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CHUV、CERN、THERYQが共同で世界初のがん放射線療法を実施

Centre Hospitalier Universitaire Vaudois (CHUV)
2022-11-28 18:25 1016

ローザンヌ、スイス, 2022年11月28日 /PRNewswire/ -- スイス・ローザンヌのヴォー州立大学病院(Centre Hospitalier Universitaire Vaudois:CHUV)、欧州素粒子物理学研究所(European Laboratory for Particle Physics:CERN)、THERYQ(ALCEN グループ)は、従来の治療に抵抗性のあるがんに対して超高エネルギー電子(VHEE)放射線を用いた革新的なFlash放射線治療装置を世界で初めて開発する契約を締結しました。CERNの技術に基づくこの装置は、CHUVに設置される予定です。

CHUV、CERN、THERYQが共同で世界初のがん放射線療法を実施
CHUV、CERN、THERYQが共同で世界初のがん放射線療法を実施

この開発は、放射線治療の効果を高め、患者に最大の利益をもたらすための非常に重要な希望となります。FLASH放射線治療は、照射時間を数ミリ秒にすることで、腫瘍への効果を高めつつ、副作用を大幅に軽減することができます。

このプログラムは、ビルテマ財団とのパートナーシップを持つISREC財団の事前の資金援助を受けており、2,580万スイスフランの独占寄付によって実現したものです。

今回の三者協定は、超高エネルギー電子線を使用するFLASH技術を用いた世界初の放射線治療装置の開発、計画、規制対応、組立てに関する協力について定めています。ALCENのヘルスケア事業部であるTHERYQが、CERNの技術を応用した小型のリニアック(線形加速器)を用いたこのユニークな装置を製造します。CHUVには、この技術を収容するための特別なバンカーが建設される予定です。

この装置は2年以内に稼働する予定です。最初の臨床試験は2025年に予定されています。

2,580万スイスフランの事前寄付
この大きな進展は、CERNとCHUVの間で2020年に開始された革新的なFLASH放射線治療臨床移行プログラムの継続の一環です。現在のフェーズは、2021年6月にISREC財団がビルテマ財団からの寄付を通じて2,580万スイスフランを支援することを発表し、その先行資金によって実現したものです。ISREC財団とビルテマ財団は、FLASHプログラムの初期段階も支援しており、初期拠出額は100万スイスフランでした。

CHUVFLASH放射線療法のパイオニアです

放射線療法は、化学療法、手術、免疫療法と並んで、癌治療の主要な形態の1つです。現在、がんの3分の1は従来の放射線療法に耐性があります。研究は、患者により忍容性が高い、より効果的な放射線療法の開発に焦点を当てています。

このような背景から、CHUVの放射線腫瘍科長であるJean Bourhis教授とそのチームは、FLASHと呼ばれる方法を開拓し、前臨床動物試験で素晴らしい結果を出しています。臨床移行を視野に入れて2020年にCHUVで開始されたパイロットプロジェクトでは、THERYQが製造したFLASHKNiFEという名前の最初のプロトタイプが設置され、深さ3cmまでの腫瘍のFLASH治療が可能になりました。

今日のマイルストーンは重要な前進を表しています。THERYQが製作するFLASHHDEEPツールは、CERNが開発した革新的な小型リニアック(線形加速器)技術を統合し、FLASHKNiFEの10~20倍となる100~200MeVの超高エネルギー電子ビーム(VHEE)を使用します。このパワーアップにより、深さ20cmまでのあらゆる種類のがんに対するFLASH治療が可能になります。

CERN 基礎研究からブレークスルー技術まで 

CERNは、FLASH放射線治療に必要となる100ミリ秒以下で超高エネルギー電子を大量に発生させるという課題に、CLIC(コンパクト・リニア・コライダー)技術をベースにした独自の加速器を設計して応えました。電子を加速して深さ20cmまでの腫瘍を治療することができ、コンパクトで一般的な病院のキャンパスに収まる大きさになる予定です。 

VHEE FLASH技術にはいくつかの利点があります。高エネルギー電子は、X線ではほぼ不可能な集束と方向づけが可能であり、CERNの電子加速器技術に基づく放射線治療装置は、現在の陽子線による治療施設よりも大幅にコンパクトで安価なものになる予定です。 

THERYQFLASH放射線治療を専門とする医療機器のリーディングカンパニー

THERYQは、PMB-ALCENのスピンオフで、リニアック(線形加速器)を組み込んだ放射線治療装置の設計と製造を専門とする革新的な医療技術企業です。 

2013年のFLASH効果に関する最初の研究から、2019年の最初の患者さんに対する皮膚がん治療成功まで、THERYQは特にCHUVとの長年のパートナーシップを通してFLASH療法の開発をサポートしてきました。同社は、表面の腫瘍や浅い腫瘍(3 cmまで)を治療する外部または術中FLASH放射線治療(10 MeV)用FLASHKNiFEを開発しました。

CHUVおよびCERNと共同で設計し、THERYQが製造するFLASHDEEPは、VHEE FLASH技術を使って深さ20cmまでのあらゆる種類の固形腫瘍を治療できる最初の装置となります。本装置は、腫瘍学における放射線治療の可能性を広げ、がん患者さんの新たな治療法を生み出すとともに、治療費の低減につながる可能性を秘めています。

