omniture

NABRがIUCNのカニクイザル登録に異を唱える拡大請願書を提出

National Association for Biomedical Research
2024-02-02 21:31 1077

【ワシントン202422PR Newswire=共同通信JBN】全米生物医学研究協会(National Association for Biomedical ResearchNABR)は2日、著名で独立した科学者と共同で国際自然保護連合(IUCN)に対し、カニクイザル(Macaca fascicularis)をIUCNの登録基準で「絶滅危惧種」または「危急種」に指定したことに異を唱える拡大請願書を提出しました。

IUCN標準請願委員会は20231012日、IUCN2022年にカニクイザルを「絶滅危惧種」に指定したことに異を唱えるNABRの最初の請願書を受理しました。2023911日にIUCNに提出されたNABRの最初の請願書は、絶滅危惧種指定の科学的根拠には「偏見」があり、「入手可能な最善の科学的情報に基づいていない」と結論づけていました。

カニクイザルは20227月までは、IUCNの「危急種」に指定されていました。IUCN2022年、Hansen氏らが発表した科学的レビュー(2022年)に基づき、指定を「絶滅危惧種」に変更しました(注1NABRの拡大請願書は今回、IUCNに対し「対象種の擁護活動に関与していない、真に独立した科学者によって、カニクイザルの新たな状況評価が実施される」まで、「絶滅危惧種」と「危急種」の両方の指定を取り消すよう求めています。

NABRの拡大請願書提出は、カニクイザルの保護状況決定の際に使用された科学的情報を点検した論文がこのほど、著名科学誌「The American Journal of Primatology」に掲載されたのを受けたものです(注2)。同論文は「IUCNの絶滅危惧種指定の根拠として引用された公表文献は、減少しているとの仮説を裏付けるデータを何1つ示していないばかりか、この種が絶滅の危機に瀕していることも立証していない」と結論付けています。

世界的に著名な科学者でNABRの科学審査チームのメンバーでもあるRay Hilborn博士は「NABRの科学審査チームは、IUCN標準請願委員会がこの問題を今度こそ客観的に審査してくれるであろうことを喜んでいます」と語っています。

Hilborn博士は「2022年と2020年の評価の際、データが誤って使われていたことを考えれば、IUCN標準請願委員会も私たちの結論に同意してくれるでしょう」と付け加えました。

NABRの拡大請願書提出により、IUCN規約に基づく対象種の状況に関する入手可能な科学的情報を審査するIUCN標準請願委員会の正式なプロセスが開始されます。

カニクイザルは、医薬品の開発および医薬品の安全性や有効性の試験に最も広く使用されている非げっ歯類動物です。また、がん研究、免疫学、再生医療、遺伝病研究にも幅広く利用されています。

カニクイザルは、香港(注 3)、インドネシア(注45)、モーリシャス(注6)、パプアニューギニア(注7)、タイ(注8)など多くの国や地域で外来種と見なされています。アジアやアフリカの国々は何十年もの間、特定の病原体を持たないカニクイザルを飼育し、研究所での生物医学研究用に米国やその他の国々に輸出してきました。

全米生物医学研究協会のMatthew R. Bailey会長は「NABRの請願書と『The American Journal of Primatology』に掲載された2023年の論文は、カニクイザルが絶滅危惧種でも危急種でもなく、むしろ生息する大半の国で活発に繁殖している強力な外来種であることを示しています」と指摘した上で、「私たちはIUCN標準請願委員会に対し、この種を絶滅危惧種または危急種のいずれかに指定した不適切な登録を取り消し、独立した科学者によるこの種の新たな状況評価に着手するよう求めます」と語っています。

NABRの請願に関する詳細情報は、オンラインwww.nabr.org でご覧いただけます。

全米生物医学研究協会について

1979年に設立された全米生物医学研究協会(National Association for Biomedical ResearchNABR)は、生物医学研究、教育、試験で動物を人道的に使用するための健全な公共政策に特化した唯一の501c)(6非営利団体です。人道的かつ責任ある動物研究を頼りに、ヒトと動物の健康をグローバルに増進している340以上の大学、医学・獣医学部、研修病院、製薬・バイオテクノロジー企業、患者団体、学会や専門家組織が会員となっています。当協会の詳細については、www.nabr.org をご覧ください。

(注1See Hansen, M. F., Ang, A., Trinh, T. T. H., Sy, E., Paramasivam, S., Ahmed, T., Dimalibot, J., Jones–Engel, L., Ruppert, N., Griffioen, C., Lwin, N.,Phiapalath, P., Gray, R., Kite, S., Doak, N., Nijman, V., Fuentes, A., & Gumert, M. D. (2022). Macaca fascicularis (amended version of 2022 assessment). The IUCN Red List of Threatened Species 2022. https://www.iucn.org/resources/conservation-tool/iucn-red-list-threatened-species

(注2See Hilborn, R., & Smith, D. R. (2023). Is the long–tailed macaque at risk of extinction? American Journal of Primatology, e23590. https://doi.org/10.1002/ajp.23590

(注3https://www.afcd.gov.hk/english/conservation/con_fau/con_fau_mon/con_fau_mon_wild/con_fau_mon_wild.html 

(注4https://cites.org/sites/default/files/ndf_material/NDF_MEP_Indonesia_2023%20%281%29.pdf

(注5https://www.researchgate.net/publication/346803479_Human_and_long-tailed_macaque_conflict_in_Central_Java_Indonesia

(注6https://link.springer.com/article/10.1007/s10764-022-00324-9

(注7http://www.indopacific.org/wp-content/uploads/2017/02/papuamacaques-English-Version.pdf

(注8https://www.thainationalparks.com/species/crab-eating-macaque

Logo - https://mma.prnasia.com/media2/1138543/4526597/NABR_Logo.jpg?p=medium600

 

ソース: National Association for Biomedical Research