【ニューヨーク2022年5月6日PR Newswire＝共同通信JBN】臨床段階のエンドツーエンドの人工知能（AI）創薬企業Insilico Medicine（Insilico）は6日、メチルチオアデノシンホスホリラーゼ（MTAP）欠損がんの治療用にAIが設計した分子から、メチオニンアデノシルトランスフェラーゼ2A（MAT2A）を標的とする前臨床候補（PCC）を選定したと発表した。MAT2Aプログラムは、Insilicoがポートフォリオを拡充させるべく開発を進めている合成致死アセットの一部である。
MTAP欠損は、肺がん、膀胱がん、膵臓がんなどに見られる最も一般的な遺伝子欠損の1つで、予後不良と関連している。MAT2Aは、MTAP欠損がんにおける合成致死標的とされており、細胞の機能や生存に関わる分子S-アデノシルメチオニン（SAM）の生成に不可欠な役割を担っている。MAT2A阻害剤は、SAMのレベルを低下させ、PRMT5依存性mRNAスプライシングに影響を与え、DNA損傷を誘発することにより、MTAP欠損がん細胞に選択的抗増殖効果をもたらす。
InsilicoのPCCは、強力かつ選択的なMAT2A阻害剤である。良好な溶解性、浸透性を備えた優れた薬らしさ、動物モデルにおいて低用量での良好な有効性、前臨床試験において良好な安全性プロファイルを示した。
Insilico Medicine最高科学責任者のFeng Ren博士は「MAT2Aプログラムチームは、AIを活用することで、幅広いタイプのMTAP欠損がん細胞に対して高い選択性を持つPCC分子を発見できた。これは既知のMAT2A阻害剤との重要な相違点になると当社は考えている」「本剤は、拡充しつつある当社の合成致死パイプラインの中の2番目のPCCで、MATP欠損がん治療のための臨床試験に向け、本分子を治験薬（IND）にできるよう試験を進めている」と語った。
Insilicoは、創薬に関する深い専門知識を持つ科学者と、AIを活用した低分子設計・生成エンジン「Chemistry42」に支えられ、合成致死アセットの強力なポートフォリオを構築してきた。同社は4月中旬、相同組換え修復欠損のある腫瘍のUSP1を標的とする初の合成致死前臨床候補を発表した（https://en.prnasia.com/releases/apac/insilico-medicine-announces-advancement-of-its-preclinical-candidate-for-usp1-synthetic-lethality-target-to-ind-enabling-studies-for-various-oncological-disorders-357994.shtml）。Insilicoはこの成功に続き、MAT2Aプログラム開始後約12カ月で再び前臨床候補を発表した。
Insilicoの創業者兼最高経営責任者（CEO）のAlex Zhavoronkov博士は「今回のPCCで、当社のエンドツーエンドAI創薬プラットフォームを活用した合成致死ポートフォリオはさらに拡大した。今回の発見により当社は、非常に多くの満たされていないニーズがある浸潤性の高いがんの治療にAIの力を活用し続けていく」と語った。
Insilicoは、最先端領域でポートフォリオを拡充させるべく開発を進めている。同社は2021年2月以降、AIが発見した新構造の新規標的治療薬や、AIが設計した望ましい特性を持つ既知の標的治療薬など、7つのPCCを発表してきた。また、主力の線維症プログラムの第0相マイクロドーズ試験に成功し、第1相臨床試験入りさせ（https://en.prnasia.com/releases/apac/insilico-announces-successful-completion-of-phase-0-microdose-trial-and-initiates-phase-i-clinical-trial-for-its-first-ai-discovered-anti-fibrotic-product-candidate-with-novel-target-352573.shtml）、現在は健康なボランティアを対象に第1相臨床試験が行われている（https://en.prnasia.com/releases/apac/insilico-announces-successful-completion-of-phase-0-microdose-trial-and-initiates-phase-i-clinical-trial-for-its-first-ai-discovered-anti-fibrotic-product-candidate-with-novel-target-352573.shtml）。
▽Insilico Medicine（インシリコ・メディシン）について
臨床段階のエンドツーエンドの人工知能（AI）創薬企業Insilico Medicineは、次世代AIシステムを使い生物学、化学、臨床試験分析を結びつけている。同社は、深層生成モデル、強化学習、トランスフォーマー、その他の最新の機械学習技術を活用し、新たな標的を発見し、望ましい特性を持つ新たな分子構造を設計するAIプラットフォームを開発してきた。Insilico Medicineは、がん、線維症、免疫、中枢神経系（CNS）疾患、老化関連疾患用の革新的な医薬品を発見、開発するための画期的ソリューションを提供している。
