継続的サポートと信頼に感謝しており、ラッサ熱のワクチン候補であるINO-4500の開発を進められるのは楽しみだ」と付け加えた。
CEPIワクチン研究開発部長のMelanie Saville博士は「われわれのパートナーであるINOVIOが、アフリカ大陸で初のラッサ・ワクチン試験を開始することをうれしく思う。本日の発表は、この致命的な出血熱との闘いにおける重要な節目だ。新興感染症は、ガーナを含む西アフリカ全体で依然として深刻な公衆衛生上の脅威であり、住民がワクチン試験に参加して十分なデータが生成され、安全性と免疫原性試験の結果次第で、将来的に流行多発地域で自信を持って展開できるようにすることが重要だ。この研究は、昨年末に西アフリカで開始された最大規模のラッサ熱疫学研究プログラムなど、同疾患の脅威を極小化するCEPI主導のより広範な研究努力にもつながっている」と語った。
臨床試験の治験責任医師で野口記念医学研究所所長のKwadwo A. Koram教授は「これは、わが国だけでなくこの小地域全体の利益のために当研究所のリソースを使用する絶好の機会だと思う。スポンサーであるINOVIO Pharmaceuticalsには感謝しており、これが感染症との闘いにおける長く実りある協力の始まりに過ぎないことを願っている」と語った。
▽INOVIOのINO-4500第1B相臨床試験について
INOVIOの第1B相臨床試験LSV-002では、アフリカ住民における安全性と免疫原性を評価することを主要評価項目として、18-50歳の成人参加者約220人を登録する。投与計画では、1.0mgか2.0mgのいずれかの投与量で0日と28日の2回、ワクチンを接種する。本試験は、INO-4500の安全性と免疫原性プロファイルに関する貴重な知見を提供するだけでなく、それを受けて西アフリカで行われる第2相試験の用量選択のための情報も提供する。
野口記念医学研究所(「同研究所」)は1979年の設立以来、アフリカを代表する生物医学研究所として世界的に認知され、ガーナと西アフリカ小地域の風土病及び新興・再興疾患の予防、管理機能を強化してきた。同研究所は、HIV/エイズ、H1N1型パンデミックインフルエンザ、ラッサ熱、黄熱病、エボラウイルス病、マラリアの治療と予防のための効果的診断機能の開発と臨床研究を主導してきた。LSV-002の主任臨床治験責任医師は、マラリアワクチンを含む20年以上の研究経験を有する熱帯医学のベテラン専門医で疫学者でもあるKwadwo A. Koram教授・博士である。
▽ラッサ熱について
ラッサ熱は、主に西アフリカの一部でみられる動物媒介性の急性出血性ウイルス性疾患である。感染は、感染したげっ歯類との接触、および体液を介した人から人への感染(主に医療現場で)を通じて広がる。同疾患は、発熱、嘔吐、顔のむくみ、胸部、背部、腹部の痛み、目や鼻など体の様々な部位からの出血、そして死という広範な転帰をもたらす可能性がある。西アフリカでは年間10万人から30万人がラッサウイルスに感染していると推定されており、同地域の入院の10-16%を占めている。同ウイルスが原因で、年間約5000人が死亡している。
ラッサ熱の診断が難しい、標準化された監視・評価法がない、大流行が起きるのが通常、西アフリカの遠隔地であることが多いといった理由から、報告されている症例数、死者数は実際の症例数、死者数より大幅に少ない可能性が非常に高い。ラッサウイルスに感染した人の大多数(約80%)は無症状か軽度の症状を示すだけだが、それ以外の人にとって感染は、死に至るほど極めて深刻なものになる可能性がある。ラッサ熱で入院した患者の致死率は約15-20%だが、入院患者の致死率が50%に達した流行例もある。ラッサ熱専用の認可済みのワクチンあるいは治療法はない。
▽INOVIOのDNA医薬品プラットフォームについて
INOVIOには、ヒトパピローマウイルス(HPV)関連疾患、がん、さらにMERS関連コロナウイルス、感染症流行対策イノベーション連合(CEPI)と米国防総省の助成金を得ているCOVID-19疾患を含む感染症に焦点を当てた15のDNA医薬品臨床プログラムがある。DNA医薬品は、コンピューターシーケンス技術によって合成または再編成され、体内で特定の免疫反応を発現させるよう設計された小さな環状の2本鎖構造である、最適化されたDNAプラスミドから成る。