THERYQは、CHUVに1号機を納入した後、FLASHDEEPを自社の製品群に加えることにしています。

CHUV 総裁のEckert教授 は次のように述べています:「大学病院であるCHUVは、研究に専心しています。FLASH 治療はこの分野で私たちを動かすイノベーションの精神を体現しています。患者さんに最も効果的な技術を提供したいとの思いから、私たちは、世界的な研究機関や最先端の産業界のパートナーと協力し、医学的、物理的、技術的な問題を解決し、がんと闘うための革新的な解決策を見出すために力を合わせました。

CHUVの放射線腫瘍科長であるJean Bourhis教授は、次のように述べています:FLASH技術は、放射線治療でがんを治す可能性を高めるための真の希望であり、今回のステージはこの分野で最初の重要な臨床開発を可能にします。」

CERNの加速器・技術担当ディレクターであるMike Lamontは、次のように述べています:CERNでは知識の移転を使命の一つとしており、素粒子物理学の領域外で社会全体の利益のために私たちのブレークスルーを応用することを、積極的に行っています。このコラボレーションは、CERNの技術や専門知識と、他の分野の専門家との強力なパートナーシップを組み合わせることで、いかに大きなインパクトが生まれるかを示しています。」

CERNのプロジェクトリーダーであるWalter Wuenschは、次のように述べています:「臨床用FLASH装置が開発され、大型で深部の腫瘍を高エネルギー電子で治療することができます。この設備はCLIC(コンパクト・リニア・コライダー)のために開発された加速器技術をベースにしており、一般的な病院のキャンパスに容易に収まる高性能でコンパクトな設備となっています。」. 

THERYQCEOであるLudovic Le Meunierは、次のように述べています:THERYQは、CHUVCERNとともに、このプロジェクトに専門知識と俊敏性を提供できることを光栄に思います。FLASHDEEPは、より長くがんと無縁の生活を送る患者さんの数を大幅に増やす可能性を秘めた、治療革命です。」 

ISREC 財団の会長であるPierre-Marie Glauser 教授は続けてこのように述べています: 「ISREC 財団はFLASH技術の開発に貢献する光栄をいただき、2016年からその活動を続けています。生物学者、物理学者、医師が緊密に連携するこの革新的で学際的なプロジェクトは、トランスレーショナルオンコロジーの研究を支援するという当財団の目的に完全に合致しています。本日、FLASHプログラムを効率性と実現性の新たなレベルへと導く、この決定的な一歩が実現したことを嬉しく思います。"

CHUVについて: CHUVは、ジュネーブ、ベルン、バーゼル、チューリッヒの病院とともに、スイスの5つの大学病院のうちの1つです。公的機関から委託された「ケア」「教育」「研究」の3つの基本的な使命を追求しています。
2021年、12,228人の従業員を擁するCHUVは51,205人の入院患者を受け入れ、入院日数は500,374日以上となりました。80,261人の救急患者を治療し、1,451,300人の外来診療を行い、3,177人の出産を受け入れました。年間予算は18億3,200万フランです。
医師の育成を確実にするため、CHUVはローザンヌ大学生物・医学部と密接に連携しています。また、レマン湖地域の他の大学機関(EPFL、ISREC、ルードヴィヒ・インスティテュ―ト、ジュネーブ大学)、ジュネーブ大学病院、さらにヴォー州病院連盟やヴォー州医学協会など他の病院、医療施設、機関とも連携しています。

2019年以降、CHUVはニューズウィーク誌の世界最高の病院の一つに挙げられています。
chuv.chCERNについて:
CERN(欧州原子核研究機構)は、素粒子物理学に関する世界有数の研究機関です。フランスとスイスの国境に位置し、ジュネーブに本部を置いています。その加盟国は、オーストリア、ベルギー、ブルガリア、チェコ協和国、デンマーク、フィンランド、フランス、ドイツ、ギリシャ、ハンガリー、イスラエル、イタリア、オランダ、ノルウェー、ポーランド、ポルトガル、ルーマニア、セルビア、スロバキア、スペイン、スウェーデン、スイス、および英国です。キプロス、エストニア、スロベニアは準加盟国であり、加盟の前段階にあります。クロアチア、インド、ラトビア、リトアニア、パキスタン、トルコ、ウクライナは準加盟国です。現在、日本と米国はオブザーバーの地位にあり、欧州連合とユネスコも同様です。ロシア連邦とJINRのオブザーバー資格は、それぞれ2022年3月8日、2022年3月25日のCERN理事会決議に従って停止されています。
home.cern

THERYQについて:
THERYQは南フランスに位置し、PMB-ALCENからスピンオフした、粒子線加速器および放射線治療システムに特化した革新的な医療技術企業です。プロジェクトマネジメント、研究開発、工業化、製造に関する本質的な専門知識を習得し、提供しています。THERYQはALCENのヘルスケア部門に属しています。

theryq-alcen.com ; pmb-alcen.com ; alcen.com

メディアコンタクト: 

Fatine Slaoui, Marketing & Communications Manager, THERYQ, fslaoui@theryq.com
+ 33 6 30 49 62 13

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ソース:
PMB-Alcen
CERN
Centre Hospitalier Universitaire Vaudois (CHUV)