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血栓症研究所(TRI)がESC総会2021で6件の新たなGARFIELD-AFとRIVERリアルワールドデータ分析を発表

Thrombosis Research Institute (TRI)
2021-09-02 22:28 1421

- 4件のGARFIELD-AF電子ポスターが、臨床的に困難な症状のある患者や糖尿病患者の心房細動(AF)の管理とAF臨床試験群に注目

- 2件のRIVER電子ポスターが、リバーロキサバンの投薬治療を受けたAF患者の適切な投与量と腎機能に関する2年間の転帰データと考察を発表

ロンドン

2021年9月2日

/PRNewswire/ -- 血栓症研究所(Thrombosis Research Institute、TRI)は、2021年8月27日から30日までバーチャル開催された2021年欧州心臓病学会総会(European Society of Cardiology (ESC) Congress 2021)で、6件の心房細動電子ポスター(GARFIELD-AFレジストリから4件、RIVERレジストリから2件)を発表した。

TRIディレクターのAjay Kakkar教授は「ESC Congress 2021で好結果を披露できて本当に良かった。この2つのリアルワールドレジストリは終了しているが、われわれは引き続きこのデータを活用して、世界中の臨床医が心房細動患者を管理し、より優れた転帰を達成するのに役立つ重要な知見を提供していく」と語った。

臨床的に困難な症状に関するGARFIELD-AFポスターの1つは、医師が治療に不安を感じている患者の治療に注目したもので、最新医療とって重要な意味を持つ。RIVERポスターの1つは投薬に関するもので、患者の腎機能に応じた推奨できない投与問題に光を当てている。

他の2つのGARFIELD-AFポスターは、臨床試験に参加した患者群が一般的な心房細動患者群にいかに似通っているかを示し、こうした患者群を再現した場合に同様の結果が得られるかどうかを確認している。こうした研究結果は、試験の一般化可能性に裏付けを与えるもので、重要である。

TRIの電子ポスターは全て、登録済み参加者ならESC Congress 2021 Research Gateway(https://esc2021-abstract.medicalcongress.online/ )プラットフォームで、いつでも「オンデマンド」で閲覧できる。電子ポスターの全リスト(発表者と電子ポスターの表題)は以下の通り。

GARFIELD-AFレジストリ

Jean-Pierre Bassand教授(ジャン・マンジョ大学病院、フランス・ブザンソン)

新たに心房細動および糖尿病と診断された患者の転帰にNOACおよびVKAが与える影響:GARFIELD-AFレジストリからの報告

Saverio Virdone(血栓症研究所、英国ロンドン)

共通の臨床的課題を持つ患者におけるNOACとVKAの有効性の比較:GARFIELD-AFレジストリの結果

Jelle Caspar Lorenz Himmelreich博士(アムステルダム大学医療センター、オランダ・アムステルダム)

リアルワールドの心房細動患者における、ワルファリンと対比した場合のアピキサバンおよびリバーロキサバンの安全性と有効性は、それらの無作為化試験の結果と類似:GARFIELD-AFレジストリからの考察

Jelle Caspar Lorenz Himmelreich博士(アムステルダム大学医療センター、オランダ・アムステルダム)

ROCKET AFおよびARISTOTLE試験の選択基準に従ったGARFIELD-AFのリバーロキサバンとアピキサバンの比較

RIVERレジストリ

Jan Beyer-Westendorf准教授(ドレスデン工科大学医学部カール・グスタフ・カールス大学病院血管医学センター、ドイツ・ドレスデン)

リバーロキサバンの投薬治療を受けた心房細動患者の2年間の転帰:RIVERレジストリの結果

John Camm教授(ロンドン大学セント・ジョージ校、英国ロンドン)

心房細動患者へのリバーロキサバン投与:RIVERレジストリの結果 - 腎機能に応じた投与は適切か?

▽GARFIELD-AFについて

GARFIELD-AFレジストリは、新たに心房細動と診断された患者の脳卒中予防に関する世界規模の観察研究で、2009年から2019年にかけて血栓症研究所の後援の下で取りまとめられた。

GARFIELD-AFは、新たに非弁膜症性心房細動と診断され、少なくとも1つの脳卒中の危険因子を有する患者を募集した。米州、欧州、アフリカ、アジア太平洋地域を含む世界35カ国の1000を超える施設から、5つの連続コホートで計5万7262人の患者が募集された。診断後、最低2年、最長8年の経過観察を行い、日々の臨床診療における治療の決定と転帰に関する包括的データベースを作成した。

