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たばこトランスフォーメーション指標で、 トップ15社のたばこ企業が危害軽減を進展させていないことが明らかに

The Foundation for a Smoke-Free World
2020-09-21 20:00 4285

指標では、これまでの進展が限定的であり、喫煙を終了させ、命を救うためにさらに変化が必要なことが示された

ニューヨーク, 2020年9月21日 /PRNewswire/ -- 本日、スモークフリー・ワールド財団の資金援助で実現された、たばこトランスフォーメーション指標(Tobacco Transformation Index)が初めて発表され、トップ15社のたばこ企業のほとんどで、紙巻きたばこや他の高リスクたばこ製品の段階的廃止、および喫煙者の低リスク代替品への移行が実質的に進展していないことが明らかになった。少数の企業グループが危害を低減することを公約し、それを支援するために多大な投資をしている。大多数の企業は、たばこの危害軽減についてそのような公約をしていない。世界の13億人の喫煙者のうち、800万人が毎年たばこ関連の疾患で命を落としていて、世界の健康に対するたばこのリスクは高い。成人の禁煙とたばこの危害軽減により、この先20年間の死亡者数が減少する可能性がある。


たばこトランスフォーメーション指標は初の試みであり、世界のトップ15社のたばこ企業(世界の紙巻きたばこ生産量の約90%を占める)の間で、たばこ危害軽減を支援するうえで実質的な進展をもたらす、各社の相対的なパフォーマンス、コミットメント、透明性をランク付けするものである。2020年の指標では、たばこ企業各社の2017年~2019年の戦略と管理、製品売上、資本配分、提供製品、マーケティング、およびロビイングと政策提言に関係する活動を評価している。

2020年たばこトランスフォーメーション指標では、1999年に紙巻きたばこ事業から脱却したスウェディッシュ・マッチが1位にランクインしている。総合順位では、フィリップモリス・インターナショナル、ブリティッシュアメリカン・タバコ・アルトリア、インペリアル・ブランズ、日本たばこ産業、KT&G、 ITC Ltd.、スウィッシャー・インターナショナル、タイ・タバコ専売公社、ベトナム・タバコ総公社、グダン・ガラム、ジャルム、イースタン・カンパニー、および中国煙草総公司がスウェディッシュ・マッチに続いている。

スモークフリー・ワールド財団の博士デレック・ヤチ代表は次のように述べている。「たばこトランスフォーメーション指標は、他のセクターで成功した指標に影響を受けており、その目標は、紙巻きたばこ市場から燃焼式たばこを排除し、変化を加速させ、不必要な疾患、死亡、およびそれが原因で非常に多くの人々にもたらされる悲惨な体験を軽減するために必要な、外圧と業界競争を刺激することである。社会、および上場のたばこ企業への投資の85%を占める銀行や年金ファンドなどの大規模機関投資家には、たばこ企業の経営陣に働きかけて、健康を大幅に改善する対策を推進する力がある」

業界のたばこ危害軽減の進展は不十分

2019年に、指標に含まれる15社のたばこ企業のうちの13社が、純売上高の95%以上を紙巻きたばこを含む高リスクたばこ製品に頼っている。2019年にスウェディッシュ・マッチのリスク低減製品の売上高は、同社の純売上高の44%に相当し、同様にフィリップモリス・インターナショナルが19%、ブリティッシュアメリカン・タバコとKT&Gがそれぞれ5%だった。2017年から2019年の期間に、15社の企業のうちの8社が、リスク低減製品への研究開発および設備投資支出に、高リスク製品への同投資額の最大10%を配分した。

指標の評価対象の2017年から2019年の期間に、ブリティッシュアメリカン・タバコ、日本たばこ産業、フィリップモリス・インターナショナル、KT&Gコーポレーションなどの数社の企業が、主に紙巻きたばこに従事する事業者の買収を行った。これらの買収は高頻度で実施され、喫煙率の最も高い低中所得国(LMIC)に集中している。

危害軽減を公約した6社では、マーケティング予算の30%から55%がいまだに紙巻きたばこを含む高リスク製品に充当されていた。「たばこ企業は依然としてマーケティング予算の相当額を高リスク製品に支出している。一方で、ひと握りの企業が若者の喫煙予防に重点を置く度合いを高めているが、これらの方針がどれほどの影響を及ぼすかはまだよくわからない」とヤチ博士は述べている。

