【重慶(中国)2021年12月24日PR Newswire=共同通信JBN】
Luye Pharma Groupは23日、新たな抗うつ薬であるアンソファキシン塩酸塩徐放錠(LY03005)の第2相臨床試験の有望なトップライン結果を中華医学会第19回全国精神医学会議で発表した。
LY03005は概ね、第2相臨床試験の初期結果に基づき、包括的な抗うつ効果とともに、良好な安全性プロファイルと忍容性を示した。特に、性機能および体重変化関連の重大な有害事象は認められず、傾眠の有意な増加も認められなかった。
LY03005は、新たな作用機序を有する新規化学物質(NCE)で、潜在的なセロトニン・ノルエピネフリン・ドーパミン再取り込み阻害薬(SNDRI/TRI)である。本剤は第1相から第3相までの臨床試験を完了し、現在、中国で新薬承認申請(NDA)段階にある。
今回発表されたのは、大うつ病性障害(MDD)に対するLY03005の有効性と安全性を予備的に評価し、最適な用量を探るために設計された多施設・無作為化・二重盲検・プラセボ対照・第2相試験のトップライン結果である。試験には260人のMDD患者が登録され、LY03005による治療群(40mg、80mg、120mg、160mgの用量)かプラセボを6週間投与する群に無作為に割り振られた。主な結果は次の通り:
* LY03005は主要評価項目を達成、良好な奏効率と寛解率を示した。
主要評価項目の結果は、6週間の治療後の17項目ハミルトンうつ病評価尺度(HAM-D17)総スコアのベースラインからの変化が、全てのLY03005投与群でプラセボと比較して統計的な有意差(P<0.05)を示した。
副次的評価項目については、LY03005は、全投与群において、ベースラインからのモンゴメリー・アスベルグうつ病評価尺度(MADRS)の総スコアの変化、6週間投与後のCGI-Iスコアの変化のいずれにおいてもプラセボより優れており、統計的な有意差(それぞれP<0.05、P<0.1)を示した。LY03005は、40mg、80mg、160mgの投与群において、CGI-Sスコアの変化率でプラセボより優れており、統計的な有意差を示した(P<0.05)。さらに、LY03005のMADRSに基づく奏効率(ベースラインからのMADRS総スコアの減少率が50%以上)は80mg投与群で68%、160mg投与群で71%、両投与群のMADRSに基づく寛解率(MADRS総スコアが12以下)はそれぞれ60%、56%で、同様に統計的な有意差を示した(P<0.1)。
* LY03005は不安や認知障害などの症状を改善する可能性を示した
副次的評価項目で、LY03005は40mg、80mg、160mgの投与群で、HAM-A総合スコア、HAM-A身体的不安因子スコア、HAM-D17不安・身体化因子スコアにおいてプラセボより優れており、統計的な有意差(P<0.1)を示した。さらに、HAM-A精神的不安因子スコア、HAM-D17認知障害因子スコアは、全ての投与群でベースラインからの低下傾向を示した。
* LY03005は、良好な安全性プロファイルと忍容性を示し、性機能、体重、睡眠に対する重大な悪影響は認められなかった
安全性データは次の通り:1) LY03005は良好な安全性プロファイルと忍容性を示し、有害事象のほとんどは軽度または中等度で持続期間が短く、治療中止に至ることはまれだった;2) アリゾナ性体験尺度(ASEX)スコアに関しては、LY03005とプラセボの間に有意差はなく、試験中に有害事象としての性的機能不全は認められなかった;3) 体重変化では、本試験で使用した薬剤に関連する、あるいは関連する可能性があると判断されたのは3例のみで、3例とも軽度あるいは中等度で、投与終了時には回復を示した;4) LY03005は、傾眠の発生ではプラセボと同様だった。
▽患者の完治は、治療に使用される薬剤が安全で忍容性が高く、総合的な抗うつ効果を持つ場合にのみ可能
LY03005の第2相臨床試験で治験責任医師を務めた北京大学第六医院のZhang Hongyan教授は「LY03005が示した臨床成績は、患者の抑うつ症状や機能障害を改善し、完治につながることを示している。本剤の良好な安全性プロファイルにより、患者は標準治療を最後まで受けやすくなり、より早く元の状態に戻ることができる」と語った。
