【プリマスミーティング(米ペンシルベニア州)2019年1月7日PR Newswire=共同通信JBN】
*初のヒトdMAb研究はジカ感染症を標的とする
Inovio Pharmaceuticals, Inc.(NASDAQ: INO)は7日、ウィスター研究所(Winstar Institute)、ペンシルバニア大学と共同で、ジカウイルス感染症予防のためのDNAコード化モノクローナル抗体(dMAb(TM))技術のファースト・イン・ヒューマン試験の開始を発表した。このINO-A002第1相・用量漸増試験では、安全性と耐容性の実証に加え、低用量から開始して、その後、用量を増やしていく。設計された合成dMAbがもたらす遺伝的指令は、体内に直接送達されると、治療用抗体製品を製造する工場になるよう人体細胞に指示し、抗体技術の大きな飛躍を可能にする。
Inovioの社長兼最高経営責任者(CEO)であるJ・ジョセフ・キム博士は、次のように語った。「今回のファースト・イン・ヒューマン試験開始は、Inovioにとって画期的な出来事であり、Inovioとその共同研究者が他に先駆けて開発したdMAb技術を通じた、ヒトの体内で直接生産される画期的クラスの医薬品であるDNAコード化モノクローナル抗体を、大きく前進させる潜在力がある。この試験はジカウイルス感染症を標的としているが、この研究からは、感染症、がん免疫療法、炎症、循環器疾患の治療を対象とした幅広いdMAbプログラムの開発に向け、重要なデータが得られるだろう。当社の目標は、企業連携や外部資金調達、連携で可能になった、効果の高いdMAb製品の開発につながる、モノクローナル抗体技術への新たな改善されたアプローチを生み出すことだった」
ウィスター研究所は、この革新的研究をサポートして臨床段階に進めるために、ビル&メリンダ・ゲイツ財団(Bill & Melinda Gates Foundation)から助成金を受けた。ウィスターのワクチン・免疫療法センターの取締役副社長兼所長で、ウィスターのがん研究・W・W・スミス慈善信託教授でもあるデビッド・B・ウェイナー医学博士がこの研究努力を主導し、パートナーと協力してこの新世代のDNAベース技術を前進させている。この非盲検試験は単一施設での用量漸増試験で、最大4回のINO-A002投与を受ける最大24人の健康なボランティアを登録する。この試験は、ペンシルバニア大学病院の内科教授、パブロ・テバス医学博士が主導する。
ウェイナー氏は次のように語った。「この新たなプラットフォームを開発する詳細な前臨床試験を通して、チームはCELLECTRA(R)デリバリーシステムを使用した合成DNA技術による、生体内でのdMAb製造を実証した」「(体内でつくられた)これらの抗体は、動物実験モデルにおいて疾病予防を提供する単純で安定した製剤で、改善された動態を示すことができる。われわれは、この技術の構想と開発に貢献し、合成DNAコード化モノクローナル抗体の初のヒトに対する試験に参加できることを非常にうれしく思っている。このアプローチは、従来からのMAbアプローチを超える大きな進歩の可能性を示すもので、治療戦略の幅を広げ、疾病の予防あるいは治療のための抗体ベースの治療に役立つ、新たな持続性のある市場を開く可能性がある」
従来型のモノクローナル抗体は今日、製薬市場で最も大きな部分を占めており、医薬品の売上高は年間1000億ドル以上、治療対象はがん、感染症、炎症、循環器疾患に及ぶ。dMAb製品は、合成設計と患者の体内で生産することで、この重要な医薬品部門への破壊的な参入者となる。Inovioとその共同研究者は過去数年間に、dMAbプラットフォームを推進するため、6000万ドルを超える非希釈的助成金を既に受け取った。非常に価値の高いモノクローナル抗体市場全体への破壊的参入者としてのdMAb、ならびに新たな世界的な感染症の脅威に対する迅速な対応と、深刻なワクチンの制約に対処するためのユニークな適用性に対して大きな関心が寄せられている。
