#QSWUR
東京大学はアジアに於けるサステナビリティのパイオニアとして選出 日本の大学は国際性の指標で苦戦
ロンドン, 2023年6月27日 /PRNewswire/ -- 世界的な高等教育評価機関であるQS Quacquarelli Symondsは本日、世界で最も信頼性の高いと称されている世界大学ランキングの記念すべき20周年となる2024年版を発表しました。本ランキングは数ある世界大学ランキングの中でも、就業への貢献度とサステナビリティを評価基準に取り入れている唯一のランキングです。
今年度、QSはランキングの評価方法を大きく見直しました。新たにSustainability(サステナビリティ)、Employment Outcomes(雇用結果)、International Research Network(国際研究ネットワーク)の3つの指標を評価項目に加え、従来からの指標であるAcademic Reputation(学術関係者からの評価)、Employer Reputation(企業からの評価)、Faculty Student Ratio(教員一人当たりの学生比率)の配点を見直しています。
QS のSenior Vice PresidentであるBen Sowterは、次のように述べています。
「QSは現在、多くの学生・社会人や学術・企業関係者、教育機関を繋げる中心的役割を果たしています。この役割を担う中で、社会のトレンドや学生の関心の変化に対応する形で、大学がその役割を進化させています。現代の大学は世界的な課題に立ち向かうべく、これまで以上にサステナビリティや国際研究の推進、卒業生の就労支援に注力することが求められています。今回QSはこれらの新たな価値観をQS世界大学ランキングの評価基準に反映しました。」
Sowter は以下のようにも付け加えています。
「前年との比較は避けられませんが、例えるなら、同じ場所をより解像度の高いカメラで撮影した場合に被写体は同じでもより細部が見え、新たな視点から見つめることが出来る様に、今回評価方法が見直されたことを考慮した上でランキングを見る必要があります。」
QS 世界大学ランキング 2024
本ランキングは、104の国・地域、1,500大学を対象としています。この結果には、1,750万件以上の学術論文、24万人以上の学術・企業関係者の皆様からの意見も反映されています。
QS世界大学ランキング 2024:トップ10 |
|||
2024年度順位 |
2023年度 順位 |
大学 |
所在地 |
1 |
1 |
マサチューセッツ工科大学 |
アメリカ |
2 |
2 |
ケンブリッジ大学 |
イギリス |
3 |
4 |
オックスフォード大学 |
イギリス |
4 |
5 |
ハーバード大学 |
アメリカ |
5 |
3 |
スタンフォード大学 |
アメリカ |
6 |
6 |
インペリアル・カレッジ・ロンドン |
イギリス |
7 |
9 |
チューリッヒ工科大学-スイス連邦工科大学 |
スイス |
8 |
11 |
シンガポール国立大学 |
シンガポール |
9 |
8 |
UCL ユニバーシティ・カレッジ・ロンドン |
イギリス |
10 |
27 |
カリフォルニア大学バークレー校 |
アメリカ |
© QS Quacquarelli Symonds 2004-2023 www.TopUniversities.com |
日本:QS世界大学ランキング2024から読み取れるもの
QS世界大学ランキング 2024:上位500位以内にランクインした日本の大学 |
||
2024 |
2023 |
大学 |
28 |
23 |
東京大学 |
46 |
36 |
京都大学 |
80 |
68 |
大阪大学 |
91 |
55 |
東京工業大学 |
113 |
79 |
東北大学 |
164 |
135 |
九州大学 |
176 |
112 |
名古屋大学 |
196 |
141 |
北海道大学 |
199 |
205 |
早稲田大学 |
214 |
197 |
慶應義塾大学 |
355 |
312 |
筑波大学 |
446 |
豊田工業大学 |
|
472 |
338 |
広島大学 |
476 |
363 |
神戸大学 |
481 |
531-540 |
一橋大学 |
© QS Quacquarelli Symonds 2004-2023 www.TopUniversities.com |
本邦大学のパフォーマンス(詳細)
日本からは世界大学ランキングのトップ100位以内に4校ランクインしました。アジアでは中国(5校)と韓国(5校)に次ぐ成績です。アジアではシンガポールから引き続きトップ10とトップ30にそれぞれ2校ずつランクインしており、高い競争力を示しています。
日本の主要大学は世界の学術関係者から高く評価されており、5校が学術関係者からの評価で世界トップ100にランクインしています。また日本の大学は企業からの評価も高く、8校が企業からの評価で世界トップ100にランクイン、内3校は雇用結果でも世界トップ100にランクインしています。教員一人当たりの学生比率でも日本の大学は優れた成績を残しており、7校が世界トップ100にランクインしています。
一方で教員一人当たりの論文被引用数で示される研究インパクトでは、世界トップ100にランクインしたのは1校のみで、国際研究ネットワークも上位200位以内に入ったのは1校のみです。留学生比率と外国人教員比率でも、世界トップ100にランクインしたのは1校のみで、他国とは大きく差がついています。また、サステナビリティの指標でも、東京大学が素晴らしい成績を収めているものの、それ以外の大学は世界トップ100にランクインしていません。
このことから、日本の大学は全体的に高い評価を得ている一方で、国際性やサステナビリティの観点で改善の余地があることが読み取れます。
QS世界大学ランキング 2024:日本の大学の指標ごとのパフォーマンス |
||||||
評価指標 |
2023 配点 |
2024 配点 |
エントリー数増加 |
エントリー数減少 |
エントリー数変化なし |
平均スコア |
Academic Reputation(学術関係者からの評価) |
40 % |
30 % |
21 |
27 |
2 |
