ハノイ(ベトナム), 2022年12月21日 /PRNewswire/ -- VinFuture Prize Councilは20日、2022年VinFuture賞の受賞者である科学者を発表した。彼らの画期的な研究プロジェクトは、現在および将来の地球上の何十億もの人々の生活にプラスの影響を与える並外れた科学的成果である。これらは、生命のあらゆる側面を再形成し、人類の持続可能な開発を促進する科学・技術の大きな進歩を表している。
6大陸の70カ国以上から970の候補を集め、今シーズンのテーマである「Reviving and Reshaping(復活と再形成)」に沿った4つの最も優れた科学的研究が受賞対象に選ばれた。
その4つは、グローバルネットワーク技術を実現した画期的業績、AIシステムのAlphaFold 2を使用した3Dタンパク質構造予測、冠水耐性イネの成長を促進するSub1A遺伝子の分離、地下水からヒ素など重金属を除去するための低コストのろ過システムである。
▽大賞
300万米ドルの大賞は、グローバルネットワーク技術を実現し、われわれの生活、コミュニケーション、仕事の方法を永遠に変え、現代の社会経済的進歩と将来の技術革新の基礎を築いたことに対し、Timothy John Berners-Lee卿、Vinton Gray Cerf博士、Emmanuel Desurvire博士、Robert Elliot Kahn博士、David Neil Payne卿(教授)に授与された。
Timothy John Berners-Lee卿はWorld Wide Webを発明し、最初のウェブブラウザーを作成し、HTML、HTTP、URLを含む3つの重要なインターネット標準の設計と確立を主導した。これらにより、グローバルなインターネットでの情報リソースのシームレスな共有と使用が可能になった。
Vinton Gray Cerf博士とRobert Elliot Kahn博士は、今日のインターネット機能の基礎となる伝送制御プロトコルとインターネットプロトコル(TCP/IP)の設計と実装を主導した。
現在のグローバルネットワーク技術は光ファイバー通信に依存しており、その開発はDavid Neil Payne卿の50年以上にわたる作業によって可能になった。ファイバー設計、光増幅器、特殊ファイバー、高出力レーザー、増幅器に関連する同氏の研究は、Emmanuel Desurvire氏のエルビウム添加ファイバー増幅器に関する画期的な研究と共に、高速光信号を繰り返しブーストする能力により地球規模でのインターネット伝送を可能にした。
グローバルネットワーク技術に関するこの画期的な研究は、何層にもわたる発明の成果であり、あらゆる形式の情報を光速で確実に通信、転送、共有できるようにする。これにより、世界中の個人やグループ間のリアルタイムの対話、コラボレーション、共同作成が可能になった。これらの発明の影響は、大陸横断と大洋横断の両方に及んでいる。ファイバー・トゥ・ザ・ホーム(FTTH)および企業向け通信から、それらは社会、政府、経済、セキュリティー、国防など、われわれの世界のあらゆる側面に影響を与える。
▽特別賞
大賞に加え、各50万米ドルの3つの特別賞が新興分野のイノベーター、女性のイノベーター、発展途上国のイノベーターに授与された。
「Innovators with Outstanding Achievements in Emerging Fields(新興分野で優れた実績を持つイノベーター)」特別賞は、タンパク質構造のモデリングに革命をもたらし、生物医学、健康、農業の進歩を加速させた人工知能プログラムAlphaFold2に関する先駆的な研究でDemis Hassabis博士とJohn Jumper博士に授与された。
タンパク質構造を決定する問題は、細胞プロセスの基本的な理解、新薬の開発、新しい合成生物学の提案、およびその他の多くのアプリケーションの中心となる。
Demis Hassabis博士は、John Jumper博士が主任科学者を務める先駆的なDeepMindチームを編成し、ディープラーニングを通じてこの問題の解決策を考え出した。彼らは協力して、以前は何年もかかっていた作業をわずか数時間に短縮し、生物医学と健康、農業、持続可能性など最も重要な問題の幾つかに対する進歩を加速させた。チームは、2億を超えるタンパク質構造のデータベースを公開して利用できるようにし、一般の人々が彼らの研究から利益を得られるようにし、世界中で何千人もの科学者が問題に取り組むことをサポートした。
「Female Innovators(女性のイノベーター)」特別賞は、冠水耐性イネ品種の開発を促進し、南アジアおよび東南アジアの何百万人もの人々を養うのに役立ったSub1A遺伝子の分離における画期的業績に対し、Pamela Christine Ronald教授に授与された。世界のこの地域では毎年、3000万人を養うのに足りる400万トンの米が洪水で失われている。
Ronald教授とチームは、冠水耐性を付与するにはイネの単一遺伝子Sub1aの発現で十分であることを示した。この発見により、International Rice Research Institute(国際稲研究所)の育種家による新しい品種の開発が促進された。新しいSub1品種は、洪水後の従来の品種と比較して60%の収量の利点を有する。冠水耐性イネの新しい品種は、変化する気候の中で発生の期間と頻度が増加している洪水の影響を大きく受けている諸国の農家を助けている。
「Innovators from Developing Countries(発展途上国のイノベーター)」特別賞は、地下水からヒ素など重金属を除去するための低コストのろ過システムを開発し、汚染された水と共に暮らす世界中の何億人もの人々が清浄な水にアクセスできるようにしたことにより、Thalappil Pradeep教授に授与された。
安全な水は生命を維持する最も重要な要素であり、社会経済発展の中心である。
ヒ素、鉄、その他の金属で汚染された水を使用することによる健康被害を軽減するため、Pradeep教授は、清浄な水を生成するのに使用できる手頃な価格で持続可能なナノ材料を発見した。これらの材料によって除去されたヒ素およびその他の材料は、周囲の環境に影響を与えない。簡略な設計を採用したこの方法は、極めて低コストで地下水を浄化する手段を提供し、影響を受ける何百万もの世帯に届ける。遠隔地では、この技術は電力を必要としないため、さらに有利である。
第2回VinFuture賞とVinFuture Award Ceremony 2022は、ノミネートの量、質、適用性および実際的な影響に関するPrize Councilの予想をはるかに上回り、特に世界の科学界の目から見たベトナムの地位と科学的評判を確認するのに役立った。受賞者は、繁栄・公平・持続可能な世界を構築することを目標に、有意義な変化を促進し、人類に多様で並外れた進歩をもたらすことに焦点を当てた革新的な科学プロジェクトと技術を開発した。
2022年のVinFuture賞授賞式の終了後、直ちに第3回VinFuture賞のサイクルがスタートした。復活と再形成の使命を終えた後、2023年のVinFuture賞は「resilient and revolutionary(回復力のある革新的な)」世界の構築に貢献する科学技術の発明ないしイニシアチブの表彰を目的としている。VinFuture賞は、2023年1月9日午前7時(米東部標準時)から5月15日午前7時(米東部標準時)まで正式にノミネートを募集する。
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