*新設されたSustainable Tourism Global Center(STGC、持続可能な観光グローバルセンター)は、温室効果ガス排出ネットゼロを達成するという観光産業のコミットメントを示している
*元大統領から主要な機関に至るまで、グローバルセクターの大立者がCOP26でのSTGCの討議に参加
*STGCはネットゼロを達成し、自然を保護し、コミュニティーを支援するため、公共および民間の観光セクター間の協力増大を目指す
グラスゴー(英国), 2021年11月4日 /PRNewswire/ -- 国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議(COP26)のオーディエンスは3日、新たな連合組織が観光産業の温室効果ガス排出ネットゼロへの移行を加速することになると伝えられた。主要な観光デスティネーションの閣僚と国際機関のリーダーは、Sustainable Tourism Global Center(STGC、持続可能な観光グローバルセンター)を通じ、持続可能な旅行と観光産業を実現するための支援を表明している。
STGCは、観光産業の温室効果ガス排出ネットゼロへの移行を主導、加速、追跡し、自然を保護し、コミュニティーを支援する行動を推進するために設立された複数の国、複数の利害関係者の連合組織である。
観光産業は極めて細分化されており、発展途上国と小島嶼(とうしょ)開発途上国(SIDS)は自国経済を観光に最も依存している。4000万を超える観光事業、つまり業界全体の80%は、中小規模である。STGCは、環境を保護し、それを最も必要とする人々を支援するため、気候変動への観光の貢献を改革することにより、人々と地球を支援することを目指している。
COP26におけるSTGCの未来に関する特別セッションには、サウジアラビアのアハマド・ハティブ(Ahmed Al Khateeb)観光相、メキシコ元大統領でWorld Resources Institute(世界資源研究所)の理事、New Climate Economyの委員長であるフェリペ・カルデロン(Felipe Calderon)氏、David Livingston米気候変動担当大統領特使上級顧問などのリーダーたちが参加した。
STGCの戦略は、政府、国際機関、学界、多国間・融資機関、業界団体の連合体によって形作られる。
フェーズ1でこの重要な連合体への参加を招待された国は、英国、米国、フランス、日本、ドイツ、ケニア、ジャマイカ、モロッコ、スペイン、サウジアラビアである。これらの国々は、この重要なイニシアチブの相乗効果を可能にする気候、観光、中小企業を優先している。
STGCの形成とフェーズ1でのサービス提供を支援する上位組織は、WRI(世界資源研究所)、UNFCCC(国連気候変動枠組み条約)、UNEP(国連環境計画)、ICC(国際商業会議所)、WTTC(世界旅行ツーリズム協議会)、世界銀行、およびSYSTEMIQである。研究と能力開発を通じてSTGCを支援するハーバード大学に加え、UNFCCCは気候中立性に関する業界の行動を加速するようセンターを指導する。
STGCは、知識の創造・共有、測定・監視、業界の実施可能性など、3つの主要な柱にまたがるサービスと製品を提供する。STGCはこれらの柱全体で、観光セクター向け基準とリソース提供の開発、能力構築、プロジェクトの資金調達と投資など、業界サポートの少なくとも9つの分野に注力する。
STGCはサウジアラビアのリヤドに本社を置き、強力な多言語オンラインプレゼンスを備えた他の国々に地域事務所を開設する予定。
他の国々や組織は、フェーズ2への参加を招待される。さらに、この重要な取り組みを支援するため、観光と気候に関する世界的な専門家のグループが集まりつつある。
サウジアラビアのアハマド・ハティブ観光相は「COVID-19のパンデミックは、人類と自然の相互関係、および観光に依存するコミュニティーの外部の衝撃に対する脆弱性を世界に示した。われわれは今、業界と地域社会をはるかに回復力のあるものにし、気候変動の課題の解決を支援するために行動しなければならない。そのためには、行動を加速するために企業、政府、国際機関と連携する必要がある。サウジアラビアは、この重要な取り組みに貢献することにコミットしている」と語った。
メキシコ元大統領でWorld Resources Instituteの理事、New Climate Economyの委員長であるフェリペ・カルデロン氏は「われわれはこのイニシアチブを、パリ協定および持続可能な開発目標の達成に向けて観光を活用するというわれわれの使命に参加したグローバルリーダーと共有している。これらの重要な目標を推進するために企業と政府が一堂に会する絶好の機会が存在し、STGCはこの使命を達成するための『北極星』として機能する」と語った。
ジャマイカのエドムンド・バートレット(Edmund Bartlett)観光相は「ジャマイカ政府は、小島嶼開発途上国および脆弱な経済圏として、持続可能な観光を含む持続可能な開発のためのレジリエンス構築に引き続きコミットしている。この点で、ジャマイカはSustainable Tourism Global Centerと提携して、将来の世代のためにより良い地球を確保するための共同作業に貢献し、その恩恵を受ける機会を歓迎する」と語った。
英国のJanet Rogan中東・アフリカCOP地域大使は「わが国はCOP26を主催できることを誇りに思う。人類は気候変動について24時間体制で動いている。今こそ行動を起こす時である。観光業は雇用と成長を支える重要なセクターであり、このセクターのネットゼロへの移行を加速するためのこの重要かつ新たなイニシアチブに参加できることをうれしく思う」と語った。
