【ロンドン、ポツダム(ドイツ)2021年9月16日PR Newswire=共同通信JBN】ある研究チームが、深部静脈血栓症(DVT)の診断を従来の放射線科医による診断と同様に効果的かつより迅速に行えるようにする人工知能(AI)アルゴリズムの活用法を開発中で、患者が長い待ち時間を短縮したり、DVTでないのに不要な投薬治療を受けずに済むようになるかもしれない。
ThinkSono AutoDVTアプリをスマートフォンに
DVTは脚にできることが多い血栓の一種で、腫れや痛み、不快感を引き起こし、治療せずに放置すると肺に致命的な血栓ができることもある。DVTを発症した人の30-50%は、長期にわたり症状や障害を抱える可能性がある。
オックスフォード大学、インペリアル・カレッジ、シェフィールド大学の研究者は、(Fouad Al-Noor、Sven Mischkewitz両氏が率いる)ハイテク企業ThinkSonoと共同で、DVTを発症した患者とそうでない患者を見分けられるよう機械にAIアルゴリズム(AutoDVT)を学習させた。このAIアルゴリズムは、最も標準的な超音波検査と比較してもDVTを正確に診断、研究チームは、このアルゴリズムを使うことで検査1回当たり150ドルの医療費を節約できる可能性があるとの結論に達した。
オックスフォード大学ラドクリフ医学部の研究者でオックスフォード大学病院NHS財団トラストの臨床医でもある、研究リーダーのNicola Curry博士は「従来、DVTの診断には、訓練を受けた放射線技師による専門的な超音波検査が必要だったが、AIアルゴリズムと携帯型超音波診断装置を組み合わせた予備データから、期待できる成果が得られることが分かった」と語った。
これは、機械学習させたAIアルゴリズムがDVTを診断できる可能性を示す初の研究であり、研究者らは、AutoDVTの精度を標準治療と比較することでDVT症例の検知感度を判定する検査精度盲検臨床試験を開始する予定。AutoDVTによって、世界中で毎年800万近い人々が発症する可能性があるといわれる静脈血栓が、より迅速かつ適切に診断できるようになることが期待される。
オックスフォード大学病院血友病・血栓症センターから研究チームに参加しているChristopher Deane氏は「AIアルゴリズムは、超音波画像を分析して血栓の有無を判別できるよう教え込ませるだけでなく、超音波ワンドを使用しているユーザーを大腿静脈に沿った適切な位置に誘導することもできるため、専門家でないユーザーでも適切な画像が得られる」と語った。
研究チームは、AutoDVTツールとAIアルゴリズムを組み合わせることで、一般開業医や看護師など専門家ではない医療従事者が、DVTを素早く診断、治療できるようになってもらいたいと考えている。また、専門家ではない人が収集した画像を専門家に送ることで、専門家に診てもらえない人の診断促進も可能になる。
オックスフォード大学ラドクリフ医学部血液学センターにも所属しているCurry博士は「現在、DVTが疑われる多くの患者が24時間以内に確定診断を受けられず、副作用の可能性があり、必要のないことが多い抗凝血剤の痛い注射を打たれている」と語った。
ThinkSonoのFouad Al Noor最高経営責任者(CEO)は「本研究の結果をうれしく思っており、オックスフォード大学病院をはじめとするパートナー病院と協力してこのソフトの試験を進め、世界中の患者に届けたいと思う」と語った。
本研究の結果は、npjデジタル・メディシン(npj Digital Medicine)誌に掲載されている。
ThinkSonoのウェブサイト:www.thinksono.com
▽問い合わせ先
ThinkSono
Fouad Al Noor
hello@thinksono.com
注:研究論文は以下を参照。
https://www.nature.com/articles/s41746-021-00503-7 with DOI: https://doi.org/10.1038/s41746-021-00503-7
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ソース:ThinkSono Ltd