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ブレークスルー賞の生命科学、基礎物理学、数学各部門受賞者を発表

The Breakthrough Prize
2021-09-11 03:08 1989

【サンフランシスコ2021年9月10日PR Newswire=共同通信JBN】

*Covid-19ワクチンにつながる発見、神経疾患の治療、前例のない正確な量子時計、その他の主要な発見に1575万ドルの賞金

*生命科学のブレークスルー賞はShankar Balasubramanian、David Klenerman、Pascal Mayerの3氏、Katalin Kariko、Drew Weissmanの両氏、およびJeffery W. Kelly氏に

*数学のブレークスルー賞は望月拓郎京都大学教授

*基礎物理学のブレークスルー賞は香取秀俊東京大学教授とJun Ye氏

*若手の物理学と数学の業績に6つのニューホライズン賞

*Maryam Mirzakhaniニューフロンティア賞の3賞は若手の女性数学者の業績に

*ライブ放送、テレビ中継される受賞者表彰の授賞式は、パンデミックにより2022年に延期

ブレークスルー賞財団(Breakthrough Prize Foundation)と創設出資者のSergey Brin、Priscilla Chan、Mark Zuckerberg、YuriとJulia Milner、Anne Wojcicki各氏は9日、第10回ブレークスルー賞(Breakthrough Prize)の受賞者を発表した。高く評価された受賞者と若手科学者のグループには、計1575万ドルの賞金が贈られた。

ブレークスルー賞は基礎物理学、生命科学、数学の画期的発見を認定する。世界最大の科学賞で、5つの主要ブレークスルー賞の賞金はそれぞれ300万ドル。従来、受賞者をたたえる授賞式はライブ放送、テレビ中継されてきたが、今年のプログラムはパンデミックにより2022年に延期された。

Covid-19への科学的、医学的対応は前例がなく、今年の賞の2つはその対応で大きな役割を果たしたブレークスルーに授与された。ファイザー/BioNTechとModernaが開発した革新的ワクチンは、Katalin Kariko、Drew Weissman両氏の数十年の研究に基づいて、ウイルスに効果的であることが証明された。広範な懐疑論にもかかわらず、mRNA治療の兆候を確信した彼らは、現在のコロナウイルスとの闘いに不可欠であるばかりか、HIV、がん、自己免疫、遺伝病など幅広い疾患に対する将来のワクチンと治療に大きな期待を抱かせる技術を生み出した。

一方、ほぼ同時のウイルス識別と特性評価、迅速なワクチン開発、新遺伝変異種のリアルタイム監視は、Shankar Balasubramanian、David Klenerman、Pascal Mayerの3氏が発明した次世代シークエンシング技術なくして不可能だった。彼らの発明前、完全なヒトゲノムのリシーケンシングは何カ月もかかり、コストも数百万ドルに及んだ。現在は1日以内、約600ドルのコストでできるようになった。これは生物学に革命をもたらし、予想外の遺伝的多様性の解明が可能になった。細胞と微生物叢の生物学から、生態学、法医学、個別化医療まで重大な影響がある。

Covidは危機だが、神経変性疾患との闘いは常に存在する緊急事態である。Jeffery W. Kelly氏は、心臓と神経系を侵すアミロイド症に苦しむ人々の生活に違いをもたらした。彼はタンパク質やトランスチレチンがほどけてクラスターに凝集し、細胞、組織、最終的には患者に死をもたらすメカニズムを示した。次に、タンパク質を安定させる分子的アプローチを考案、1000の候補分子を合成したところ、意図的に作られた分子の1つにこの安定を達成する適切な構造があった。その後、これらの疾患の進行を大幅に遅らせるタファミジス(tafamidis)という効果的薬剤の開発を支援した。彼はその過程で、タンパク質の集合が神経変性を引き起こし、それがアルツハイマー病など神経変性疾患に関連する見解の証拠を提出した。

科学の夜明け以来、精密測定の向上が発見につながってきた。香取秀俊、Jun Ye両氏はそれぞれの研究で時間測定の精度を3桁引き上げた。彼らの技法は卓上規模で原子を捉え、冷却して調査するレーザー、150億年稼働させても損失1秒以内という極めて正確な量子時計の製造に使われる。これらの光格子時計は、量子コンピューティングから地震学に対するアインシュタインの相対性理論の効果まで、技術的に応用できる可能性がある。また、基礎研究で相対性理論のような理論のチェック、重力波やダークマターなど新しい物理学の探索にも利用可能である。

実験主義者がますます向上する精度で物理的世界を調査する一方、数学者は刺激的な抽象的空間のフロンティアを探っている。望月拓郎氏は、連立方程式の解が幾何学的な対象として現れる代数幾何学のインターフェース、および、滑らかな表面が複数の複雑な次元で展開する微分幾何学を研究している。望月氏は多大な技術的、概念的課題を克服し、知識の境界を新領域の奥まで広げた。研究中の方程式の意味をなさないポイントまで、特異点のある種を含める対象holonomic D-modulesの理解を深めたのである。彼はその過程で、完全な基礎をフィールドに与え、基本的な長年の推測を解決した。

主な賞に加えて、賞金各10万ドルのニューホライズン賞(New Horizons Prize)がすでに各分野に大きな影響を与えている若手の科学者と数学者13人に授与された。さらに、3つのMaryam Mirzakhaniニューフロンティア賞(New Frontiers Prize)が若い女性数学者に与えられた。

若手の業績に対するニューホライズン賞、ニューフロンティア賞を含めて、今年は計1575万ドルが贈られた。この賞が設定されてから10年で、先駆的な科学者、数学者に授与された賞金総額は2億7650万ドルに上る。

