【プリマスミーティング（米ペンシルべニア州）、ソウル（韓国）2020年4月29日PR Newswire＝共同通信JBN】
＊米遺伝子・細胞療法学会（ASGCT）会議で
＊INO-4700 (GLS-5300) DNAワクチンはMERS-CoVに対し100%の結合・92%の中和抗体反応を示す
＊現在、第2相試験にあるCOVID-19用のINO-4800 DNAワクチンは、スパイクタンパク質を標的にする同一戦略とCELLECTRA皮内投与を利用する
INOVIO（NASDAQ:INO）とGeneOne Life Science（KSE:011000）は29日、MERSコロナウイルス（MERS-CoV）用のDNAワクチンINO-4700（GLS-5300とも呼ばれる）の第1/2a相試験12週の中間データを発表した。ワクチン接種者は、0.6ミリグラムのINO-4700の2ないし3回投与の後、強い抗体・T細胞性免疫反応を示した。INO-4700はMERS-CoV Spike (S) 糖タンパク質を標的にするDNAワクチンで、皮内CELLECTRA(R) デバイスによって投与される。このワクチン接種の投与計画は良好な耐容性を示し、ワクチン関連の重度有害事象（SAEs）もなかった。ウィスター研究所（Wistar Institute）、ソウル大学校病院（Seoul National University Hospital）、国際ワクチン研究所（International Vaccine Institute、IVI）の研究者たちは、IVIの資金提供により、この研究に協力した。これらの成果は、2020年5月12-15日にオンラインで開催されるAmerican Society of Gene & Cell Therapy (ASGCT) Conference（米遺伝子・細胞療法学会（ASGCT）会議）での口頭プレゼンテーションのために選定された。
INOVIOの社長兼最高経営責任者（CEO）であるJ・ジョセフ・キム博士は「INO-4700の第1/2a相臨床試験データは、当社のMERS DNAワクチンがINOVIOの皮内CELLECTRA投与システムを使って強固な免疫反応を起こすことができるということを実証している。このエキサイティングなデータは、INOVIOの投与システムの能力と当社のコロナウイルス経験の強さを示すものであり、継続中のCOVID-19ワクチンの進展に大きな基盤を提供する。当社は、標的としての完全長スパイクたんぱく質の選定、皮内CELLECTRAデバイスの使用を含むINO-4700と同じ戦略を使ってCOVID-19ワクチンのINO-4800を設計しており、まさにINO-4700について報告したように、継続中のINO-4800の第1相臨床試験が同様の臨床免疫反応と安全性データを生み出すことを期待している」と語った。
全体的に見れば、0.6ミリグラムのINO-4700を投与された人たちに関しては、0および8週に2回分の投与計画を受けた後、88%がセロコンバージョンを示し、一方で、0、4および12週に3回分の投与計画を受けた人たちに関しては、完全長Sタンパク質に対する結合抗体解析によって測定された通り（ELISA）、84%が2回分の投与後に、100%が3回分の投与後にセロコンバージョンを示した。さらに、双方のグループのワクチン接種者の92%は、中和解析を使ってウイルスを中和する能力を示した（EMC2012-Vero中和）。強固なT細胞反応は、2回分の投与計画後にワクチン接種者の60%で、3回分の投与グループでは84%で観察された（ELISpot解析）。興味深いことに、単回投与の0.6ミリグラムのINO-4700皮内ワクチン接種は、74%の結合抗体反応率と48%の中和抗体反応率という結果になった。
IVI所長のジェローム・キム博士は「IVIは、MERSに対する世界初のワクチン候補に関するわれわれの協力の成果として、これらの研究結果を報告するパートナーに加わることができて光栄である。今回および今後の臨床試験は、MERSに対するDNAワクチンの開発加速への道を開くことができるだろう」と語った。
これは臨床試験におけるINO-4700（GLS-5300）の2番目の研究であり、1番目は筋肉注射の投与、続いて0.67、2ないし6ミリグラムの電気穿孔法を受けるワクチンの75人研究（MERS-001）である。特にMERS-001研究では、投与レベルの間に著しい違いはなく、ワクチン誘導の免疫反応は自然感染後に回復した患者にみられるものと類似していた（Lancet Infectious Disease, 2019）。INO-4700のワクチン接種はこれまで、病原性サル実験モデルにおけるMERSウイルス疾患に対して100%の予防を提供することが分かっている。INOVIOは、既に発表された感染症流行対策イノベーション連合（Coalition for Epidemic Preparedness Innovations、CEPI）による5600万ドルの資金提供により、中東においてINO-4700を第2相臨床試験に進める計画である。
