~AIによる効果を実感する一方、労働力の高齢化への懸念が際立つ~
東京、2024年4月26日 /PRNewswire/ -- 産業用オートメーションおよびデジタルトランスフォーメーションのグローバルリーダーであるロックウェル・オートメーションの日本法人、ロックウェル オートメーション ジャパン株式会社 (本社: 東京都中央区 代表取締役社長: 矢田 智巳、以下ロックウェル・オートメーション) は、本日、製造業が発展している17カ国で1,500社以上の製造部門を持つ企業を対象に実施した2024年の「スマートマニュファクチャリング報告書」より、日本で注目すべき結果を抜粋して発表しました。今年の日本の調査では、AIの投資対効果(以下ROI)、高齢社会への危機感が高まっていることを表す結果となっています。
日本に関連する調査結果概要
AIへの実装が進みROIを実感、プロセス最適化に期待
過去1年のROIの高い技術について質問したところ、日本でのトップ3は「クラウド・SaaS」(日本35.7%、世界平均25%)、「生成AI」(日本26.5%、世界平均21.0%)、「産業用PC」(日本21.9%、世界平均9.5%)という結果になりました。この1年AIの実装が進み、日本では他国より生成AIへの投資対効果を実感していることが読み取れます。
また、AIが2027年までに製造業務に影響を与える分野を質問したところ、日本でのトップ3は「プロセス最適化」(37.0%) 、「サイバーセキュリティ」(36.0%)、「持続可能性やESG関連の目標のコンプライアンスと追跡」(32.0%)となっていました。この質問については、世界での回答のトップ3は「品質管理」(38.7%)、「サイバーセキュリティ」(36.6%)、「プロセス最適化」(35.5%) となっていました。日本では、同じ質問で「品質管理」を選んだ回答は24.0%に留まり、項目別ランキングでは10位となっていました。
日本の製造部門では、既にさまざまな手段で高度化を進めてきた品質管理よりも、AIによる需給予測の精度向上などによる既存プロセスの最適化を通じた国際競争率向上に一層期待していることが考えられます。
高齢社会による労働力の高齢化への危機感
内閣府の公開した「令和5年版高齢社会白書」によると、日本では、2022年10月時点で65歳以上の人口割合が29%となっています。この数値は、世界銀行のデータからグローバルノートがまとめた資料によると、世界の高齢化率(高齢者人口比率) 国別ランキング・で2位の高齢社会となっています。
今回の調査で、今後1年間の労働力の支障となることについて質問したところ、世界では「チェンジマネジメント(新たなプロセスや技術に対し順応すること)」が1位になっている中、日本では同率で「労働力の高齢化」があげられ、1位になっています。世界レベルではこの項目は7位に留まっており、日本の製造部門における高齢化への焦りを示す結果になりました。
また、世界でも注目度が高く、日本でさらに高く注目された項目としては、スキルを持つ人材を含む人件費の上昇があがりました(第3位)。高齢化に伴い、熟練技術者等の取り合いが加速していることが想定されます。
また、世界でも同じような傾向があるものの、今後1年間の経営面での支障を聞いたところ、日本では「人材と各種リソースを効果的に管理すること」という回答が最も多く、37.0%に達しており(世界レベルでも1位、31.3%)、経営者目線でも人材面での課題が急務であることを表しています。なお、人材不足・熟練労働者不足への解決方法としては、日本では47%が、世界では42%が「労働市場でも人気のない単純タスクの自動化」を選んでいます。
日本におけるサイバーリスクへの注目の高まり
今回の調査では、特に日本でサイバーリスクへの注目が高いことも明らかになりました。
2024年のビジネスの成長に関連して、外部からの阻害点を質問したところ、45.0%の日本の回答者がサイバーリスクを選び、最も懸念点が高い点であることがわかりました。サイバーリスクは、世界的にも3番目に注目された懸念点でしたが(30.1%)、日本ではさらに注目度が高くなっています。
また、ビジネス成果を生み出すスマートマニュファクチュアリングの機能を尋ねた質問でも、日本ではサイバーセキュリティを選んだ回答が43.0%にのぼり、最も注目を集めた項目となりました。世界全体では、AI・機械学習がビジネス成果を生むとする回答が最も多かったことと比較すると、注目度の高さがわかります。
前述の通り、AIが2027年までに製造業務に影響を与える分野についても、日本ではサイバーが注目されていたことを考慮しても、さまざまなサイバー攻撃の報道などから、危機感が高まっている様子がうかがえます。
今後の課題は集めたデータの活用、世界と比較して進まない日本
今回調査対象とした企業に、収集したデータの中から効果的に使用できている割合を質問したところ、回答の中央値は43.6%と、半分以下となりました。なお、この数値は日本でさらに低い数値となっています。日本は、調査した17カ国中、「51-75%」「76-100%」を選んだ人の割合が2番目に少なく、データ活用の実感がますます低くなっていることがわかります。
背景としては、日本ではさまざまなソリューションをばらばらに導入していることより、データの蓄積から活用までがスムーズに行われていないことなどが想定されます。
調査方法について
調査期間:2023年9-10月
調査委託先:Sapio社
調査対象:日本を含む世界17カ国の製造部門を持つ1,567社のマネージャーまたは経営幹部
調査方法:オンライン調査
ロックウェル・オートメーションについて
ロックウェル・オートメーション (NYSE:ROK) は、産業用オートメーションおよびデジタルトランスフォーメーションのグローバルリーダーです。人々の創造力とテクノロジの潜在力を結びつけることで人の可能性を広げ、お客様の生産性を高め、地球に優しい技術を提供します。米国ウィスコンシン州ミルウォーキーに本社を置き、約29,000名のサポート要員が、世界100カ国以上の営業拠点でお客様をサポートしています。製造業におけるコネクテッドエンタープライズ実現の詳細は、当社ホームページをご覧ください。https://www.rockwellautomation.com/ja-jp