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アジア人は健康状態より経済状態の方が心配

Kantar
2020-03-02 15:30 2009

【シンガポール2020年3月2日PR Newswire=共同通信JBN】

*アジア人の60%がCOVID-19が自らの経済的安定にどのような意味を持つのかを心配

*アジア人の48%が同ウイルスの影響を「非常に心配」

*人々はリスクを最小限に抑えるため、オンラインショッピングに目を向け、旅行を回避

アジア全域でCOVID-19(新型コロナウイルス感染症)の症例数が増加しているにもかかわらず、人々が最も恐れているのは病気になることではなく、ウイルスが個々人の経済状態に損害を与えるかもしれないことであることが、データ、インサイト、コンサルティングで世界をリードする企業、カンター(Kantar)が実施した最新の調査で明らかになった。世界の金融市場が世界金融危機以来、最悪と思われる状況で急落する中、アジアの人々の60%が自らの経済的安定を心配している。ウイルスに感染することを心配しているという46%がその次に多く、病気になることに対する恐れは日本が最も高かった(68%)。アジア人の3分の1超(34%)は、COVID-19が経済を景気後退のふちに追いやりかねないと恐れている。韓国人が最も心配しているのは、自らの経済状態(77%)と失業(61%)だった。

この地域の消費者のほぼ半数(48%)が、COVID-19が日常生活に与える影響を「非常に懸念」している。当然のことだが、症例数が最も多い国に住んでいる人々は、ウイルス感染の可能性が高いと感じており、韓国では75%、日本では60%が懸念しているし、生活に支障が出ていると答えた。政府の危機への対応ぶりに対する信頼度は、韓国(39%)と日本(9%)が非常に低い。シンガポールでは懸念している人はわずか33%で、78%は政府の危機への対応ぶりを信頼していると答えた。

今回の調査(https://go.tnsglobal.com/covid-19-impact-asians-financial-health )は、インドネシア、日本、韓国、フィリピン、シンガポール、タイの3000人の回答者からの調査データを、パネルデータと詳細なソーシャルメディア分析とともに使用、ウイルスが同地域の人々の態度や行動にどのように影響しているかを分析した。

さらに、アジアの100を超える消費財企業の株価の推移をカンターが分析したところ、COVID-19が域内に不確実性を広げ始めて以来、株価を上げることができた企業は一握りにすぎないことも判明した。消費者や市場は、COVID-19がもたらす経済的脅威に気付きつつあり、それはアジアをはじめとする世界の株式市場がここ数日、さらに落ち込んでいることで証明されている。

▽消費とライフスタイル行動の変化

今回の調査では、COVID-19のリスクを減らすため、人々がどのようにライフスタイルを変えているかが明らかになった。感染発生で最も大きな打撃を受けたのは旅行業界で、59%の人々が大事を取って旅行を減らすことにしたと答えた。これに続いて52%が外食を減らすと答え、同数(52%)が家の外での付き合いを避けていると答えた。代わりに、42%の人がより多くのコンテンツをストリーミング再生し、33%が自宅で集まりを開き、30%が食べ物を注文して、在宅を選択している。

ウイルスの脅威が大きくなるにつれ、購買行動も変化した。最も明白な変化は、多くの国で「パニック買い」が増えたことで、約3分の1(30%)が必需品の品切れを心配し、通常より多く購入、商品棚が空になったと話した。この割合は日本で最も高く、64%の人がこうした行動を取ったと認めている。

調査では、人々が混雑したスーパーを避けたり、実店舗で在庫切れだったアイテムを手に入れるために電子商取引を使用したため、過去2カ月でこうした市場でのオンラインショッピングが32%増加したことも明らかになった。韓国人のオンラインショッピング増加率が最も高かった(41%)。オンライン食料品プラットフォームと食品配送サービスの増加率が最も高く、多くのプロバイダーが需要に対応するため戦略を見直さねばならなかった。対照的に、小売店でのショッピングは同期間に35%減った。