▽INOVIOのINO-4800開発促進国際協調体制（Global Coalition Advancing INO-4800）について
INOVIOは、INO-4800の開発を急ぐため、協力者、パートナー、資金提供者の国際協調体制をつくり上げた。現在までのR&D（研究・開発）協力者には、ウィスター研究所、ペンシルベニア大学、ラヴァル大学、テキサス大学が含まれている。INOVIOは、Beijing Advaccine、国際ワクチン研究所と提携し、それぞれ中国および韓国でINO-4800の臨床試験を進めている。INOVIOは、英公衆衛生庁（PHE）、オーストラリア連邦科学産業研究機構（CSIRO）と共に幾つかの動物実験モデルでINO-4800の前臨床効果の評価もしている。INOVIOはまた、VGXI, Inc.、Richter-Helm、Ology Bioservicesを含む委託製造業者のチームと協力して年末までに100万回分のINO-4800を生産し、安全で効果的なワクチンに対する緊急の世界的需要を満たすべく製造能力拡大のための追加の外部資金提供とパートナーシップを求めている。これまでにCEPI、ビル&メリンダ・ゲイツ財団、米国防総省（DOD）がINO-4800の開発と製造に多額の資金を提供している。
▽INO-4800について
INO-4800は、COVID-19を引き起こす新型コロナウイルスSARS-CoV-2を予防するために開発されるINOVIOのDNAワクチン候補である。INO-4800は、COVID-19を引き起こすコロナウイルスの遺伝子配列の公開後、すぐにINOVIO独自のDNA医薬品プラットフォームを使って設計された。INOVIOはコロナウイルスに対処する深い経験を持っており、中東呼吸器症候群（MERS）を引き起こす関連コロナウイルスの第2a相ワクチンを有する唯一の企業である。
▽INOVIOのDNA医薬品プラットフォーム（DNA Medicines Platform）について
INOVIOは現在、HPV（ヒトパピローマウイルス）関連疾患、がん、さらに感染症流行対策イノベーション連合（CEPI）からの助成金の下で開発中のMERSおよびCOVID-19関連のコロナウイルス疾患を含む感染症に焦点を当てた15のDNA医薬品臨床プログラムを開発中である。DNA医薬品は、コンピューターシークエンシング技術によって合成または再編成され、体内で特定の免疫反応を発現させるよう設計された小さな環状の2本鎖DNAである最適化DNAプラスミドから成る
INOVIOのDNA医薬品は、CELLECTRA(R)と呼ばれるINOVIO独自の携帯スマートデバイスを使用し、最適化されたプラスミドを筋肉注射または皮内注射で細胞に直接送達する。CELLECTRA(R)デバイスは短い電気パルスを使い、細胞内に小さな孔を可逆的に開けてプラスミドの侵入を可能にしており、他のDNAや、mRNAのような他の核酸アプローチの大きな制約を克服している。細胞内に入ったDNAプラスミドは、細胞が標的とされた抗原を発現することを可能にする。抗原は細胞内で自然に処理され、予期されたT細胞と抗体媒介の免疫反応を引き起こす。CELLECTRAデバイスを使用した投与により、DNA医薬品が体内の細胞に効率的に直接送達され、そこで免疫反応を引き起こしにかかることが可能になる。INOVIOのDNA医薬品は、個人のDNAをいかなる方法でも妨害したり、改変したりすることはない。INOVIOのDNA医薬品プラットフォームの利点は、DNA医薬品の設計と製造の速さ、保管、輸送中の凍結を必要としない製品の安定性、臨床試験で実証されてきた強固な免疫反応、安全性プロフィールおよび忍容性である。
2000人以上の患者がさまざまな臨床試験において6000以上の適用でINOVIOの治験DNA医薬品を投与されており、INOVIOには世界中の差し迫った健康ニーズを満たすためのDNA医薬品候補を迅速に生み出してきた優れた実績がある。
▽GeneOne Life Scienceについて
