【プリマスミーティング(米ペンシルベニア州)2019年4月2日PR Newswire=共同通信JBN】
*データは前臨床がんモデルにおけるInovioのdBiTE技術の腫瘍除去能力を実証
Inovio Pharmaceuticals, Inc.(NASDAQ: INO)は2日、同社の新たなDNAコード化二重特異性T細胞誘導(dBiTEs(TM))が前臨床試験で強力な抗腫瘍活性を生成したと発表した。結果は、アトランタで開催中の米国がん学会(AACR)年次総会でポスターとして発表された。この研究のために、Inovioはウィスター研究所の共同研究者と共に、卵巣がん、乳がん治療向けの治療モデルで試験されたHER2分子を標的とする新たなdBiTEを開発した。重要なのは、InovioのHER2 dBiTEをマウスに1回投与しただけで、従来のBiTEで見られるわずか数時間という短い半減期をはるかに超える4カ月にわたり、高レベルの対応BiTEが得られたことである。HER2 dBiTEは、HER2発現腫瘍細胞に対して効果的にT細胞傷害性を生じさせ、ほぼ完全な腫瘍除去をもたらした。B細胞特異的マーカーCD19を標的とすることによってB細胞がんを死滅させることができるInovioのCD19 dBiTEも発表された。
Inovioの社長兼最高経営責任者(CEO)であるJ・ジョゼフ・キム博士は「かみ砕いて言えば、dBiTEは腫瘍と、がんを死滅させるT細胞の両方に結合する両面テープのようなものだ。生成物を患者の体内で直接かつ効率的に発現させられれば、当社のdBiTEは最終的にBiTEの治療薬としての約束を果たすことができる。こうした有望な前臨床結果に基づき、われわれは迅速にdBiTE候補の臨床開発に向けて準備を進めつつ、当社の斬新なdBiTEプラットフォームを使用してより多くのがん腫瘍標的dBiTE候補を作成中である」と語った。
キム博士は「われわれはInovioの体内合成核酸発現プラットフォームを活用して、InovioのdBiTEをマウスに1回投与するだけで数カ月間、対応BiTEを高レベルで生成できることを示し、従来のBiTEに対する劇的な優位性を実証した。当社のCD19 dBiTEは、耐容性と安全性プロファイルの改善が見込まれており、複数のB細胞がんを治療し、CD19 CAR-T製品と有利に競合できる潜在力がある。同様にHER2 dBiTEは、乳がん、卵巣がん、胃がんといったHER2を発現する複数の固形腫瘍の治療に使用可能だ」と付言した。
BiTEは、がんの免疫療法の状況を一変させる可能性を秘めた人工の二重特異性モノクローナル抗体の一種である。それらは、がん細胞に対する宿主の免疫系、より具体的にはT細胞の細胞傷害性に指示を出す。BiTEは2つの結合ドメインを有する。一方のドメインは(HER2あるいはCD19発現細胞のような)標的腫瘍に結合し、他方のドメインはT細胞上のCD3分子に直接結合することによって免疫系を関与させる。この二重結合活性が、腫瘍を直接狙うT細胞活性化を促進し、その結果、死滅機能と腫瘍破壊がもたらされる。
従来のタンパク質ベースのBiTEの最大の欠点は、送達と発現である。BiTEの半減期は約2時間と短く、患者は治療レベルを維持するために数週間、連続的な静脈内注入を受ける必要があり、治療の順守がより困難になることで注入関連有害事象も高レベルで起きる。加えて、他の従来型のモノクローナル抗体と同様、これまでのBiTEもバイオリアクターで製造されており、通常、高価な大規模製造施設の開発と手間のかかる製造、ならびに不適切な製品の折り畳みや安定性への対処が必要になる。さらに、常に冷凍した状態で保存、配送しなければならない。こうした数々の困難さが、従来のBiTEの開発および商品化を制限してきており、現在市販されているライセンス製品は1つだけである(BLINCYTO(R)(blinatumomab))。