予想通り、購入が最も大幅に増えたのは衛生、健康関連分野で、48%の人がフェースマスクや手指除菌剤などの個人用衛生用品を多めに購入していると回答。45%が免疫力を上げるためにビタミンなどの健康、栄養アイテムの購入を増やし、40%が家庭用クリーニング製品への支出が増えたと回答した。一方で、重症急性呼吸器症候群(SARS)流行の際にも見られたように、アルコール飲料への支出は減っている(30%)。さらに、ぜいたく品(27%)や肉、魚介類(21%)を購入する人も少なくなっている。

今回の調査では、COVID-19の影響で、とりわけ食品、飲料分野と消費財に関して、消費者がいかに「使用して安全」な製品やサービスを重視するようになったかが浮き彫りになった。加えて、消費者はウイルスに対する防御力強化に役立つ、健康、福祉面で効能の高いブランドを探している。保険部門に対しては、危機の際に健康やウエルネスをカバーしてくれる商品を増やしてほしいとの声もある。

カンターの北東アジア、東南アジア、太平洋地域担当最高経営責任者(CEO)、エイドリアン・ゴンザレス氏は「コロナウイルス禍が激しさを増し、世界中に広がり続けている中、われわれの調査結果は、それが人々の日常生活にどの程度影響を及ぼしているかを明らかにした。人々が警戒し、できるだけ安全でいられるようにしているのは当然だ。多くの人が行動や買う物を変えており、パニック買いを認めている人もいる。しかし、人々が最も心配しているのは、COVID-19が自分たちの経済的安定にどのような意味を持つのかであり、それは長期的な経済の健全性に影響を与える可能性があるからだ。これは、流行が終わった後も、人々がこれまでとは違う選択をし続ける可能性があるという、新たな問題を提起している。これにどう対処するかは、信頼の問題のようだ。例えば、シンガポールでは現在、「コード・オレンジ(Code Orange)」の厳戒態勢が取られているが、人々は政府の危機対応を信頼しているため、それほど心配はしていないようだ。人々は、何かを買うか、買うまいかを決める時にも、ブランドやそのサプライチェーンへの信頼を求めるようになるだろう」と語った。

カンター・コンサルティング(Kantar Consulting)の東南アジア担当マネジングパートナー、ステファン・アルパーン氏は「人々が全てのブランドに期待しているのは、世界を救うことではなく、真の価値を提供し、責任を持って行動し、従業員を含む地域社会にきちんと向き合うことだ。シンガポールのUOB(ユナイテッド・オーバーシーズ銀行)は、影響を受けた地元企業と中小企業のクライアント、配車タクシーアプリ「Grab」に30億シンガポール・ドルを拠出、職場から帰宅する医療従事者向けに24時間の専用サービスを開始した。解決可能な問題に集中することで、これらブランドの行動は極めて効果的だ」と付言した。

編集者注

▽調査について

今回の調査(https://go.tnsglobal.com/covid-19-impact-asians-financial-health )は、シンガポール、インドネシア、フィリピン、韓国、日本、タイの域内6か国の18歳から60歳までの3000人の消費者を対象としたオンライン調査をベースとしている。フィールドワークは2020年2月25日から27日まで実施した。12月18日から2020年2月27日までのカンターのパネルデータとソーシャルメディア分析が調査を補完した。インフォグラフィックのダウンロードはこちらから(https://www.tnsglobal.com/sites/default/files/COVID-19%20NASEAP%20Infographic%202020_0.pdf )。

▽カンターについて

カンター(Kantar)は、エビデンスに基づくインサイトとコンサルティングで世界をリードする企業である。当社は、90を超える市場で人々がグローバルにそしてローカルに、いかに考え、感じ、行動するかを、完全、ユニーク、かつバランス良く分析している。従業員の深い専門知識、データリソースとベンチマーク、革新的な分析と技術を組み合わせることで、当社は顧客が人々を理解し、成長を促す支援をしている。

ソース:Kantar

ソース: Kantar
キーワード: 銀行/金融サービス