GeneOne Life Science Inc.はDNAおよびRNAワクチン、核酸ベースの治療法、小分子療法の国際デベロッパーである。GeneOneは、MERS-CoVに対するMERS-001およびMERS-002の臨床試験、ジカウイルスに対するZIKA-001およびZIKA-002のワクチン研究に資金援助した。GeneOneの研究グループは、不治の疾患、ならびに血液病、代謝性疾患、がんを予防、治療するためのDNAワクチンおよび製品を開発している。GeneOneは新興感染症（Emerging Infectious Diseases、EIDs）との闘いで認識されているリーダーであり、多くの病原体に対処するためのパイプラインを持ち、EIDsに対するワクチン開発に関する多くの国際諮問委員会に加わっている。同社は韓国のソウルに本社を置いている。米テキサス州にあるGeneOneの完全所有製造子会社VGXI, Inc.は、ワクチン、細胞療法、遺伝子療法業界の世界大手のcGMP DNAプラスミド製造施設である。VGXIは、それぞれMERS-CoV、COVID-19に対するGLS-5300/INO-4700、INO-4800ワクチンを含め、EIDsに対する多くのDNAワクチンを製造している。詳しい情報はwww.genels.com and www.vgxii.com を参照。
▽国際ワクチン研究所（International Vaccine Institute、IVI）について
国際ワクチン研究所（IVI）は、国連開発計画（UNDP）の主導で1997年に設立された非営利の政府間組織である。韓国のソウルに本部を置くIVIは、韓国が誘致した初の国際機関であった。IVIには、出資国の韓国、スウェーデン、インドを含む35の締約国と世界保健機関（WHO）が条約で加わっている。
IVIの使命は、世界で最も被害を受けやすい人々がワクチンを入手、利用できるようにすることである。同研究所は、コレラ、腸チフス、赤痢菌、サルモネラ菌、住血吸虫症、A群連鎖球菌、A型肝炎、HPV（ヒトパピローマウイルス）、TB（結核）、HIV、MERS、COVID-19などの世界中の健康に重要な感染症、ならびに抗菌薬耐性に焦点を当てている。詳しい情報はhttps://www.ivi.int を参照。
▽INOVIOについて
INOVIOは、HPV、がん、感染症関連の疾患から人々を潜在的に治療、保護するための精密設計DNA医薬品の迅速な市場投入に重点的に取り組むバイオテクノロジー企業である。INOVIOは、独自のスマートデバイスを介して体内の細胞にDNA医薬品を直接投与し、強固かつ忍容性の高い免疫反応を発現できることを臨床的に実証した最初で唯一の企業である。具体的には、現在、前がん性子宮頚部（けいぶ）異形成に対する第3相試験にあるINOVIOの主力候補薬VGX-3100は、第2b相臨床試験で高リスクのHPV16型および18型を死滅させ、除去した。高リスクHPVは、子宮頸がんの70%、肛門がんの91%、外陰がんの69%の原因となっている。HPV関連がん、希少HPV関連疾患である再発性呼吸器乳頭腫症（RRP）、非HPV関連がんである多形膠芽腫（GBM）や前立腺がんを対象とするプログラムも開発中で、外部資金によるジカ、ラッサ熱、エボラ、HIV、MERSおよびCOVID-19関連のコロナウイルス疾患の感染症DNAワクチン開発プログラムもある。パートナーおよび協力者には、Advaccine、ApolloBio Corporation、アストラゼネカ、ビル&メリンダ・ゲイツ財団、感染症流行対策イノベーション連合（CEPI）、米国防高等研究計画局（DARPA）/米国防総省（DOD）、GeneOne Life Science/VGXI、HIV Vaccines Trial Network、国際ワクチン研究所（IVI）、Medical CBRN Defense Consortium（MCDC）、国立がん研究所、国立衛生研究所、国立アレルギー・感染症研究所、Ology Bioservices、Plumbline Life Sciences、Regeneron（リジェネロン）、Richter-Helm、Roche/Genentech（ロシュ/ジェネンテック）、ペンシルベニア大学、ウォルター・リード陸軍研究所、ウィスター研究所が含まれている。INOVIOは、取締役会に20%以上の女性がいる企業を顕彰する2020 Women on Boardsの「W」称号も授与されている。詳細はwww.inovio.com を参照。
▽問い合わせ先
メディア：Jeff Richardson, 267-440-4211, jrichardson@inovio.com
投資家：Ben Matone, 484-362-0076, ben.matone@inovio.com
