レイキャビク, アイスランド, 2020年6月24日 /PRNewswire/ -- 共同通信JBN】Amgen(アムジェン)の子会社であるdeCODE Genetics(デコード・ジェネティクス)の科学者、およびアイスランドの医療機関、アイスランド大学、スウェーデンのカロリンスカ研究所の共同研究者は25日、ネイチャー誌にアイスランドと英国の3万人を超える自己免疫性甲状腺疾患患者と72万5000人の対照者を比較した研究論文を発表した。自己免疫性甲状腺疾患(AITD)は最も一般的な自己免疫疾患で、遺伝性が高い。科学者たちは、自己免疫性甲状腺疾患に関連する99の配列変異体を発見、そのうち84はかつては同疾患との関連性がなかった。
新たに発見された配列変異体の1つは、血液細胞や免疫細胞上のFLT3受容体(fms関連チロシンキナーゼ3)をコードする遺伝子にあり、いくつかの理由で非常に興味深い。
まず、自己免疫性甲状腺疾患や、全身性エリテマトーデス(SLE)、関節リウマチ(RA)、セリアック病といったその他の自己免疫疾患のリスクを大幅に増加させる。これらの疾患は全て自己抗体を特徴とし、男性よりも女性に多く見られる。さらに、これらの疾患の患者は、自己免疫性甲状腺疾患にもかかっていることが多い。
第2に、FLT3遺伝子の体細胞変異の活性化は急性骨髄性白血病(AML)と関連があることが知られている。このため科学者たちは、このFLT3生殖細胞変異体が、自己免疫疾患のリスクを高めるようにAMLのリスクにも影響を与えているかどうかをテストした。その結果、AMLのリスクはほぼ倍増させるものの、がん全体のリスクを高めるわけではないことが判明した。
第3に、遺伝子のイントロンにあり、コード配列に直接影響を与えないFLT3のこの変異体が、疾患リスクに非常に強い影響を与える可能性があることは、非常に注目に値する。変異体は転写産物の3分の1に終止コドンを導入し、その結果、タンパク質が機能するのに不可欠なキナーゼ部分のない短小タンパク質ができてしまうことが分かった。
最後に、FLT3のこの変異体は、体内の他のいくつかのタンパク質の血漿レベル、特にFLT3リガンドに影響を及ぼし、結果としてキャリアのレベルはほぼ2倍になる。この分子カップル、FLT3受容体とそのリガンドは、急性骨髄性白血病と免疫反応の両方で重要な血液細胞の発生に大きな役割を果たしている。従ってこの変異体は、リガンドレベルの代償的増加を通じて機能の獲得として作用する機能喪失型変異である。
deCODE Geneticsの科学者で、論文の筆頭著者であるサーディス・セヴァルスドッティル教授は「この報告は、自己免疫性甲状腺疾患に関するゲノムワイドな研究を通じて発見された、いくつかの自己免疫疾患の新たな主要リスク遺伝子、およびリスク変異体が遺伝子産物であるFLT3、さらにその結果、血中のFLT3受容体に対するリガンドレベルにどのような影響を与えるかを説明、それによってその機能の重要性を明らかにしている」と語った。
論文の上席著者であるdeCODE geneticsのカリ・ステファンソン最高経営責任者(CEO)は「この論文で示された発見は、ゲノミクス、トランスクリプトミクス、プロテオミクスの逐次適用をベースにしており、仮説に依拠せずにこれら3つのオミクスを組み合わせれば、人間の病気の研究に非常に強力なアプローチがもたらされることを示している」と語った。
アイスランドのレイキャビクを拠点とするdeCODEは、ヒトゲノムの分析と理解の世界的リーダーである。人類遺伝学の独自専門知識と、トランスクリプトミクス、集団プロテオミクス、膨大な量の表現型データに関する専門知識の蓄積を組み合わせることで、deCODEは数十の一般的疾患の危険因子を発見し、その病因に対する重要な洞察を提供してきた。疾患の遺伝的特徴を理解する目的は、その情報を使い、疾患の診断、治療、予防の新しい手段を生み出すことである。deCODEはAmgen(NASDAQ:AMGN)の完全子会社である。
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