受賞内容は次の通り。

▽2022年生命科学ブレークスルー賞

*Jeffery W. Kelly氏

スクリプス研究所(Scripps Research Institute)

受賞理由:神経変性および心臓トランスサイレチン(TTR)疾患の分子基盤の解明と、これら疾患の進行を遅らせる医薬品のタファミジス(tafamidis)の開発について。

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*Katalin Kariko氏

BioNTech/ペンシルベニア大学

*Drew Weissman氏

ペンシルベニア大学

受賞理由:実効性のあるCOVID-19ワクチンの迅速な開発を可能にした修飾RNA技術の操作について。

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*Shankar Balasubramanian氏

ケンブリッジ大学

*David Klenerman氏

ケンブリッジ大学

*Pascal Mayer氏

Alphanosos

受賞理由:科学と医学実務を変革した大規模でDNAシーケンスを究明するための安定して安価な手法の開発について。

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▽2022年基礎物理学ブレークスルー賞

*香取秀俊氏

東京大学/理化学研究所

*Jun Ye 氏

米国立標準技術研究所(National Institute of Standards and Technology)/コロラド大学

受賞理由:自然界の基本法則の精密検査を可能にした光格子時計の発明と開発への傑出した貢献について。

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▽2022年数学ブレークスルー賞

*望月 拓郎氏

京都大学

受賞理由:不特定特異点の事例を含む代数多様体にフラットコネクションを用い、バンドル理論に関するわれわれの認識においてブレークスルーへと導いた比類なき研究について。

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▽2022年物理学ニューホライズン賞

*Suchitra Sebastian 氏

ケンブリッジ大学

受賞理由:高温超伝導体と非従来型絶縁体についてのわれわれの認識を大きく変えた高精度の電子的および磁場測定について。

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*Alessandra Corsi 氏

テキサス工科大学

*Gregg Hallinan 氏

カリフォルニア工科大学

*Mansi Manoj Kasliwal氏

カリフォルニア工科大学

*Raffaella Margutti氏

カリフォルニア大学バークレー校

受賞理由:重力波源の電磁観測の基礎構築におけるリーダーシップと、最初に観測された2つの中性子星の衝突からの豊富な情報の引き出しにおけるリーダーシップについて。

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*Dominic Else 氏

ハーバード大学

Vedika Khemani

スタンフォード大学

*渡邉悠樹氏

東京大学

*Norman Y. Yao 氏

カリフォルニア大学バークレー校

受賞理由:時間結晶を含む非平衡量子問題の新段階を系統立てた先駆的な理論的研究について。

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▽2022年数学ニューホライズン賞

*Aaron Brown 氏

ノースウエスタン大学

*Sebastian Hurtado Salazar氏

シカゴ大学

受賞理由:Zimmerの推量の証明への貢献について。

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*Jack Thorne 氏

ケンブリッジ大学

受賞理由:代数的数理論の多様な領域への変革的な貢献と、とりわけJames Newton氏との協力による正則モジュラー新型式のすべての対称累乗の保型因子の証明について。

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*Jacob Tsimerman 氏

トロント大学

受賞理由:Andre-Oort およびGriffiths推量に関するブレークスルーを含む、解析的整数理論と数論的幾何学における傑出した研究について。

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▽2022年Maryam Mirzakhani ニューフロンティア賞

*Sarah Peluse 氏

プリンストン高等研究所/プリンストン大学(2019年スタンフォード大学博士)

受賞理由:とりわけ稠密集合における多項式型に関する数論的組み合わせ論と解析的整数論への貢献について。

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*Hong Wang 氏

カリフォルニア大学ロサンゼルス校(2019年マサチューセッツ工科大学博士)

受賞理由:制限予想、部分的平滑化予想および関連問題に関する進展について。

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*Yilin Wang 氏

マサチューセッツ工科大学(2019年スイス連邦工科大学チューリヒ校博士)

受賞理由:平面曲線のLoewnerエネルギーに関する革新的で広範囲にわたる研究について。

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▽ブレークスルー賞について

今年で10回目の「科学界のオスカー」として知られるブレークスルー賞は世界トップの科学者を表彰する。各賞の賞金は300万ドルで、生命科学、基礎物理学(各年1件)、数学(各年1件)の分野で贈呈される。さらに、物理学で最大3件のニューホライズン(New Horizon)賞、数学で最大3件のニューホライズン賞、最大3件のMaryam Mirzakhani ニューフロンティア(New Frontiers )賞が毎年、若手研究者に贈られる。受賞者は、業績を祝福するとともに次世代の科学者を励ます狙いがある授賞式に出席する。受賞式のスケジュールの一環として、受賞者は講演と討議のプログラムに参加する。

ブレークスルー賞はセルゲイ・ブリン(Sergey Brin)、プリシラ・チャン(Priscilla Chan)、マーク・ザッカーバーグ(Mark Zuckerberg)、ユーリとジュリア・ミルナー(Yuri/Julia Milner)、アン・ウォイッキ(Anne Wojcicki)の各氏によって創設された。同賞はまたセルゲイ・ブリン、プリシラ・チャン、マーク・ザッカーバーグ、マー・フアタン(Ma Huateng)、ジャック・マー(Jack Ma)、ユーリとジュリア・ミルナー、アン・ウォイッキの各氏が設立した個人財団によって後援されている。過去のブレークスルー賞各分野の受賞者で構成する選考委員会が受賞者を選ぶ。ブレークスルー賞に関する情報はbreakthroughprize.orgを参照。

▽メディア問い合わせ先

media@breakthroughprize.org

Rubenstein Communications, Inc.,

New York, New York

Janet Wootten,

jwootten@rubenstein.com

+1-212 -843-8024

Kristen Bothwell,

kbothwell@rubenstein.com

+1-212-843-9227

 

ソース: The Breakthrough Prize