ソウル(韓国)、 2024年2月26日 /PRNewswire/ -- LGイノテック(代表ムン・ヒョクス)は26日、世界No.1の超精密光学設計技術を採用した自律走行用の「高性能ヒーティングカメラモジュール」を開発したと発表した。これによって自律走行用カメラモジュール市場の先取りに向けて拍車をかけていく戦略だ。
ヒーティングカメラは、従来の先進運転支援システム(ADAS)用カメラにヒーターを搭載した製品だ。安全な自律走行のために、完成車メーカーではヒーティングカメラの採用が必須になってきている。
極寒期は、車載カメラのレンズに霜が降りたり雪が付着したりすることで、車両周辺の障害物が検知されず、大きな事故につながる可能性がある。鮮明な映像を収集するためにヒーティングカメラが必要なのはそのためだ。
今回LGイノテックが開発した「高性能ヒーティングカメラモジュール」は、レンズの下部を直接加熱し、少ない電力を使用(最大4W)して速い速度で雪・霜を取り除く。
この製品を使用すると、レンズの解凍にかかる時間を従来の半分程度に短縮できる。
氷点下18度の極低温環境で実験を行った結果、LGイノテックの「高性能ヒーティングカメラモジュール」を使用した場合、わずか4分で凍りついたレンズの解像度が常温環境と同じレベルに回復することがわかった。その一方で、従来品は、同じ環境でレンズの霜を完全に取り除くまでに平均で約8分かかった。
LGイノテックが開発した「高性能ヒーティングカメラモジュール」には、高効率PTC(Positive Temperature Coefficient)素材が採用されているのが特徴だ。PTC素材は、温度が一定水準以上に上昇すると、自ら電流の量を減らして適正温度を保つ。
このような素材の温度制御性能を活かして、雪・霜の迅速な除去に最適な場所であるレンズの下部にヒーターを取り付けることができた。また、レンズを直接加熱した場合に過熱によってレンズの性能が低下する恐れも解消された。
現在発売されている従来品のほとんどは、PTCではなく、熱線素材が採用されている。PTC素材とは異なり、自己温度制御機能がないため、過熱防止用の温度制御回路をカメラモジュールに追加する必要がある。そのため、カメラモジュールのサイズが大きくなり、クライアント側にも設計変更の手間が発生する。
このような設計変更問題を最小限に抑えるため、熱線素材が採用されている一部の製品は、既存のカメラモジュールの上に取り付ける分離型ヒーターとして発売されたものもある。これは、カメラモジュール全体を加熱する「間接ヒーティング」方式が採用されたもので、「直接ヒーティング」に比べて時間がかかるだけでなく、熱損失が多いため、電力消費量が増えるというデメリットもある。
LGイノテックが開発した「高性能ヒーティングカメラモジュール」には、世界最高水準の超精密光学設計技術とカメラモジュールの組立技術が採用されている。
これにより、従来品の短所を補い、レンズとヒーターを一つのモジュールにまとめ、設計の自由度を高めている。カメラモジュールの空きスペースにPTCヒーターを搭載しただけでなく、カメラとヒーターへの入力電源を一体化しているため、ヒーターを取り付けてもカメラモジュールのサイズは従来品とほとんど変わらない。
そのため、クライアント側は、設計を変更することなく、既存のカメラモジュールの搭載位置にこの製品をそのまま搭載できる。
LGイノテックの関係者は、「『高性能ヒーティングカメラモジュール』は、1月のCES 2024で初公開され、脚光を浴びた製品だ」とし、「2027年の量産を目標に、世界中のクライアントを対象に積極的なプロモーション活動を展開している」と述べた。
ムン・ヒョクスCEOは、「LGイノテックはこれからも、独自のカメラモジュール技術力を活かして車載カメラモジュール・LiDAR・Radarなど差別化された顧客価値を提供する『自律走行用センシングソリューション事業』を強化し、未来モビリティ部品市場の攻略を加速する」と述べた。
一方、市場調査会社のS&Pグローバル(S&P Global)や内部分析によると、世界の車載カメラモジュール市場規模は、自律走行技術の高度化に伴い、2023年の約64億3,700万ドル(8兆6,000億ウォン)から2030年には100億3,000万ドル(13兆4,000億ウォン)へと、年平均6%で成長すると予想されている。