【バンコク2022年10月3日PR Newswire=共同通信JBN】チュラロンコン大学理学部はこのほど、油を食べる微生物の研究から海上の流出油を除去するバイオ製品を開発し、環境の持続可能性に向けた産業規模での生産へと拡大する準備を整えた。
残留汚染物質をもたらす大規模な海上流出油は、経済、観光のほか、長期的には海洋に環境有害な影響をもたらす。1つの解決策が、チュラロンコン大学理学部の海洋汚染処理のための微生物学科先端微生物技術センター(Center of Excellence in Microbial Technology for Marine Pollution Treatment)がOnruthai Pinyakong准教授・博士の指導を受け、クリーンテクノロジーを用いて開発した油を食べる微生物バイオ製品である。
▽構想の原点
「油を食べる微生物」に着目したOnruthai Pinyakong准教授・博士は「通常、流出油の処理は、石油フェンスや生分解を伴う油分散剤などの物理的手段から始まるが、これは時間がかかり、予測不能である。だから仮に生分解過程速度を速めることができれば、大きな恩恵がもたらされるはずである」と語った。
▽タイ-高品質で多様な微生物の宝庫
生分解過程を加速させるには、長い貯蔵期間を持ったバイオ製品へと開発される、効果的に油を食べる十分な量の微生物を使わなければならない。
タイには高度な生態系の多様性がある。これは汚染物質を分解する微生物にとって恵まれた資源である。だから、汚染物質を食べ、微生物由来の界面活性剤を作り出す微生物が、海洋沈殿物やマングローブの森からの沈殿物、また石油炭化水素に汚染された水や土など、従来からの非常にさまざま生態系の汚染地から選び出された。そこでこれらは、分離された微生物が利用者や環境にとって病原性がなく、安全であることを確保しながら、培養され、増殖された。その後、分離された有害物質を消化する微生物、別名「油を食べる微生物」は3種類の実験製品に開発された。
*汚染された砂や土に適したすぐに使える液剤
*通気と生分解を進めながら、汚染された土や砂を処理するのに適した粒状の微生物製品
*汚染された水に適した微生物の固定化
▽研究を産業レベルの生産へと拡大
この研究は、国連の持続可能な開発目標(SDGs)に沿ったバイオ-循環型-グリーン(BCG)経済モデルを極めて重視している官民両分野から、幅広いフィードバックと支援を受けてきた。
海上流出油を除去するこうしたバイオ製品が商業規模の生産に到達し、利用できれば、真にクリーンテクノロジーを用いたBCG経済の一部となるだろう。研究チームは将来、これを投資家や当事者らに移転し、協力と開発を行っていく準備ができている。
詳細はhttps://www.chula.ac.th/en/highlight/84839/ を参照。