GARFIELD-AFは、KANTOR CHARITABLE FOUNDATIONがKantor-Kakkar Global Centre for Thrombosis Scienceのためにサポートしている。詳細については、当方のウェブサイトwww.garfieldregistry.org を参照。

▽RIVERについて

RIVERレジストリは、リバーロキサバンの使用と心房細動および脳卒中の管理に焦点を当てた先駆的かつ独立した転帰研究イニシアチブで、2015年から2019年にかけてThrombosis Research Instituteの後援の下で国際運営委員会が主導した。

RIVERは、新たに非弁膜症性心房細動と診断され、少なくとも1つの脳卒中の危険因子を有する5000人超の患者を募集した。患者の募集期間は18-24カ月だった。経過観察期間は最低2年間で、日々の臨床診療における治療の決定と転帰に関する包括的データベースを作成した。

RIVERは、KANTOR CHARITABLE FOUNDATIONがKantor-Kakkar Global Centre for Thrombosis Scienceのためにサポートしている。詳細については、当方のウェブサイトhttps://www.riverregistry.org/ を参照。

AFの負担

世界の人口の2%がAFを患っており(i)、欧州には約880万人(ii)、 米国には500万-610万人の患者がいる(iii)。世界人口の高齢化に伴い、その有病率は2050年までに少なくとも2倍になると推定されている(iii)。AFは脳卒中リスクを5倍に高め、脳卒中の5例に1例はこの不整脈に起因している(i)。AFに関連した虚血性脳卒中は命取りになることが多く、救命された患者は、それ以外の原因による脳卒中患者より頻繁に重度の障害が残り、再発リスクも高い(i)。このため、AF関連脳卒中の死亡リスクは2倍になり、治療費は50%高くなる(i)。

AFは、心房の一部が協調性のない電気信号を発することで起きる。これにより、心室の血液の送り出しが速すぎたり不規則になったりして、血液を完全に送り出すことができなくなる(iv)。その結果、血液が滞り、凝固し、血栓症を引き起こすことがあり、これが世界で最も多い心臓血管系の死亡原因である(v)。血栓が左心房を離れると、脳を含む体の他の部位の動脈を詰まらせる可能性がある。脳の動脈に血栓ができると脳卒中になるが、脳卒中死の92%は血栓症が原因である(v)。脳卒中は世界的に死亡および長期障害の主な原因で、毎年550万人が死亡(vi)、500万人が永久障害者となっている(vii)。AF患者は、心不全、慢性疲労、その他の心調律障害のリスクも高い(viii)。

▽TRIについて

TRIは、血栓の検出、予防、治療のための新たなソリューションを患者に提供することに専念している。TRIの目標は、リアルワールドデータの価値が現実化され、一連のエビデンスの重要なリンクとなるよう、リアルワールドの科学調査を推進することである。われわれの先駆的研究プログラムは、医学の専門分野を超え世界中に広がり、血栓症の画期的ソリューションを提供し続けている。詳細については、http://www.tri-london.ac.uk/ を参照。

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(i)Camm A J, Kirchhof P, et al. Guidelines for the management of atrial fibrillation: The Task Force for the Management of Atrial Fibrillation of the European Society of Cardiology (ESC). Eur Heart J 2010; 31(19):2369-429.

(ii)Krijthe B P, Kunst A, et al. Projections on the number of individuals with atrial fibrillation in the European Union, from 2000 to 2060. Eur Heart J 2013; 34:2746-51.

(iii)Colilla S, Crow A, Petkun W, et al. Estimates of current and future incidence and prevalence of atrial fibrillation in the U.S. adult population. Am J Cardiol 2013; 112(8):1142-7.

(iv)National Heart, Lung, and Blood Institute. What is Atrial Fibrillation? Available at: http://www.nhlbi.nih.gov/health/health-topics/topics/af/.  Accessed:  August 2021.

(v)World Thrombosis Day. Know Thrombosis. Available at: http://www.worldthrombosisday.org/issue/thrombosis/.   Accessed: August 2021.

(vi)World Stroke Organization. Learn about stroke. Available at: https://www.world-stroke.org/world-stroke-day-campaign/why-stroke-matters/learn-about-stroke.  Accessed: August 2021.

(vii)World Health Organization. Global burden of stroke. Available at: https://www.who.int/cardiovascular_diseases/en/cvd_atlas_15_burden_stroke.pdf.   Accessed: August 2021.

(viii)American Heart Association. Why Atrial Fibrillation (AF or AFib) Matters. Available at:   https://www.heart.org/en/health-topics/atrial-fibrillation/why-atrial-fibrillation-af-or-afib-matters.  Accessed: August 2021.  

 

ソース: Thrombosis Research Institute (TRI)