世界における喫煙と毒性の無い煙たばこ製品の使用削減の総合的進展は、依然として遅々としている。進展を促すには、現在のたばこ規制の取り組みを補完する新戦略と新ツールが必要である。たばこの危害軽減戦略を通じて世界のたばこ産業を変革しようとする協調的な取り組みにより、喫煙者の現在の健康リスクが低減され、やがて完全な禁煙が実現される可能性がある。

国有たばこ企業は、紙巻きたばこの販売に注力

世界トップ15社のたばこ企業のうち9社は、たばこ危害軽減を実際に公約していないか、または高リスクたばこ製品の生産と販売を増大する目標を発表していることがわかった。上記のグループの中で中国煙草総公司(CNTC)、ベトナム・タバコ総公社、およびタイ・タバコ専売公社は、政府の完全所有の企業である。イースタン・タバコ・カンパニー(51%)、日本たばこ産業(33%)、およびITC Ltd.(24%)は部分的に政府が所有する企業である。

国際ビジネスと企業統治の研究者、ダニエル・マラン氏が執筆した最新の研究報告書、Contradictions and Conflicts(矛盾と利益相反)によると、世界の燃焼式紙巻きたばこ市場のおよそ50%が、世界保健機構の規制枠組み条約(以下「FCTC」という)に署名した、たばこ企業の所有者でもある政府によって支配されている。FCTCはたばこの需給を削減し、公衆衛生を改善するように策定されている。指標では、国に一定程度の所有権がある6社のうち5社が、下位の順位にならんでいる。国有たばこ企業が、健康を考慮して長期的に受託者ニーズに対処し、たばこ危害軽減にかじを取ったなら、自国民の健康に重大な影響をもたらすことができるだろう。

たばこ企業は高所得国で、リスク低減製品の取り組みに注力

リスク低減製品を提供している企業のほとんどが、喫煙率が比較的低く、紙巻きたばこの売上が減少傾向にある一部の中高所得国に自社の取り組みを注力している。3大多国籍企業のブリティッシュアメリカン・タバコ、日本たばこ産業、およびフィリップモリス・インターナショナルは、36か国を対象とする2020年の指標のうちの15か国の中高所得国に、リスク低減製品を共同で提供している。しかし、彼らのリスク低減の代替品は、3か国の低中所得国(LMIC)にしか届いていない。

「今度の初回たばこ変革指標によって、この産業が長い道のりの入り口にいることが浮き彫りになった。私たちは、すべてのたばこ企業が燃焼式紙巻きたばこ事業から撤退するときに、真の進展を見ることができる。これを実現するために、政府は移行を支援するより懸命な規制を実施する必要があり、WHOはたばこの危害軽減を積極的に支援するべきである。低中所得国での電子たばこと加熱たばこ製品の販売を禁止する団体の注意喚起などの禁止令は、答えではなく進展を阻害するだけである」とヤチ博士は語っている。

たばこトランスフォーメーション指標は、コンサルタント会社のユーロモニター・インターナショナルが財団から受け取った助成金を使用し、助言会社であるSustainAbility社が主催する独立諮問委員会とグローバルな利害関係者エンゲージメントプログラムのガイダンスを受けて、2019年から2020年にかけて定量的および定性的な調査レビューを行い、作成された。2020年指標は2017年から2019年の期間の35の主要指標の評価に基づいている。分析は2年に一度更新される。詳細情報はwww.tobaccotransformationindex.orgを参照のこと。

スモークフリー・ワールド財団は独立した組織で、内国歳入法第501(c)(3)条に基づく米国の非営利の民間財団である。現代の世代の喫煙を終了させることで世界の健康を増進することを使命としている。同財団は次の3本の柱に集中して使命を果たすことに懸命に取り組んでいる。健康・科学・テクノロジー; 農業トランスフォーメーション・イニシアチブ; 産業トランスフォーメーション。財団はPMI Global Services Inc. (以下「PMI」)から2018年と2019年にそれぞれ8000万米ドルの慈善助成金を受けている。財団の細則およびPMIとの誓約に基づき、財団は完全な独立を維持するとともに、PMIまたはその他の第三者による支配、暫定的な指示、または影響を受けずに、独自にすべての決定を行う。財団がPMIから慈善助成金を受けていることで、財団がいずれかのPMI製品を推奨することはない。財団の詳細情報は、www.smokefreeworld.orgを参照のこと。

問い合わせ先:
Nicole Bradley
Vice President of Communications
Nicole.Bradley@smokefreeworld.org


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ソース: The Foundation for a Smoke-Free World