【ボストン2022年4月5日PR Newswire=共同通信JBN】
*取引は、薬剤耐性菌の脅威の高まりに対処するため2-4種類の新規抗菌薬を市場に投入する、AMRアクションファンドの目標に向けた重要な一歩
抗菌薬の開発に取り組むバイオテクノロジー企業に投資する世界最大の官民パートナーシップ、AMRアクションファンド(AMR Action Fund)は4日、Adaptive Phage Therapeutics(APT)とVenatorx Pharmaceuticalsに投資したと発表した。この取引は、同ファンドにとって初の投資で、世界保健機関(WHO)と米疾病対策センター(CDC)が特定した優先度の高い病原体に対する新たな治療法を市場に投入するという目標に向けた重要な一歩となる。
AMRアクションファンドのBill Burns理事長は「AMRアクションファンドは設立当初から、HIV/AIDSやマラリアより多くの人々が毎年命を落としている抗菌薬耐性(AMR)の脅威の増大に対処するため、緊急に必要とされている治療法を生み出し、長期にわたるイノベーションを促す投資先を特定することに注力してきた」「Adaptive Phage TherapeuticsとVenatorx Pharmaceuticalsを最初のポートフォリオ企業として迎えるのは、われわれがこの重要な使命の達成に向け順調に歩みを進めている証だ」と語った。
薬剤耐性菌感染症は、毎年、推定127万人の直接死因となっている。しかし、優先度の高い病原体を対象とする治療薬はほとんど開発されておらず、抗菌薬への投資は世界の健康安全保障に対する脅威に追いついていない。こうした問題意識を持つ国際製薬団体連合会(IFPMA)加盟の20社以上の製薬会社は、WHO、欧州投資銀行、ウェルカム・トラストと共に約10億ドルを調達し、AMRアクションファンドを立ち上げた。同ファンドは独立して運営され、10年以内に2-4種類の新規抗菌薬を患者に届けることを全体的目標として、バイオテクノロジー企業への株式投資を行う。
AMRアクションファンドのHenry Skinner最高経営責任者(CEO)は「Adaptive Phage TherapeuticsとVenatorx Pharmaceuticalsは、薬剤耐性感染症の治療状況を変える態勢を整えている」「これは当基金にとって大きな節目だが、活動は始まったばかりだ。当基金は今年、最も緊急性の高い、満たされていない臨床ニーズを満たす可能性のある、臨床的に際立った抗菌薬を開発している企業に1億ドル超の資金を投入する予定だ。また、世界中の患者が必要とする治療を受けられるようにするため、この先数年間、有望なバイオテクノロジー企業への投資を継続していく。相当な額の投資ではあるが、当基金だけではAMRというグローバルな課題に立ち向かうには不十分だ。世界中の政策立案者は今こそ、こうした緊急に必要とされている医薬品への投資をサポートする市場改革を実行に移すべきだ」と語った。
APTの手法は、細菌に感染して死滅させる自然発生ウイルスであるバクテリオファージ(ファージ)を体系的に発見、選択、カタログ化、キュレーションした、拡大し続けているライブラリーを活用し、優先度の高い多くの抗生物質耐性菌に対する幅広いカバーを総合的に提供する。独自の感受性アッセイによって患者の感染症治療に合うファージがAPTのファージバンクの中から選ばれ、人工関節感染症、骨感染症(骨髄炎)、肺感染症など、さまざまな感染症で試験が行われている。AMRアクションファンドのAPTへの投資は、Deerfield Management Companyが主導するシリーズBラウンドの延長として実行された。
APTのGreg Merril CEO兼共同創業者は「AMRアクションファンドの最初のポートフォリオ企業の1つになれたことを大変喜んでおり、彼らの科学や業界の専門知識を活用し、当社のファージベースの治療法を臨床試験へと進めていきたい」と語った。
Venatorx Pharmaceuticalsのパイプラインには、薬剤耐性グラム陰性菌をターゲットとした点滴静注用および経口用のベータ-ラクタム/ベータ-ラクタマーゼ阻害剤が含まれている。第III相段階にある同社の点滴静注用製剤セフェピム-タニボルバクタムは、複雑性尿路感染症(cUTI)、院内感染による細菌性肺炎、人工呼吸器関連細菌性肺炎の治療薬として開発が進められている。最近発表された第III相データでは、cUTI治療においてセフェピム-タニボルバクタムがメロペネムより優れていることが示された。AMRアクションファンドのVenatorxへの投資は、シリーズCラウンドの一部として実行され、Abingworth Managementが共同投資家として参加した。
Venatorx PharmaceuticalsのChris Burns社長兼CEOは「この最新の投資ラウンドにより、当社はセフェピム-タニボルバクタムの承認に向け態勢を強化するとともに、当社の他のパイプラインの製品の開発も推進できるようになった」と語った。
AMRアクションファンドのMartin Heidecker最高投資責任者は「Adaptive PhageとVenatorxへの投資は、われわれと同様に、薬剤耐性感染症の新たな治療法を追求している企業には大きな価値を生み出す可能性があると考える共同投資家との強力なパートナーシップの上に成り立っている」と付け加えた。
▽AMRアクションファンドについて
AMRアクションファンド(AMR Action Fund)は、抗菌治療薬に投資する世界最大の官民パートナーシップである。同ファンドは、新たな抗生物質を市場に送り出すため、臨床段階にある企業に10億米ドルを投資する予定である。同構想は、国際製薬団体連合会(IFPMA)とその加盟バイオ製薬会社が、世界保健機関(WHO)、欧州投資銀行、ウェルカム・トラストと共同で発案した。出資者は以下の通り。Almirall、アムジェン、バイエル、ベーリンガーインゲルハイム、ベーリンガーインゲルハイム財団、中外製薬、第一三共、エーザイ、イーライリリー、欧州投資銀行(2014-2020年の欧州連合(EU)の研究・イノベーションプログラム「Horizon 2020」に基づき、欧州委員会の支援を得て)、グラクソ・スミスクライン、ジョンソン・エンド・ジョンソン、レオ ファーマ、ルンドベック、Menarini、メルク、Merck KGaA(ドイツ・ダルムシュタット)、ノバルティス、ノボノルディスク、ノボノルディスク財団、ファイザー、ロシュ、塩野義製薬、武田薬品工業、テバ、UCB、ウェルカム・トラスト。
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