ロッテルダム(オランダ)
2021年1月22日
/PRNewswire/ -- 5人のノーベル賞受賞者と100を超える国々の3000人以上の科学者が22日、気候変動に関する理解、計画、投資の仕方を変えて未来の被害を確実に限定するよう世界の指導者、意思決定者、投資家に呼び掛ける「Groningen Science Declaration(フロニンゲン科学宣言)」(https://gca.org/reports/global-scientists-call-for-economic-stimulus-to-address-climate-adaptation-and-covid/ )に署名した。署名は1月25-26日のバーチャルClimate Adaptation Summit(気候適応サミット)(CAS 2021)(https://www.cas2021.com/ )に先立って行われた。
Global Center on Adaptation(GCA、適応に関するグローバルセンター)のPatrick Verkooijen最高経営責任者(CEO)が提案した声明が公表され、初の「GCA State and Trends in Adaptation 2020(GCAの現状と動向2020)」報告書(https://gca.org/reports/state-and-trends-in-adaptation-report-2020/ )の数字は、気候適応が2020年にパーセンテージで1桁低下した模様で、世界の気候適応資金は気候リスク拡大への対応に必要な推定額を満たすのに10倍増の年間3000億ドルに増やす必要があることを示している。
フロニンゲン科学宣言で科学者たちは「COVID-19に対する適応と被害の軽減の失敗は、気候変動を軽減し、世界を適応させるために直ちに行動しなければ到来する混乱に匹敵する(・・・)対応を今強化し、適応しなければ、その結果は貧困の増大、水不足、農業の被害と人間の生活に巨大な犠牲を伴う移民の急増となる」と明言している。
第8代国連事務総長の潘基文Global Center on Adaptation議長は発表会で「パリ協定で示された軽減目標が達成されたとしても、まだ十分ではない。気候変動はすでに起こっており、その影響に適応しなければならない。フロニンゲン科学宣言は人類としてわれわれが気候変動を引き起こし、そのために誰も取り残されない持続可能で回復力のある世界でみんなが確実に生きていけるように適応を加速しなければならない」と述べた。
Global Center on AdaptationのPatrick Verkooijen CEOは「パンデミックの結果、われわれは衛生、経済、気候の連鎖危機に直面している。弾力性のある復興を支える対策を実施し、気候変動が自然と人類の適応能力を上回って加速する前に、今行動しなければならない。科学界はこの宣言の署名で、最大の危機であることを知っている」と語った。
2011年ノーベル平和賞受賞者タワックル・カルマン(Tawakkol Karman)博士の発言:「気候の危機は平和と安全保障に対する最大の脅威である。異常気象は加速し続け、海水面は上昇しており、人々は乏しい資源をめぐって争い、加速する環境悪化に対処する必要がある。もしすぐに行動し、適応しなければ、さらに大きな不安定、紛争、移民増加は不可避だろう」
2010年アルフレッド・ノーベル記念スウェーデン国立銀行経済学賞(ノーベル経済学賞)受賞者クリストファー・ピサリデス(Christopher Pissarides)教授の発言:「COVID-19危機は経済を破壊したが、これは間もなく歴史になるだろう。頻度を増して起こっている気候関連災害は、何もしなければ悪化する一方だ。経済はCOVID-19に対してと同様に、気候災害に弱い。このような災害への対処の仕方を改善し、被害を軽減する措置を取る必要がある。持続可能性への投資は優先されるべきだ。その投資は長期的により大きな利益をもたらすはずであり、通常、そうである。包摂的なグリーンジョブの創出を重視し、困窮している家庭を支援し、未来によりよく備える必要がある。政府がCOVID-19復興対策を通じて、グリーンジョブ創出と長期的に持続可能な成長に重点を置いて気候適応と多様な打撃からの回復力に投資することは、極めて重要である」
2011年ノーベル物理学賞受賞者ブライアン・シュミット(Brian Schmidt)教授の発言:「COVID-19はわれわれの環境がいかにもろいか、世界と生活様式がいかに根本的に迅速に影響され得るかを示した。しかし、この大流行は世界中の政府が国民と社会を守るために、科学と専門家の助言に耳を傾けることができることも示した。彼らは気候変動の科学について同じことをしつつある。すでにいつでも使える革新的な気候ソリューションに投資し、推進して新たな雇用を生み出し、経済を刺激し、明日の産業と商品を開発し、同時に、気候の復元力があり、気候にスマートで気候にとって正しい未来を構築する時だ」
2018年ノーベル物理学賞受賞者ドナ・ストリックランド(Donna Strickland)教授の発言:「気候変動への適応は、学際的な共同研究と政策担当者の関与を通じて最も成果が上がる専門知識の深さと広がりを要すると思う。光学界と協力して、ともに光学が気候変動の影響と改善の取り組みの有効性の評価に不可欠の役割を果たせることを公共政策担当者らに伝えてきた。科学者と技術者が政府の支援で革新的なセンサー技術の開発で協力すれば、気候変動対策で画期的な成果を生み出せるかもしれない」
同じくバーチャル発表式に出席した気候変動政府間パネル(IPCC)議長のHoesung Lee教授は「気候はすでに変動しており、過去の温室効果ガス排出の結果であるさらなる地球温暖化に対処するため適応する必要がある。しかし、適応には限界があることを理解しなければならず、未来の温暖化を限定できればできるほど、適応措置の成功の範囲は大きくなる」と述べた。
フロニンゲン大学学長のJouke de Vries教授は「当大学とフロニンゲン市はノーベル賞受賞者や他の高名な賓客を迎えて、科学宣言と発表会を開催できて光栄だ。当大学の教授、研究者、教育者、学生らは地元と地域、世界のグリーン移行に向けて、国内と国際的なパートナーらと休みなく取り組んでいる。気候変動の軽減が適応と密接につながっていることは明白であり、当大学の研究と修士課程はこれを反映し、人間の健康、行動科学、気候関連法規、クリーンエネルギーを重視している」と語った。
2001年アルフレッド・ノーベル記念スウェーデン国立銀行経済学賞(ノーベル経済学賞)受賞者のジョゼフ・スティグリッツ(Joseph Stiglitz)教授もバーチャル発表会でフロニンゲン科学宣言に署名した。
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