モロッコのFatim-Zahra Ammor観光・手工芸・社会経済相は「モハメド6世陛下の指導の下、神が陛下を祝福してくださいますように、モロッコ王国は持続可能性を以前のセクター戦略と新しい開発モデルの主要な柱の1つに据えた。過去2年間、全世界がCOVID-19のパンデミックで深刻な打撃を受けており、観光業は最も影響を受けているセクターの1つである。旅行や観光活動に関連する持続可能な回復計画を構築・共同設計するためのわれわれの取り組みに参加することが重要である。Sustainable Tourism Global Centerは、この目標に向けた重要な一歩である」と語った。
ケニアのナジブ・バララ(Najib Balala)観光・野生生物相は「ケニアは、アフリカで最も人気のある海外からの訪問者のデスティネーションの1つとして、パンデミックの結果としての世界的な観光低迷の影響を完全に感じている。それゆえ、われわれはグローバルツーリズムへの新たな持続可能なアプローチが緊急に必要であることに同意する。気候変動の圧力の下で繁栄する自然生態系を確保する最近開始された野生生物戦略2030とともに、われわれはSustainable Tourism Global Centerを強力に支援している」と語った。
スペインのマリア・レジェス・マロト(Maria Reyes Maroto)産業・通商・観光相は「COP26は、気候変動という世界的な課題に貢献する観光業を支援するというわれわれのコミットメントを確認するための理想的な環境を提供している。スペインは観光業の世界的リーダーとして、自然環境の保全、同セクターのエネルギー効率改善、循環経済原則の採用を目的とした持続可能な観光業のイニシアチブを推進している。これにより、European Green Dealによって引き出されたグリーン移行への観光の貢献を加速する。スペインは、Planet's Sustainable Tourism Programmeなどの国際的イニシアチブの積極的なメンバーであり、他の国々、特に発展途上国、さらには国際機関や企業の代表者とグローバルレベルで協力する積極的なパートナーであり続ける」と語った。
World Travel & Tourism Council(WTTC、世界旅行ツーリズム協議会)のJulia Simpson会長兼最高経営責任者(CEO)は「気候の緊急事態に対処するためにリーダーシップが最も必要とされる時に、われわれは世界的な目標を達成し、持続可能な未来を確保するために観光セクターを支援するサウジアラビアのイニシアチブを賞賛する。WTTCは、世界中の企業からの独自のデータ、研究、専門知識を通じてSTGCに貢献できることをうれしく思う」と語った。
国際商業会議所のJohn W. H. Denton AO事務局長は「世界の観光セクター内の持続可能性を加速するための、多国間の、および複数の利害関係者の取り組みを称賛する。COVID-19が同セクターの強さに与えた影響を考えると、小規模な観光事業者が真に良い復興を実現し、地域社会と地球にとって強力な力となるためには、パートナーシップが不可欠である」と語った。
「国際商業会議所は、100カ国以上の4500万社を超える企業の組織代表として、また公式のUNFCCC Focal Point for Business and Industryとして、今後数カ月にこのハブの開発を支援し、その活動を世界的なビジネスネットワーク、特に観光セクターの何百万もの中小企業と結び付けることを楽しみにしている」
アハマド・ハティブ観光相のGloria Guevara首席特別顧問は「観光セクターはこのパンデミックを通じて多くのことを経験しており、気候変動への緊急を要する対応と相まって、グローバルな解決策が必要である。旅行代理店やツアーオペレーターのような観光セクターの中小企業は、カーボンフットプリントが何か、および「ゼロへの競争」に貢献する方法を知らないかもしれない。休日に旅行するたびに、雇用を創出し、貧困を削減する。休日に旅行に行けば行くほど、地球にとってより良いものとなるという点に到達するならば素晴らしいことだということになる。複数の国、複数の利害関係者の連合体は、観光業の細分化された利害関係者を結集させ、今行動を推進するための知識を提供する」と語った。
ハーバード大学環境・健康学部の首席調査員であるRamon Sanchez博士は「真に持続可能なグローバル観光産業を創出するため、全てのコミュニティー、企業、および政府の利害関係者は、この目的の達成に貢献するために必要なツール、フレームワーク、ベストプラクティスを必要としている。ハーバードのチームは、基盤を構築し、業界をネットゼロに向けて推進する上で重要な役割を果たす研究でSTGCと協力することをうれしく思っている」と語った。
パリ協定関連のセクター・トランスフォーメーションを専門とし、STGCを支援している世界的なアドバイザリー・投資企業であるSYSTEMIQのJeremy Oppenheim創設者は「STGCは、航空、ホスピタリティー、輸送、ケータリングサービスなど多くの観光関連セクターを、世界クラスの複数の利害関係者の連合体にまとめ上げることを目指している。この連合体は観光産業、中でも中小企業を、世界の温室効果ガスの8%を生成するものから、ネットゼロの再生世界の推進力であるものへと変革することをサポートすることができる」と語った。
国連気候変動枠組み条約Global Climate ActionのNiclas Svenningsenマネジャーは「観光は、気候変動に対して最も脆弱なセクターの1つであり、2030年の持続可能な開発アジェンダに最も貢献しなければならないセクターの1つである。気候変動対策は、持続可能な気候にやさしい方法で経済、コミュニティー、国々を回復するための双方にメリットのある機会を提供している」と語った。
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