【深セン(中国)2023年8月7日PR Newswire=共同通信JBN】2023年7月は、記録上最も暑い月として、また、おそらく過去12万年で最も暑い月として記録される可能性があります。気候は温暖化しており、その結果、異常気象が発生する可能性が高まっています。従来の天気予報が正しく機能するには膨大なコンピューティング能力が必要です。現在、天気予報の方法を変える、AIを活用した新しい気象モデルが一般公開されています。
HUAWEI CLOUDが開発した天気予報AIモデルであるPangu-Weatherは、予報速度を1万倍向上させるとともに、より正確な天気予報を可能とし、全世界の天気予報にかかる時間をわずか数秒に短縮します。これにより、異常気象の早期予報と準備が容易になります。これらの結果は、査読済み科学出版物Nature(2023年7月5日刊行)に掲載されました。
Pangu-Weatherは、従来の数値予報手法よりも高精度な初のAI予報モデルであり、ECMWF(欧州中期予報センター)のウェブサイトで初めて無料で公開されています。これにより、世界の気象予報士、気象学者、気象愛好家、一般の人々に、Pangu Weatherモデルの10日間の世界の天気予報を表示するプラットフォームが提供されます。
▽従来の天気予報の「ゲームチェンジャー」
10日間の天気予報を利用できるようにすることに加え、ECMWFは2023年4月から7月までのPangu-WeatherとECMWF IFS(主要な世界的NWPシステム)が作成した予報を比較したリポートも発表しました。
このリポートによると、Pangu-Weatherのような機械学習(ML)手法の導入は、「伝統的な数値天気予報(NWP)手法の漸進的で緩慢な発展を大きく変えるもの」になる可能性があり、その予報スキルは10年間に約1日発展してきました(世界気象機関(WMO)による)。これは、標準的なNWPシステムで予報する際のコンピューティングコストが高いことが原因である可能性があります。MLモデルは、コンピューティングコストを大幅に削減し、精度の面で競争力の高い予報を実現することで、天気予報に革命を起こそうとしています。
HUAWEI CLOUD AI Fieldチーフサイエンティストで、IEEEフェローで、国際ユーラシア科学アカデミーの会員でもあるTian Qi博士は「天気予報がサイエンスコンピューティングの分野で最も重要なシナリオの1つであるのは、気象予報が極めて複雑なシステムであり、数学的および物理的知識のすべての側面をカバーするのは難しいためです。現在、Pangu-Weatherは主に予報システムの作業を完了しており、その主な機能は大気状態の変化を予測することです」と説明しています。
▽異常気象の予報で証明済みの高い精度
Pangu-Weatherモデルの予報機能は、2022年2月に欧州北西部を襲ったストーム・ユーニスや、2022年の夏に初めて英国がセ氏40度に達したときなどの極端な状況でテストされています。これら2つの例は、データ駆動型モデルが極端な気象状況を予測するとともに、中期予測のための指針を提供することもできます。
Pangu-Weather予報は、ジオポテンシャル、比湿、風速、気温をカバーします。これらの情報はすべて、気象システムの展開、暴風雨の進路、大気環境、気象パターンを予報するために重要です。Pangu-Weatherは、今年6番目の台風である台風カーヌン(Khanun)の進路予報にも使用されました。
ECMWFは長い間にわたり、世界の天気予報コミュニティーに対して、AIモデルを予報システムの追加コンポーネントとして使用し、気象の管理者を支援するAIモデルの長所と短所をさらに調査する取り組みを深めていただきたいと呼び掛けてきました。
Tian Qi博士は「私たちの最終目標は、AI技術を利用して既存の予報システムを強化する次世代の天気予報フレームワークを構築することです」と述べています。
ソース:Huawei