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12.6億人が環境破壊による紛争や避難の最大のリスクにさらされている

Institute of Economics and Peace
2021-10-21 18:59 524

ロンドン, 2021年21月7日 /PRNewswire/ -- 国際的シンクタンク、Institute of Economics and Peace (IEP)は、本日、第2回Ecological Threat Report (ETR:エコロジーの脅威に関する報告書)を発表しました。

主要な内容

  • 環境脅威度スコアが最も低い15カ国のうち11カ国が紛争を抱えています。 残りの4カ国は平和が損なわれる危険が極めて高いとし、食糧状況の悪化と紛争との関係が浮彫りになりました。
  • 2050年には、世界の人口の半分が平和度が低い国に住むと言われています。 2020年の水準から13億人増加することになります。
  • 世界の世論調査によると中国では気候変動が深刻な脅威であると見ている国民はわずか23%で、世界で最も関心のない国の第7位となりました。
  • 2014年以降、食糧不足は44%増加しており、2020年の世界人口の30.4%が影響を受けています。今後もさらに増加する可能性があります。
  • 新型コロナ感染症(COVID-19)により食糧不足が深刻化し、難民も自国への帰国ができなりました。
  • 2020年の紛争が世界経済に与えた影響は$6,000億ドルに上っており、ETRによると紛争が激化する前にエコロジーホットスポットを救済する回復資金をCOP26が承認する必要があるとのことです。

ETRは、平和が著しく悪化した高リスクの国を見つけるため、食糧や水、人口増加、社会回復力など、エコロジーリスクに関する指標を幅広く分析しています。 

紛争とエコロジーの脅威

ETR 2021で明らかになったことは、エコロジーの悪化と紛争には循環的な関係があることです。 食糧不足が紛争を招き、さらに食糧供給が悪化するという悪循環に陥ります。 ETRスコアが最も低い15カ国のうち11カ国で紛争が起きています。 残りの4カ国は平和が損なわれる危険が極めて高いとされています。 このような循環を逆回転させない限り、さらに多くの国で紛争が起こる可能性があります。

悪循環を逆転させるためには、エコロジーや環境、社会回復力を改善するための体系的なアプローチが必要です。 つまり、現在行われている方法を再評価することが必要です。

今回の調査結果が示すとおり、2016年以降、栄養失調の人が徐々に上昇してきており、2050年には3.43億人に上ると予測されています。それにより紛争が発生する原因となっています。 FAOによると食糧不足は世界人口の30.4%にまで増加しています。[1]これは食糧不足が改善していた過去数十年のトレンドと逆光する現象です。 栄養失調は男性の方が深刻で、特にアフリカでは女性に比べ男性が痩せていることが分かっています。 発育も女子より男子の方が悪い状況です。

食糧不足、水不足、人口増加、自然災害によって社会崩壊の最大のリスクに晒されている地域は、 アフリカのサヘル・ホーン地帯(モーリタニアからソマリアまで)、南部アフリカ地帯(アンゴラからマダガスカルまで)、中東・中央アジア地帯(シリアからパキスタンまで)の3つの地域です。 これらの地域には早急な対応が必要となります。

サハラ以南のアフリカ地域は、食糧不足も深刻で人口の66%の人々が食糧不安を抱えており。 2050年には、サハラ以南のアフリカの人口は21億人になると予測されており、現在の人口から90%増加します。 また、社会回復力の測定では最も劣っています。

最近のイスラム過激派の増加に見られるように、サヘル地域は次に社会崩壊が起こりうる地域と言えます。 ナイジェリアとブルキナファソは現在、世界で最も平和不安のある国の一つであり(GPI測定)、ETRでも最悪のスコアです。

エコロジー脅威と移民

ホットスポットと言われる30の国々の人口は12.6億人で、エコロジーリスクが極めて高く、回復力の水準は低いことがETRの調査で分かりました。 これらの諸国は、エコロジーの脅威を緩和することや適応することができない可能性が高く、大規模な人の移動が起こると考えられます。

紛争による避難民の数は着実に増加しており、2020年にはホットスポット諸国の2,310万人が母国以外で生活しています。 ヨーロッパがホットスポット国からの避難民660万人を最も多く受け入れており、 この数はエコロジーの悪化や気候変動が平常化すると数千万人単位で増加すると考えられています。

Steve Killelea氏( Institute for Economics and PeaceFounder & Executive Chairman)は、次のように述べています。

COP26は、気候変動による生態系への脅威が大きく加速し、その対応に数兆円のコストがかかるようになる前に、今日のエコロジーの脅威に目を向けて対処する必要があることをリーダーらに考えてもらう絶好の機会となります

「これらの問題を解決するには、より体系的なアプローチが必要であり、その一つに開発機関を意識して統合させることも含まれます。 紛争、食糧と水の不足、人々の移動、ビジネス開発、健康、教育、そして気候変動の問題は相互に関連しています。これらの問題に対処するためには、まずこれらの問題が相互に関連しているということを認識する必要があります」。

