【ワシントン2019年12月10日PR Newswire=共同通信JBN】
*山岳氷河由来の水資源系が世界中で最大19億人に影響を与えているという新たな考察が研究により判明
世界中の科学者が、地球の78の山岳氷河ベースの水系の評価を実施、初めて、隣接する低地コミュニティーに対する重要度順にランク付けし、将来の環境および社会経済的変化に対する脆弱性を評価した。山岳給水塔として知られるこうした水系は、氷河、積雪、湖、小川を介して水を貯蔵、運搬し、それにより貴重な水資源を世界人口の約4分の1に相当する19億の人々に供給している。
権威ある科学誌ネイチャーに発表された研究(https://www.nature.com/articles/s41586-019-1822-y%20 )は、世界の給水塔が、気候変動、人口増加、水資源の不適切な管理、およびその他の地政学的要因の脅威によって、多くのケースで極めて重大な危険にさらされている証拠を提供している。さらに執筆者らは、生態系と下流の人々の両方を守るため、山に限定した国際的な保全と気候変動への適応政策、戦略を策定することが不可欠だと結論付けている。
彼らの研究によれば、世界で最も頼りにされている山系はアジアのインダス給水塔である。ヒマラヤ山脈の広大な地域で構成され、アフガニスタン、中国、インド、パキスタンの一部が入るインダス給水塔も、最も脆弱な山系の1つである。他の大陸で上位にランクされた給水塔系は、南アンデス、ロッキー山脈、欧州アルプスである。
これら78の給水塔の重要性を判断するため、研究者たちは、これらの山系からの水の供給に対する下流コミュニティーの依存度を決定するさまざまな要因を分析した。彼らはまた、予測される将来の気候と社会経済的変化に基づき、水資源の脆弱性、ならびにそれらに依存する人々と生態系を評価した。
取り上げられた世界78の給水塔のうち、依存度の高い上位5つの山系は、大陸別にみると以下の通りである。
世界中の32人の科学者が執筆したこの研究は、アジアの高山の水と気候変動を長年にわたり研究してきたユトレヒト大学のウォルター・イマージール教授とアーサー・ルッツ博士が主導した。
イマージール氏は「われわれの研究のユニークな点は、貯水量と供給水量だけでなく、下流域が必要としている山岳水量と、これら山系とコミュニティーが今後数十年間に起こるであろう変化の数々に対してどれほど脆弱であるかを調べることで、給水塔の重要性を評価したことだ」と語った。ルッツ氏は「地球上の全ての氷河給水塔を評価することで、われわれは地域的および世界的な政治的課題のトップに置くべき重要な流域を特定した」と付言した。
この研究は、地球の重要な生命維持システムが直面する課題に光を当て、こうしたシステムの科学と調査をサポートし、世界中の指導者の地球を守るソリューションづくりの後押しをすることを目的とするパーペチュアルプラネット・パートナーシップの一環として、ナショナルジオグラフィックとロレックスのサポートを受けた。
ナショナルジオグラフィック協会のジョナサン・ベイリー副理事長兼主任研究員は「山は世界中で象徴的かつ神聖な場所だが、地球上の生命維持に山が果たしている重要な役割は十分理解されていない。この研究は、グローバルレベルおよびローカルレベルの意思決定者が、山系とそれらがもたらす資源、およびそれらに依存する人々を守るために取るべき行動の優先順位をつける役に立つはずだ」と語った。
詳細については、natgeo.com/PerpetualPlanet を参照。
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