うつ病の主な臨床症状には、抑うつ気分や気力の低下などの中核症状と、認知障害や性的障害などの随伴症状がある。抗うつ薬による治療を受けると、中核症状は改善するものの、残存する随伴症状によって社会生活機能が損なわれたり、うつ病の再発につながることさえある。Zhang教授は「うつ病の治療は、感情、身体、認知症状を含む全ての症状を完全に除去し、患者の生活の質の向上と社会生活機能の回復に取り組み、本当の意味での安定した完全回復を目指すべきだ」と付け加えた。
さらに、患者のコンプライアンス(服薬順守)不良も、うつ病の予後に影響を与える重要な要因の1つである。薬剤の安全性や忍容性は、患者がその薬剤による治療を受けようとする意欲にかなり影響を与える。忍容性がないために治療を中断する患者はかなり多く、中には最初から治療を拒否する患者もいて、治療成績が大きく損なわれている。性機能障害、体重増加、認知障害、鎮静、疲労など、薬剤によく見られる副作用に対処することが、治療コンプライアンスを高めるための鍵となる(注1)。
Luye Pharma Groupの非臨床研究担当副社長で、LY03005プロジェクトチームの責任者でもあるTian Jingwei博士は「5-HT/NE/DA TRIとして開発されたLY03005は、長期使用による社会生活機能障害や薬物不耐性など、満たされていない患者ニーズに対応するために設計された。当社はこれまでに終了した様々な試験に基づき、患者に対する本剤の多くの臨床的有用性を検証してきた。今後、さらに臨床試験を重ね、その治療能力をさらに引き出し、うつ病の患者ができるだけ早く元の生活に戻れるよう支援していく」と語った。
LY03005は、中国に加えて米国でもNDA段階に入っており、日本では第1相臨床試験を完了している。
▽アンソファキシン塩酸塩徐放錠(LY03005)について
LY03005は、Luye Pharma Groupが大うつ病性障害(MDD)の治療薬として、新規治療物質(NTE)・新規化学物質(NCE)プラットフォームで開発した中国のクラス1の新規化学薬品である。管内・体外試験、ならびにマイクロダイアリシス法による脳内試験により、LY03005はセロトニン・ノルエピネフリン・ドーパミン再取り込み阻害剤(SNDRI/TRI)であることが確認されている。
LY03005は、セロトニントランスポーター(SERT)、ノルエピネフリントランスポーター(NET)、ドーパミントランスポーター(DAT)と結合し、セロトニン(5-HT)、ノルエピネフリン(NE)、ドーパミン(DA)の再取込みを阻害する。本剤とその代謝物であるO-デスメチルベンラファキシン(ODV)は経口投与後、視床下部に同程度の濃度で選択的に分布し、SNDRI活性を発現する。LY03005の作用機序に関する研究は、世界的な学術誌Frontiers in Pharmacologyに掲載されている。
▽Luye Pharma Groupについて
Luye Pharma Groupは革新的な医薬品の研究開発、製造、販売に取り組む国際的な製薬企業である。同社は中国、米国、欧州に研究開発センターを設置し、中国で30超の医薬品候補、他の国際市場では10以上の医薬品候補の強力なパイプラインがある。米国、欧州、日本で中枢神経系や腫瘍治療領域の多くの新薬と新製剤の研究を進めるのと並行して、Luye Pharmaは、マイクロスフィア、リポソーム、経皮薬物送達システムを含む新たな薬物送達技術で高度な国際水準に到達し、さらに、生体抗体、細胞治療、遺伝子治療、その他の分野でも積極的に戦略的開発を行っている。
Luye Pharmaは、計30を超える生産ラインを持つ8つの製造施設から成る世界的なサプライチェーンを展開中で、適正製造基準(GMP)品質管理と国際標準管理システムを確立している。中枢神経系、腫瘍、心血管、代謝などの治療領域を対象とする30以上の製品を有し、最大の医薬品市場である中国、米国、欧州、日本をはじめ、急成長している新興市場を含む80を超える国や地域で事業を展開している。
参考文献
(注1)Li L, Ma X, et al. The guideline of depression prevention and treatment in China. 2. Beijing: Chinese Medical Multimedia Press; 2015. 106-107
ソース:Luye Pharma Group