ネットゼロの未来を目指し、参加組織と署名団体が企業の炭素排出と除去量の計測に関する課題解決に注力
※本ブログは、米国時間 2月 10 日に公開された "Leading organizations form the Carbon Call to address reliability and interoperability in carbon accounting for the planet" の抄訳を基に掲載しています。
サンフランシスコ, 2022年2月15日 /PRNewswire/ -- 木曜日、20以上の主要組織が、信頼性と相互運用性の高い炭素排出量計測法の開発を加速させるCarbon Callという取り組みを発表しました。これは、世界で今世紀半ばまでにネットゼロを達成するにあたって必要な取り組みです。Carbon Callは、科学組織や企業、慈善団体、政府間組織による集団での活動と投資、リソースを集結させ、信頼性が高く最新状態のデータや科学にアクセスできるようにし、それらのデータが複数の炭素計測システム間で容易に交換できるようにするものです。
気候変動に対する説明責任と帰属を示すには、温室効果ガス(GHG)の排出量を信頼性の高い方法で測定し計算しなくてはなりません。ワシントンポスト紙では、過少申告されているGHG排出量の差は「年間で少なくとも85億トン、最大で133億トンにもおよぶ」と分析しています。現在の炭素量計測は、データの質に問題があるほか、測定結果と報告内容が一致しておらず、プラットフォームはサイロ化され、インフラにも課題を抱えています。そのため特に企業では、信頼できるデータを比較して組み合わせ、共有することが困難になっているのです。
Carbon Callでは、炭素除去や土地区分、メタン、間接的排出量などに注力し、既存の世界的な炭素計測システムのギャップを見つけ出して対処します。またCarbon Callは、炭素計測レポート(または台帳)とそれを支えるデータエコシステムの双方で、設計段階から信頼性を改善し相互運用性を高められるよう、共同でより正確な情報が必要な部分を特定していきます。
Carbon CallはClimateWorks Foundationの主催によるもので、参加組織はCapricorn Investment Group、Climate Change AI、Corporate Leaders Group Europe、Global Carbon Project、Global Council for Science and the Environment、国際学術会議(ISC:International Science Council)、LF Energy、Linux Foundation、マイクロソフト、Mila、Skoll Foundation、Stanford Woods Institute for the Environment、国連環境計画(協力組織)、国連財団などです。Carbon Callの参加組織は、普遍的な計測方法論の基準開発を進め、信頼性の高いGHG排出量や除去量に関するデータへのアクセスを拡大し、デジタル計測インフラの相互運用性強化に向けた取り組みを進めます。
Carbon Callの署名団体は、より信頼性の高い相互運用可能な炭素計測レポート(または台帳)のグローバルシステムに必要な条件を整えるための支援をします。そのため署名団体は、GHG排出量とオフセット情報の報告を徹底し、排出したGHGの全スコープと種類などを毎年可視化することとします。署名団体には、Capricorn Investment Group、EY、GSK、KPMG、マイクロソフト、Wiproが含まれます。
Carbon Callからの情報は広範囲で公開される予定です。詳細についてはwww.carboncall.orgをご覧いただき、ぜひ加盟をご検討ください。
Carbon Callについて、参加組織と署名団体からのコメント
Capricorn Investment Group
Capricorn Investment Groupのマネージングパートナーであるアイオン ヤディガログル(Ion Yadigaroglu)氏は、次のように述べています。「当社では、気候変動の解決策に何十億ドルも投資していますが、このたびネットゼロへの責務を果たすため、炭素除去に対して巨大な資本を投入することになりました。ただし、気候変動危機の規模が記録できるのは、温室効果ガスの排出量と除去量の世界的なバランスを追跡できてこそなのです。当社はCarbon Callに参加することで、透明性の高い科学的根拠に基づいた炭素計測の台帳作りを支援します。これはネットゼロへの投資における重要な構成要素となるでしょう」
Climate Change AI
Climate Change AIの共同設立者兼会長で、マギル大学の助教授およびカナダのCIFARでAI委員長を務めるデイビッド ロルニック(David Rolnick)氏は、次のように述べています。「Climate Change AIのミッションは、気候変動と機械学習が交わるところでインパクトのある取り組みを促進することです。機械学習は、すでに排出量や炭素量に関するデータの収集に役立つことが立証されており、排出量削減の進捗状況を検証し査定することにも使える可能性があります。このたびCarbon Callと協力し、気候変動対策に向けた炭素計測システムの相互運用性と信頼性を高める取り組みができることをうれしく思います」
ClimateWorks Foundation
ClimateWorks Foundationのグローバルインテリジェンス担当バイスプレジデントであるスラビ メノン(Surabi Menon)氏は、次のように述べています。「気候変動による最悪の事態を回避するため、10年以内にネットゼロへの目標の信憑性を支える効果的なインフラを生み出さなくてはなりません。汚染を発生させている者への責任を追求し、気候変動対策が必要な最重要部分を知るには、まず正確に炭素を計測することが基本となります。Carbon Callは、既存の取り組みをもとに、市民や企業、慈善団体を集約させることで、より信頼性と相互運用性の高い排出量追跡システムの開発を加速させるというものです」