気候変動に対する意識と対応

142カ国15万人以上を対象とした新しい世論調査によると、二酸化炭素を最も多く排出している国は、国民による気候変動への関心が低い国であることがわかりました。 また、これらの国は世界でも人口の多い国です。 中国では、気候変動が深刻で脅威であると考える国民はわずか23%、インドでは35%にとどまっています。 世界平均は49.8%で、男性のほうが女性よりも2%ほど関心が高いという結果でした[2]

これらの国の国民の賛同が得られなければ、気候変動への対策は期待できません。

意識が高いのはスペイン語圏とポルトガル語圏の国で、上位20位中12位を占めています。 紛争国のスコアは低く、イエメン、エチオピア、エジプト、ミャンマーが最も低いスコアとなりました。

米国は49.2%と世界平均に近く、英国は69.9%と比較的高いスコアでした。

男女間の格差が最も大きかったのは北欧のノルウェー、スウェーデン、フィンランドで、男性よりもそれぞれ21%、18%、13%と女性のスコアが高くなっています。

食糧不足

2014年から十分な食糧を確保できない人は年々世界で増えており、44%も増加しています。 食糧不安の増大は、平和の悪化と関連しており、 

2050には世界の食糧需要は50%増加すると予測されています。

COVID-19の感染拡大による都市や国境閉鎖により食糧不安が増幅しています。このような状況が経済成長の停滞を招き長期にわたり世界の飢餓に影響を及ぼす可能性が高くなります。

水問題

ETRでは2040までに水問題を抱える国々に54億人以上の人々が住むことになるとしています。 レバノンとヨルダンは最もリスクの高い国です。

サハラ以南のアフリカは、社会的回復力が最も低く、人口増加率が最も高い国です。 サハラ以南のアフリカでは、人口の70%が管理された安全な水を十分に利用できておらず、人口増加によってさらに厳しくなる一方です。

エコロジー回復力を高める

IEPは策定関係者60名と協力し世界のエコロジー回復力を高めるための政策の提言を行いました。 その中には、高リスク地域において、保健、食糧、水、難民救済、金融、農業、ビジネス開発を1つの機関にまとめることも含まれます。 これによって問題の解決には体系的に対処する必要が認識され、これらの地域のニーズに応じて十分なリソースを効果的に配分することや迅速な意思決定を行うことが可能になります。

軍の介入は必要な一方で、根本的なエコロジー問題を解決することはできません。 アフガニスタンに我々が学んだことは、綿密な計画により実行された開発と開発予算がなければ平和を得ることは不可能です。 タリバンがアフガニスタンの政権を掌握したことで、支出戦略が甘く紛争を軍事力で抑えるには限界があることを露呈しました。. 米国のアフガニスタンに対する連邦政府の支出総額は、$2.261兆と推定されており、アフガニスタンに住む市民の一人当たり$50,000となります。 この金額はアフガニスタンの平均年収の100倍以上にもなります。

詳細については、www.economicsandpeace.orgを参照してください。

*ETRスコアが最も悪い11カ国は、アフガニスタン、ナイジェリア、マダガスカル、マラウィ、ルワンダ、ブルンジ、グアテマラ、モザンビーク、パキスタン、アンゴラ、イエメンです。

編集者への注記

エコロジーの脅威に関する報告書(ETR)について

本報告書は、178の独立した州および地域を対象とするエコロジーの脅威に関する報告書(ETR)の第2回版です。ETRは、エコロジー回復力の測定値および現在利用できる総合的な生態学的データを独自に組み合わせ、現在および将来にわたって極端なエコロジー問題に対処する可能性が最も低い国に光を当てています。

方法論

ETRには、人口増加、水問題、食糧不足、干ばつ、洪水、サイクロン、気温上昇、海面上昇に関する最新かつ評価の高い科学的研究が含まれています。さらに、本報告書では、IEPのポジティブ・ピース・フレームワークを使用し、これら将来の問題に適応または対処するために必要な回復力が十分でない地域を特定しています。 報告書では世界銀行、世界資源研究所、食糧農業機関、国連、国連人権理事会、気候変動に関する政府間パネル、移民問題機関IEPなど、各種データを利用しています。

Institute for Economics and Peace(経済平和研究所)について

IEPは、国際的で独立したシンクタンクであり、人間の幸福および進歩に関する前向きで達成可能かつ具体的な指標として、世界の平和に焦点を当てています。IEPは、シドニー、ブリュッセル、ニューヨーク、ハーグ、メキシコシティ、ハラレにオフィスを所有しています。

[1] 国連食糧農業機関

[2] 分析IEP、Lloyds Register Foundation世界リスクの世論調査

 

 

 

ソース: Institute of Economics and Peace