INOVIOのDNA医薬品は、CELLECTRA(R)と呼ばれるINOVIO独自の携帯スマートデバイスを使用して、最適化されたプラスミドを筋肉注射または皮内注射で細胞に直接送達する。CELLECTRA(R)デバイスは、短い電気パルスを使い、細胞に小さな孔を可逆的に開けてプラスミドを注入、その他のDNAや、mRNAなど他の核酸アプローチの大きな制約を克服した。細胞内に入ったDNAプラスミドは、細胞が目的とする抗原を生成できるようにする。抗原は細胞内で自然に処理され、望ましいT細胞と抗体を介した免疫反応を引き起こす。CELLECTRA(R)デバイスで投与することで、DNA医薬品が体の細胞に直接送達され、そこで直ちに免疫反応を引き起こしにかかることが可能になる。INOVIOのDNA医薬品は、個人のDNAをいかなる方法でも妨害したり、改変したりすることはない。INOVIOのDNA医薬品プラットフォームの利点は、DNA医薬品の設計と生産の速さ、保管、輸送中に冷凍の必要がない製品の安定性、臨床試験で観察されてきた持続性のある免疫反応、安全性プロファイル、忍容性である。
3000人以上の患者が様々な臨床試験において、7000以上の適用でINOVIOの治験DNA医薬品を投与されており、INOVIOには世界中の差し迫った健康ニーズを満たす可能性を秘めたDNA医薬品候補を迅速に生み出してきた確かな実績がある。
▽INOVIOについて
INOVIOは、感染症、がん、HPV関連疾患を患う人の治療や予防用の精密設計DNA医薬品の迅速な市場投入に重点的に取り組むバイオテクノロジー企業である。INOVIOは、独自のスマートデバイスを介して体内の細胞にDNA医薬品を直接送達し、持続性、忍容性の高い免疫反応を発現させられることを臨床的に実証した最初で唯一の企業である。具体的には、前がん性子宮頚部異形成に対する第3相試験が現在行われているINOVIOの主力候補薬VGX-3100は、第2b相臨床試験で高リスクのHPV16型、18型を死滅させ、除去した。高リスクHPVは、子宮頸がんの70%、肛門がんの91%、外陰がんの69%の原因となっている。HPV関連がん、希少HPV関連疾患である再発性呼吸器乳頭腫症(RRP)、非HPV関連がんである多形膠芽腫(GBM)や前立腺がんを対象とするプログラムも開発中で、外部資金によるジカ、ラッサ熱、エボラ、HIV、MERS関連コロナウイルスおよびCOVID-19疾患の感染症DNAワクチン開発プログラムもある。パートナーおよび共同研究者には、Advaccine、ApolloBio Corporation、アストラゼネカ、ビル&メリンダ・ゲイツ財団、感染症流行対策イノベーション連合(CEPI)、米国防高等研究計画局(DARPA)/化学・生物・放射性物質・核防衛統合計画事務局(JPEO-CBRND)/米国防総省(DoD)、HIV Vaccines Trial Network、国際ワクチン研究所(IVI)、Kaneka Eurogentec(カネカユーロジェンテック)、Medical CBRN Defense Consortium(MCDC)、国立がん研究所、国立衛生研究所、国立アレルギー・感染症研究所、Ology Bioservices、パーカーがん免疫療法研究所、Plumbline Life Sciences、Regeneron(リジェネロン)、Richter-Helm BioLogics、サーモフィッシャーサイエンティフィック、ペンシルベニア大学、ウォルター・リード陸軍研究所、ウィスター研究所が含まれている。INOVIOは、取締役会の20%以上が女性の企業を顕彰する「2020 Women on Boards」の 「W」称号も授与されている。詳細については、www.inovio.com を参照。
▽CEPIについて
CEPIは、将来の流行を阻止するワクチンを開発するため2017年にダボスで創設された、公的、私的、慈善、市民組織間の革新的なパートナーシップである。COVID-19の発生を受け、CEPIは世界保健機関(WHO)と連携し、極めて迅速に動いた。CEPIは、新型コロナウイルスのワクチンを開発するため、11のパートナーシップを開始した。プログラムは、CEPIが既にサポートしている迅速対応プラットフォームと新たなパートナーシップを活用する。目標は、COVID-19ワクチン候補をできるだけ早く臨床試験に進めることである。
COVID-19発生前のCEPIの優先疾患には、エボラウイルス、ラッサウイルス、中東呼吸器症候群コロナウイルス、ニパウイルス、リフトバレー熱、チクングンヤ熱ウイルスが含まれていた。CEPIはまた、未知の病原体(疾患X)に対する迅速なワクチン、免疫予防の開発に使用できるプラットフォーム技術にも投資した。最新のアップデートについては、ニュースページ(page )のフォローを。 Twitter(Twitter )、LinkedIn(LinkedIn )でもフォローを。
▽問い合わせ先
メディア向け
Jeff Richardson
267-440-4211
jrichardson@inovio.com
投資家向け
Ben Matone
484-362-0076
ben.matone@inovio.com