Corporate Leaders Group Europe
Corporate Leaders Group Europe(CLG Europe)のディレクターを務めるエリオット ウィットン(Eliot Whittington)氏は、次のように述べています。「気候変動対策の規模が拡大し、主流となる中で、成果を追跡するツールやシステムがないまま新たな誓約が結ばれ、信頼のギャップも広まっています。Carbon Callは、経済全体における炭素排出データの説明責任や透明性、解読性を高める取り組みの中で、待ち望まれていた結集の地であり、信頼のギャップを埋めるために欠かせない手段です。より透明性が高く、より明確で、より役立つデータに向けたさらなるコラボレーションが、世界で気候に対する誓約を追跡する際に役立ち、パリ協定実現に向けた取り組みを改善し加速させる方法についてのインサイトも与えてくれます。CLG EuropeはCarbon Callをサポートすることを誇りに思い、より信頼性の高い世界的な炭素データの開発と、それによってより迅速な気候変動対策へとつながる取り組みに参加できることをうれしく思います」
EY
EYのサステナビリティ担当グローバルバイスチェアであるスティーブ バーリー(Steve Varley)氏は、次のように述べています。「企業が気候変動対策における自社の役割を認識するにあたり、誓約や約束は進捗と実績で証明されなくてはなりません。われわれの取り組みを加速させ、進捗をこれまで以上の規模で追跡するには、GHG計測法を改善する信頼性と相互運用性の高い世界的なシステムが欠かせないのです。EYは、幅広い関係者によるこのコラボレーションに参加できることをうれしく思います。このコラボレーションが、すべての人に対する価値創造につながっていくのです」
Global Carbon Project
Global Carbon Projectの会長で、スタンフォード大学の地球サイエンティストおよびStanford Woods Institute for the EnvironmentとPrecourt Institute for Energyのシニアフェローを務めるロブ ジャクソン(Rob Jackson)氏は、次のように述べています。「私たちは科学者として、地球温暖化につながる大気中のメタンやその他GHG濃度の高まりを追跡しています。しかし、排出量の報告は不完全で一貫性がなく、モニタリングステーションも不足しているため、どこから排出されているのか、またそれぞれの国や地域で十分に排出量が削減されているのか見極めることが困難なのです。そこで、科学、市民社会、民間部門を横断するCarbon Callの一員となって、より包括的で統合された排出量の報告に向け活動できることをうれしく思います」
Global Council for Science and the Environment
Global Council for Science and the Environment(GCSE)のエグゼクティブディレクターであるミシェル ワイマン(Michelle Wyman)氏は、次のように述べています。「環境への課題対策で科学の活用を進めるには、科学者と意思決定者のコラボレーションとパートナーシップ、そして説明責任が欠かせません。Carbon Callは、地域や国、世界レベルでさまざまな業界や組織が円滑に協力し、信頼性の高い世界的な炭素計測システムを開発するというものです。GCSEは、地球上のGHGを計測する相互運用性の高いグローバルシステムの強化に向け、Carbon Callの取り組みをサポートできることをうれしく思います」
国際学術会議(ISC:International Science Council)
国際応用システム分析研究所(IIASA:International Institute for Applied Systems Analysis)で科学担当次長を務めるレーナ スリバスタバ(Leena Srivastava)氏は、次のように述べています。「世界の温暖化は1.5℃以内に抑えなくてはなりません。この目標内に収めるには、包括的な緑化成長を奨励する戦略によって脱炭素化を加速させる必要があります。こうした戦略の多くは炭素計測に頼らざるを得ませんが、その計測方法は未だ初期段階です。信頼性の高い炭素計測システムを構築するには、Carbon Callが注力する相互運用性と透明性が欠かせません。この点において科学は重要な役割を担っています。科学は、信頼性の高い排出量データと除去量データの提供を拡大するだけでなく、信頼できるガバナンスの構築に向けた戦略設計においても必要なのです」
KPMG
KPMGのグローバルチェアマン兼CEOのビル トーマス(Bill Thomas)氏は、次のように述べています。「気候変動対策を進めるには、全員が協力して大規模なプラスの変化を実現しなくてはなりません。KPMGがCarbon Callの設立署名団体として名を連ねることをうれしく思うのもそのためです。皆で協力すれば、すべての人にとってより持続可能な未来を構築できるのです」
LF Energy
LF Energyのエグゼクティブディレクターであるシュリ グッドマン(Shuli Goodman)氏は、次のように述べています。「経済の脱炭素化を加速させるには、オープンソースで相互運用性の高いデータやテクノロジが欠かせません。LF Energyは、共同投資の元となる中立的で協力的なコミュニティを提供し、世界で緊急事態となっている気候変動に対応できるよう支援しています。だからこそ、炭素計測インフラの相互運用性を実現するというCarbon Callの任務に参加できることがうれしいのです」