この数年だけで、Inovioとその共同研究者は、致死的感染症の予防からがん撲滅、命にかかわるレベルのコレステロール値の低減まで、治療実績を伴うdMAbプラットフォームからの説得力ある前臨床データを一貫して明示する数多くのインパクトの強い論文を発表してきた。これに関してdMAbは、新たなMAb様のバイオ医薬品の迅速な生産、展開、進歩を、はるかに高い効率で進めるため、独自の機能を提供する。さらに、生体内でつくられたdMAbは、発現プロフィール、グリコシル化といった追加的優位性がある可能性があり、従来型のMAbアプローチと異なり、生体内での組織培養や費用、時間のかかる製造システムに頼らずに済む。INO-002などの研究は、この貴重なプラットフォームを拡張するための初期データを提供するために重要である。さらに、Inovioの共同研究は最近、動物実験で生体分子の抗がん作用を忠実に再現する、いくつかのdMAbチェックポイント阻害剤の開発について報告している。Inovioは、直接的あるいは資金提供を受けた研究を通じて、この分野で重要な特許権を確立した。
▽InovioのDNAベースのモノクローナル抗体プラットフォームについて
従来型のモノクローナル抗体は体外のバイオリアクター内で製造され、通常はコストのかかる大規模製造施設の開発と時間と労力のかかる製造が必要である。加えて、製造後の保管と配合安定性が、こうした製品のいくつかの到達範囲を制限してしまう。Inovioの破壊的なdMAb技術には、開発の迅速性、製品の安定性向上、製造の容易さと展開性を可能にする、新たなプラスミドベクターと独自の製法を活用した単純化設計により、こうした制約を克服する潜在力があり、究極的にはコスト効率を上げ、製品の到達範囲を広げて、様々な病気を治療するための新たな潜在的方法を提供することが可能になる。dMAbは身体の細胞内に直接届けられ、コード化されたモノクローナル抗体が局所的にトランスフェクトされた細胞によって産生される。既に公表されている研究で、エボラウイルスを標的とする高度に最適化されたDNAベースのモノクローナル抗体の単回投与が、マウスの血流中で高レベルの抗体の発現をもたらし、致死性の動物抗原投与に対する防護効果を発揮したことが示されている。追加的研究でも同様に、インフルエンザ、チクングンヤ熱、ライム、デング熱に効果のあるdMAb製剤が、致死性あるいは病原性の抗原を投与された動物を守ったことを示すデータが報告されている。同チームは、動物の前立腺がん、乳がん、卵巣がんに効果のあるdMAbの送達も報告している。
▽Inovio Pharmaceuticals, Inc.について
Inovioは、がんと感染症の治療を変革するDNA免疫療法の発見、開発、商品化に重点的に取り組むバイオテクノロジー企業である。Inovio独自のプラットフォーム技術は、次世代の抗原シークエンシングとDNAデリバリーを応用し、標的疾患に対する強力な免疫反応を活性化する。この技術は生体内でのみ機能し、標的のがんや病原体に対する強力で完全に機能するT細胞と抗体反応を、絶え間なく活性化することが実証されている。Inovioは、殺能力が関連する臨床転帰と相関するT細胞の生成を報告している唯一の免疫療法企業である。Inovioの最先端臨床プログラムであるVGX-3100は、HPV関連子宮頸がんの治療薬として第3相試験に入っている。また、頭頸部がん、膀胱がん、膠芽細胞腫を標的とした免疫腫瘍プログラム開発が第2相試験中で、B型肝炎、ジカ、エボラ、MERS(中東呼吸器症候群)、HIV用のプラットフォーム開発プログラムもある。パートナーおよび共同研究者には、MedImmune、Regeneron、Roche/Genentech、ApolloBio Corporation、ビル&メリンダ・ゲイツ財団、ウィスター研究所、ペンシルベニア大学、パーカーがん免疫療法研究所、CEPI、国防高等研究計画局(DARPA)、GeneOne Life Science、Plumbline Life Sciences、ドレクセル大学、国立衛生研究所(NIH)、HIV Vaccines Trial Network、国立がん研究所、米軍のHIV研究プログラム、ラバル大学が含まれている。詳細については、http://www.inovio.com を参照。
ソース:Inovio Pharmaceuticals, Inc.
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