【成都(中国)2021年3月10日PR Newswire=共同通信JBN】
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中国の李克強首相は3月5日、全国人民代表大会(全人代)の政府活動報告で、2020年初めに残っていた貧しい地方住民計551万人の全員、52の貧困県全体が同年末までに貧困から解放されたと発表した。貧困撲滅の主戦場だった中国南西部の四川省は、その達成に大きく貢献した。
四川省の県級183地区のうち161地区は貧困に悩まされ、うち45地区は極度の貧困に苦しんでいた。昨年、貧困の88県、貧しい1万1501村の625万人が貧困線を上回った。
かつて「中国最貧地」だったアブロハ(阿布洛哈、Abuluoha)村は1万1501村の1つ。イ族の言葉で「abuluoha」は「山中の深い渓谷」または「立ち入り禁止区域」の意味。涼山イ族自治州布トウ県の金沙江沿いの渓谷にある。その地理的位置のせいで、村は近代的交通機関で行き来できず、村民は山や崖を乗り越えるか、ジップラインで川をまたがなければ、外界を見ることができなかった。
変化は2019年にやって来た。四川省は年末までに全村を舗装道路でつなぐと宣言、6月にはアブロハに作業車両が到着した。
村に至るわずか3.8キロの道路建設は、大部分が急な崖沿いで困難な挑戦だった。四川省は一流専門家に加え、ミルMi-26大型輸送ヘリコプターも動員した。ヘリ着陸地点からわずか20メートルの場所にいた村民は「われわれはヘリの胴体から掘削機が走り出てきて驚いた」と思い起こした。
この道路の1年後の完成によって、四川省の行政村全体が自動車で往来できるようになった。道路のおかげで地元住民は収入が飛躍的に伸び、貧困に別れを告げた。
貧困の終結はゴールではなく、新たな出発点である。中国は2月25日、旧国務院扶貧開発領導小組に代わる地方活性化の新国家行政機関(国家郷村振興局)の設置を発表した。この改編の背景には、地方行政を重視する中国の歴史的シフトがある。四川省はすでに地方活性化に向けて動き始めた。
産業の繁栄は中国における地方活性化戦略のカギを握っている。四川省は農業基盤の省として、農業近代化加速からスタートした。涼山はこれまでに近代農工業団地118カ所を建設し、旧貧困世帯の80%以上に雇用を提供する計画を立てた。
四川省大邑県の農家は現在、「クラウド」で農作業をしている。地元農民のZhu Lishaさんは携帯電話で全ての作業を終えられると話した。アプリのアイコンをクリックすれば農場の地図が現れる。アプリには農業生産手段、農作業、収穫、財務の4区分がある。Zhuさんは「電話で注文すれば、特別チームが仕事をしてくれる」と述べ、仕事を片付けるのに農場に行く必要もない、と付け加えた。
四川省における地方活性化戦略の別の部分はデジタル地方建設である。チベットの人気者Ding Zhenさんは2020年にオンラインで急拡散し、地元のカンゼ・チベット族自治州理塘県は一晩で有名になった。理塘県のHanfan Villageは深刻な砂漠化に直面していたが、2016年に域内53.3ヘクタールの土地に耐乾性の花種を植え、試験的に環境回復と観光開発の統合を始めた。花の海に加えて13.3ヘクタールの大草原リゾートが建設された。生態系を保護しながら、フラワーファームと大草原リゾートが地元住民に観光収入をもたらした。
将来、四川省の地方活性化の主眼は、集団所有権制度の改革推進、新型地方共同経済の促進、農家収入の持続的資源探索、農業協同組合の推進、農工業団地における産業サプライチェーンの一層の近代化、農業新技術・機器の利用拡大、農村部の環境改善に置かれる。
ソース:China Report