Linux Foundation
Linux Foundationのエグゼクティブディレクターであるジム ゼムリン(Jim Zemlin)氏は、次のように述べています。「Linux Foundationは、オープンテクノロジのエコシステムを成長させ業界を変革しようとしています。当団体の取り組みの中でも重要なのは、プロトコルの相互運用性を構築するコラボレーションの実現です。Carbon Callの一員となって、気候変動対策を加速する炭素計測インフラの相互運用性構築におけるコラボレーションを支援し拡大できることをうれしく思います」
マイクロソフト
マイクロソフトの最高環境責任者であるルーカス ジョッパ(Jucas Joppa)は、次のように述べています。「今では多くの組織がネットゼロにコミットしていますが、未だ重要な部分が欠けています。それは、GHGの排出と除去を追跡し、報告して比較するために必要な、透明性と相互運用性の高いシステムです。Carbon Callは、企業、国、そして地球全体におよぶ複数の異なるGHG計測台帳間での信頼性を実現するコラボレーションです。ネットゼロにコミットしている組織であれば、全組織に参加してもらいたいと思います」
Mila(ケベック人工知能協会)
Milaの創設者でサイエンティフィックディレクターを務めるヨシュア ベンジオ(Yoshua Bengio)氏は、次のように述べています。「世界的な気候変動危機に対応するにあたっての主な課題は、炭素を効果的に計測し、それに値をつけることです。機械学習でその解決策を提供できる可能性はありますが、それには複数のソースからの相互運用可能なデータが必要です。そのようなデータであれば、集約して分析に使えるためです。Milaは、炭素データの相互運用性実現と炭素計測の改善に向けたロードマップを構築するCarbon Callのコラボレーションの一端を担えることをうれしく思います」
Skoll Foundation
Skoll Foundationのシニアアドバイザーを務めるブルース ローリー(Bruce Lowry)氏は、次のように述べています。「気候変動には、森林保護やより良い土地活用の管理など、緊急で集団的かつ協調的な対応が必要です。しかし、森林やその他の場所での排出量や炭素除去の計測データは未だサイロ化された状態で、国や企業が計画を立てて対策することは困難です。Carbon Callでは、より強固で相互運用性の高いグローバルな計測システムを促進し、幅広く炭素の説明責任を向上させようとしています。森林データを信頼性の高いグローバルな計測システムに統合することで、地域社会や企業、国が、森林維持の価値をより強力に証明できるようになります」
Stanford Woods Institute for the Environment
Stanford Woods Institute for the Environmentのペリー L マッカーティ ディレクターであるクリストファー フィールド(Christopher Field)氏は、次のように述べています。「自然気候変動ソリューションは、気候危機の解決に大きく貢献する可能性があるとともに、コミュニティ、経済、生態系に貴重な相互利益をもたらします。自然気候変動ソリューションを包括的な脱炭素戦略に組み込むにあたり、重要な基礎となるのは正しい計測です。Stanford Woods InstituteはCarbon Callにて、自然由来の二酸化炭素排出と除去に関し、より信頼性と透明性の高い統合的なアプローチを実現する取り組みの支援に向け協力できることをうれしく思います」
国連環境計画(協力組織)
国連環境計画の経済部門ディレクターであるシーラ アガルワル-カーン(Sheila Aggarwal-Khan)氏は、次のように述べています。「COP26で民間企業の取り組みが拡大し、新たなコミットメントや誓約が増えたことで、金融機関や業界、都市で報告されている削減量の確実性を担保するような、より透明性の高い報告システムを構築することが重要になっています。Carbon Callは、既存の報告に関する取り組みに基づき、報告内容が比較できるよう一貫性と透明性のある共通の報告形式を構築していきます」
国連財団
国連財団のプレジデント兼CEOであるエリザベス クーセンス(Elizabeth Cousens)氏は、次のように述べています。「1.5℃への道が急速に狭まっていることを科学は明白に示しています。気候変動に向けた目標を達成し、今後の世代のために地球を救うには、排出量を大幅に、そして今すぐ削減しなくてはならないのです。Carbon Callは、さまざまな分野で交わされた気候変動への誓約の説明責任と信憑性を高めるにあたって歓迎すべき進歩といえるでしょう」
Wipro Ltd.
Wipro Ltd.の副社長兼サステナビリティおよび社会的取り組み担当グローバルヘッドであるナラヤン P.S.(Narayan P.S.)氏は、次のように述べています。「COP26に向け、心強いことに排出量削減に関する各国の取り組みは増加しており、その数は世界経済の3分の2にまでのぼると推定されています。それに伴い企業の取り組みも増えており、科学的根拠に基づく目標を設定した企業は2000社以上にのぼります。非常に前向きな発展を遂げたといえますが、絶対的に重要なのは、GHG排出量の計算に用いられる炭素計測が透明性の高いものであり、科学的根拠に基づいた方法でなくてはならないということです。Carbon Callでは、土地利用の変化や炭素除去といったあまり理解が進んでいない分野に焦点を当て、信頼性の高いGHG計測システムを構築するという目標を掲げており、当社はその目標をサポートできることをうれしく思います」
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