- ELZONRISは欧州で初めて承認されたBPDCN患者の治療薬かつCD123標的療法薬である
- 承認は、治療未経験あるいは治療歴のあるBPDCN患者にこれまで実施されてきた最大の前向き臨床試験の結果に基づくものである
フィレンツェ(イタリア)
2021年1月22日
/PRNewswire/ -- イタリアの株式非公開製薬・診断会社Menarini Groupは21日、欧州委員会(EC)が、悲惨な転帰を伴う侵攻性の血液悪性腫瘍、芽球性形質細胞様樹状細胞腫瘍(BPDCN)の成人患者の第一選択治療として、ELZONRIS(タグラクソフスプ)の単剤療法を承認したと発表した。ECの決定は、2020年11月の欧州医薬品庁(EMA)ヒト用医薬品委員会(CHMP)の肯定的見解を受けたもので、治療未経験あるいは治療歴のあるBPDCN患者にこれまで実施されてきた最大の前向き臨床試験の結果に基づくものである。
ELZONRISは欧州で希少疾病用医薬品指定を受けており、これでBPDCN患者向けの欧州初の承認済み治療薬、そして、この満たされていない高い医療ニーズに対応する欧州初の承認済みCD123標的療法薬となった。Menarini GroupのElcin Barker Ergun最高経営責任者(CEO)は「欧州のBPDCN患者にとって、この侵攻性の悪性腫瘍に合った治療の恩恵を受ける初めてのチャンスがやってくる。ELZONRISの承認は、BPDCNの治療アプローチに大きな変化をもたらす可能性がある。この恐ろしい病気に苦しむ患者を助ける標的療法を臨床医に提供するからだ。当社は、重篤な健康状態の人々に革新的、効果的な医薬品を提供するというコミットメントの一環として、ELZONRISを欧州で可能な限り短期間で利用できるようにするべく取り組んでいる」とコメントした。
ELZONRISは、CD123を標的とする標的療法薬で、既に米食品医薬品局(FDA)によって承認され、米国では2019年から、現在はMenarini Groupの傘下にあるStemline Therapeuticsが販売している。
ELZONRISは、2018年に米食品医薬品局(FDA)によって承認され、現在、成人および2歳以上の小児患者のBPDCNの治療に使用できる。
▽欧州連合内でのELZONRIS(R)について
ELZONRIS(R)(タグラクソフスプ)は、芽球性形質細胞様樹状細胞腫瘍(BPDCN)の成人患者の第一選択治療の単剤療法薬に指定されている。ELZONRISは、抗がん剤の使用経験のある医師の監督下で投与すること。
▽米国におけるELZONRIS(R)について
CD123を標的とする標的療法薬ELZONRIS(R)(タグラクソフスプ)は、米食品医薬品局(FDA)によって承認され、成人および2歳以上の小児患者のBPDCN治療薬として米国で市販されている。米国内の全処方情報については、www.ELZONRIS.com を参照。
ELZONRISは、慢性骨髄単球性白血病(CMML)、骨髄線維症(MF)、急性骨髄性白血病(AML)など他の症状に対しても追加臨床試験で評価が行われており、その他の試験も計画されている。
▽BPDCNについて
かつては芽球性NK細胞リンパ腫と呼ばれていたBPDCNは侵攻性の血液悪性腫瘍で、皮膚症状を伴うことが多く、経過は予後不良である。BPDCNは通常、骨髄と皮膚あるいはそのいずれかで発症、リンパ節や内臓で見つかる場合もある。BPDCNの由来細胞は、形質細胞様樹状細胞(pDC)前駆細胞である。BPDCNの診断は、CD123、CD4、CD56の免疫表現型診断、およびその他のマーカーに基づいて行われる。世界保健機関(WHO)は2008年、それまで芽球性NK細胞リンパ腫、無顆粒CD4+/CD56+血液皮膚腫瘍などと呼ばれていた同疾患を「BPDCN」と命名した。詳細については、BPDCN疾患啓発ウェブサイトwww.bpdcninfo.com を参照。
▽CD123について
CD123は、芽球性形質細胞様樹状細胞腫瘍(BPDCN)や、慢性骨髄単球性白血病(CMML)、骨髄線維症(MF)など特定の骨髄増殖性腫瘍(MPN)、急性骨髄性白血病(AML)(特定のAMLサブセットで濃縮される可能性もある)、骨髄異形成症候群(MDS)、慢性骨髄性白血病(CML)を含む幅広い悪性腫瘍の細胞表面に発現する標的である。CD123は、多発性骨髄腫(MM)、急性リンパ性白血病(ALL)、有毛細胞白血病(HCL)、ホジキンリンパ腫(HL)、および特定の非ホジキンリンパ腫(NHL)でも報告されている。さらにCD123+細胞は、いくつかの固形腫瘍の腫瘍内微小環境、および皮膚ループスや強皮症など特定の自己免疫疾患でも検出されている。
欧州連合・欧州製品概要(EU SmPC)からの重要な安全情報
警告と注意事項
- 生命にかかわる症例や致命的症例を含む毛細血管漏出症候群(CLS)が報告されており、ほとんどの事象は治療の最初のサイクルの最初の5日間に発生している。治療開始前に、患者に十分な心機能があり、血清アルブミンが3.2 g/dL以上であることを確認すること。治療中、血清アルブミン値は、各投与の開始前、あるいは臨床的に指示されているより頻繁に監視すること。さらに、患者はCLSの他の兆候/症状についても評価すること。患者には、CLSの症状があること、どのような時に直ちに医師の診察を受けるべきかを知らせておくこと。静脈内アルブミン補給と投与中断が必要になる場合がある。
- ELZONRISでは重度の過敏反応が報告されている。
- ELZONRIS単剤療法で治療された患者では、血小板減少症や好中球減少症が報告されている。事象のほとんどが、治療のサイクル1とサイクル2で報告され、用量制限はなく、その後のサイクルでは再発しなかった。
- ELZONRISは腫瘍崩壊症候群(TLS)を引き起こす可能性がある。
- ELZONRISによる治療は、肝酵素の上昇と関連している。高用量(16 mcg/kg)のELZONRISで治療された患者で急性肝不全と肝性脳症が報告されている。
安全性プロファイルの要約
- ELZONRIS治療中に発生する可能性のある最も深刻な副作用はCLSで、患者の18%で報告されており、CLS発症までの期間の中央値は6日だった。
- ELZONRISで治療された患者の20%以上で発生した副作用は、低アルブミン血症、トランスアミナーゼの上昇、血小板減少症、吐き気、倦怠感、および発熱だった。
- 有害事象共通用語規準(CTCAE)によるグレード3以上の副作用で、患者の5%超で発生したのは、トランスアミナーゼの上昇、血小板減少症、および貧血だった。
欧州内の全処方情報については、SmPCの全文(https://www.ema.europa.eu )を参照。
▽Menarini Groupについて
Menarini Group(Menarini Group)は、70を超える国の直接拠点を含む140カ国に拠点を持つ国際的な大手製薬会社である。同社のグローバルプラットフォームは、欧州、米国、中米、アフリカ、中東、アジア太平洋に広がり、年間売上高は42億ドルを超える。Menariniは腫瘍に集中的に取り組んでおり、米国では既に市販品があるほか、様々な腫瘍治療用のいくつかの新たな治験薬を開発中である。Menariniは130年以上にわたり、世界中の患者や医師に様々な治療領域をカバーする完全な製品ラインナップを提供するため、医薬品の開発、製造、流通への投資も行ってきた。
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