InovioのdBiTEは、InovioのdMAb(TM)プラットフォームを斬新に応用した。dBiTEとInovioのdMAbsは、いずれも2つの抗体フラグメントをコードした遺伝子操作されたDNA配列で構成されているため、多くの利点を共有している。InovioのCELLECTRA(R)送達デバイスで投与されると、患者自身の細胞が送達されたdBiTE配列によってコードされた機能的BiTESを製造する工場になる。
InovioのdBiTEは、生成物の発現がより優れており、入手のしやすさや投与、製造が簡単なため、従来のタンパク質ベースのBiTE療法より大きな潜在的利点をもたらす。Inovioは、単回投与でCELLECTRA(R)と共に送達されたdBiTE構成物が、マウスにおいて4カ月間、高レベルで生成物を発現することを実証した。InovioのdBiTEは、新たなプラスミドベクターと独自の製法を使用したシンプルな設計で開発されており、開発の迅速性、冷蔵時の長期にわたる製品安定性、有効で拡張性の高い製造、配置の容易さを可能にしている。
Inovioは今年初め、dMAbの最初の臨床試験を開始した。ビル&メリンダ・ゲイツ財団が全額出資しているこの試験の焦点は、ジカウイルス感染を予防あるいは治療するdMAb(INO-A002)の能力を評価することである。臨床結果は、感染症やがんにおけるInovioのdMAbおよびdBiTEプログラムを幅広く前進させるのに役立てられる。
▽InovioのdBiTEプログラムについて
InovioのdBiTEは、腫瘍表面に発現しているタンパク質を結合させることで、細胞傷害性T細胞を腫瘍に向かわせることができる。現在の前臨床モデルは、より野心的なBiTEプログラムを開始するには、DNA技術が有利な立場にある根拠を示している。腫瘍結合ドメインは、複数の標的と結合するように改変可能で、そのうちHER2とCD19を標的とする前臨床データが示される予定。これらのうち、CD19dBiTEはB細胞がんを標的として使用することができ、HER2dBiTEは進行した乳がん、卵巣がん、胃がん、食道がん、類内膜がんの治療に使用可能である。
▽Inovio Pharmaceuticals, Inc.について
Inovioは、がんと感染症の治療と予防を変革するDNAベースの免疫療法とワクチンの発見、開発、商品化に重点的に取り組む後期バイオテクノロジー企業である。Inovioは独自の技術プラットフォームを抗原シークエンシングとDNA送達に応用し、標的疾患に対する強力な免疫反応を活性化させている。この技術は生体内でのみ機能し、標的のがんや病原体に対する強力で完全に機能するT細胞と抗体反応を、絶え間なく活性化することが実証されている。Inovioの最先端臨床プログラムであるVGX-3100は、HPV関連頸部前がんの治療薬として第3相試験に入っている。また、HPV関連のがん、膀胱がん、膠芽細胞腫を標的とした免疫腫瘍プログラム開発が第2相試験中で、B型肝炎、ジカ、エボラ、MERS(中東呼吸器症候群)、HIV用のプラットフォーム開発プログラムもある。パートナーおよび共同研究者には、アストラゼネカ、Regeneron(リジェネロン)、Roche/Genentech(ロシュ/ジェネンテック)、ApolloBio Corporation、ウィスター研究所、ビル&メリンダ・ゲイツ財団、ペンシルベニア大学、パーカーがん免疫療法研究所、CEPI、米国防高等研究計画局(DARPA)、GeneOne Life Science、Plumbline Life Sciences、国立衛生研究所(NIH)、HIV Vaccines Trial Network、国立がん研究所、ウォルター・リード陸軍研究所、ドレクセル大学、ラバル大学が含まれている。詳細はwww.inovio.com を参照。
▽投資家問い合わせ先
Ben Matone
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▽メディア問い合わせ先
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+1 267-440-4211
ソース:Inovio Pharmaceuticals, Inc.