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完全寛解率90%、中国のCAR-T細胞療法が画期的な臨床試験結果を達成

First Affiliated Hospital of Zhejiang University
2016-05-09 16:26 1619

【杭州(中国)2016年5月9日PR Newswire=共同通信JBN】

*浙江大学第1附属病院が白血病治療のCAR-T臨床試験結果を報告

4月22日から24日まで杭州で開催された2016年血液免疫サミット(2016 Haematogenic Immunity Summit)で、浙江大学第1附属病院のフアン・ヘ教授は白血病治療のためにCAR-T細胞療法を使った10件の臨床例の結果について報告した。この臨床試験の完全なデータが公表されたのはこれが初めてである。

2016年杭州血液免疫サミット
杭州で開催された2016年血液免疫サミット

同病院とInnovative Cellular Therapeutics(ICT)社が共同で実施したこの試験は、臨床倫理の承認を得ており、2015年6月に最初の患者を登録した。2016年4月までに10人目の患者が完全寛解を達成した。

研究チームは10カ月の試験中にCAR-T細胞の再注入を終え、再発性または難治性のBリンパ芽球性白血病の患者10人の予備的な評価を行った。

この臨床試験は臨床倫理規範に厳格に従って行われ、第三者の臨床研究機関が独自に監視した。CRA-T試験で生じた全ての患者の経費はICTが負担した。10人の患者のうち9人は完全寛解を達成し、8人の患者の微小残存病変(MRD)は陰性になり、有意義な治療効果を示した。90%の完全寛解率と80%のMRD陰性率はいずれも、これまでに世界で記録された最良の結果を上回った。

17歳から57歳までの10人の患者全員が再発性または難治性のBリンパ牙球性白血病を患っており、数カ月しか生きられないとみられていた。10人目の最後の患者は17歳の女性で、今年3月にCAR-T臨床試験に加わった。女性の血液を採取した後、研究者たちはキメラ抗原受容体(CAR)と呼ばれる分子を発現させるため、女性の普通のT細胞の遺伝子組み換えを行った。GPSと同様、CARは特定のT細胞を誘導して悪性腫瘍細胞を追跡、識別し、殺すことができる。この技術を適用することにより、普通のT細胞は「抗がん」のCAR-T細胞に変わったのである。

2016年4月初め、組み換えられたCAR-T細胞は患者の体内に注入され、研究チームが予測したように「サイトカインストーム」が起きた。CAR-T細胞が患者の体内で急速に増殖し、大量のサイトカインを放出したため、患者は発熱、筋肉痛、低酸素血症を含む症状を経験した。これらの症状は、CAR-T細胞の導入には肯定的な効果があることを示唆するものだった。その後の試験結果は、この女性が完全寛解を達成し、MRD陰性であることを示した。

Innovative Cellular Therapeuticsは浙江大学第1附属病院と協力してCAR-T療法の進化の成功を実現した。ICTはこのほかに中国の7カ所の病院で再発性、難治性の急性リンパ芽球性白血病患者を対象に臨床試験を行っており、この病気が進行した段階にある23人の患者について試験と初期データの収集を完了した。試験対象患者の87%に当たる20人の患者が白血病の完全寛解を達成した。

この試験の前に、同水準の白血病のCAR-T療法を開発したのは、世界で3社(いずれも米国に本社を置くノバルティス、Juno、Kite Pharma)だけだった。中国企業のICTは今、この優れたグループに加わり、CAR-T療法適用の世界的リーダーの1つになった。

ICTは白血病試験での成功により、次はリンパ腫治療の新たな臨床試験に照準を合わせる。ICTは将来を見据え、同社の研究開発の取り組みを結腸直腸がん、乳がん、胃がん、食道がんを含む固形腫瘍に集中させる。

CAR-T細胞療法は、世界で最も有望な腫瘍精密療法として、医師、研究者、患者、一般市民の注目を急速に集めており、将来、より多くの腫瘍患者に恩恵をもたらすと期待されている。

ソース: Innovative Cellular Therapeutics Co., Ltd.