21.13 |
Employer Reputation(企業からの評価) |
10 % |
15 % |
26 |
22 |
2 |
26.42 |
Faculty Student Ratio(教員一人当たりの学生比率) |
20 % |
10 % |
10 |
40 |
45.63 |
|
Citations per Faculty(教員一人当たりの論文被引用数) |
20 % |
20 % |
6 |
44 |
15.54 |
|
International Faculty Ratio(外国人教員比率) |
5 % |
5 % |
6 |
44 |
15.3 |
|
International Student Ratio (留学生比率) |
5 % |
5 % |
6 |
44 |
10.98 |
|
Sustainability [1](サステナビリティ) |
N/A |
5 % |
15.22 |
|||
Employment Outcomes1(雇用結果) |
N/A |
5 % |
30 |
20 |
16.46 |
|
International Research Network 1(国際研究ネットワーク) |
N/A |
5 % |
4 |
46 |
8.74 |
|
全体 |
100 % |
100 % |
個別大学のパフォーマンス
QS世界大学ランキング 2024:評価指標ごとの日本のトップ大学 |
||||||
評価指標 |
2024 重み付け |
日本でのトップ大学 |
順位 |
スコア |
昨年からの推移 |
全体順位 |
Sustainability(サステナビリティ) |
5 % |
東京大学 |
5 |
99.7 |
N/A |
28 |
Academic Reputation(学術関係者からの評価) |
30 % |
東京大学 |
7 |
100 |
0 |
28 |
Employer Reputation(企業からの評価) |
15 % |
東京大学 |
9 |
99.8 |
0 |
28 |
Faculty Student Ratio(学生一人当たりの教員比率) |
10 % |
東京医科歯科大学 |
10 |
100 |
-3 |
611-620 |
Employment Outcomes(雇用結果) |
5 % |
東京大学 |
11 |
99.8 |
22 |
28 |
International Student Ratio(留学生比率) |
5 % |
立命館アジア太平洋大学 |
37 |
99.6 |
-12 |
801-850 |
Citations per Faculty(教員一人当たりの論文被引用数) |
20 % |
豊田工業大学 |
45 |
96.4 |
新たにランクイン |
446 |
International Faculty Ratio(外国人教員比率) |
5 % |
立命館アジア太平洋大学 |
87 |
99.6 |
-4 |
801-850 |
International Research Network(国際研究ネットワーク) |
5 % |
東京大学 |
196 |
70 |
-22 |
28 |
日本における高等教育制度の将来: 課題と展望
今回日本からは52校がランクイン、豊田工業大学(446位)、奈良先端科学技術大学院大学(1401-1500位)は初登場となりました。結果として日本は、米国(199校)、英国(91校)、中国(71校)に次いで、世界で4番目にランクインしている国となりました。
一方で、評価基準の見直しは考慮する必要がありますが、前年度と比較して42校が順位を下げ、順位を上げたのが8校に留まるという結果から、日本の大学の相対的なパフォーマンス低下が見受けられます。
また、国立社会保障・人口問題研究所によれば、2056年までに日本の人口が1億人を割り込むと予測されています。 この人口動態の変化は、日本経済に大きな影響を与えることが予想され、マッキンゼー・アンド・カンパニーが2020年に公表したレポートでは、日本が現在の経済成長を維持するには、2030年までに労働生産性を2.5倍高める必要があると強調しています。
日本政府は高等教育制度の国際化を促進すべく、2033年までに年間40万人の留学生を受け入れ、50万人の日本人学生を海外に送り出すという野心的な目標を掲げ、今後予測されている労働力不足を補い、経済成長を促すことを目指しています。
また、留学ビザの申請プロセスを効率化し、留学生の卒業後の日本での滞在を推進する為の取り組みを進めています。米国のアイビーリーグモデルにもヒントを得て、日本政府は2021年に高等教育セクターの強化を目標に10兆円(750億米ドル)の国立基金計画を発表しました。
QS のChief Executive OfficerであるJessica Turnerは、次のように述べています。
「日本が新たに掲げた留学生誘致と日本人学生の海外留学促進という野心的な目標は、高等教育における国際化のメリットが明確に認識されているものであるということを裏付けています。国際化というゴールを達成する為には、国内外からの留学生を迎え入れ、多様性を受け入れながら、知的成長が促進される教育環境を整備することが不可欠です。
日本政府は高等教育制度の国際競争力強化に注力しており、この目標を達成する為に2024年から運用予定の新たな基金制度を発表しています。政府の政策に加え、日本の大学には、積極的に国境を越えた共同研究を推進し、世界でその存在感を更に示すことを期待しています。
また、大学の成長戦略においては、サステナブルな施策が組み込まれていることも重要です。QSは、グローバルな専門知識とインサイトを活かし、日本の高等教育セクターが変革に挑戦する局面で、信頼できるパートナーとしての役割を果たすことを目指しています。」
評価方法に関する詳しい情報は、こちらで閲覧できます:
QS World University Rankings 2023 methodology (topuniversities.com)
[1] 新たに追加された指標
Logo - https://mma.prnasia.com/media2/2142268/QS_Quacquarelli_Symonds_Logo.jpg?p=medium600