レイキャビク(アイスランド), 2022年10月25日 /PRNewswire/ -- アムジェンの子会社、deCODE geneticsの科学者らは24日、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)についての大規模な全ゲノム関連解析をネイチャー・ジェネティクス(Nature Genetics)誌に発表した。
NAFLDに関連する配列変異体が同定され、潜在的な薬物ターゲットとなることを指し示す、希少な保護機能喪失型変異体を含んでいた。血漿のプロテオーム解析は、NAFLDの病因についての洞察をさらに深めた。
NAFLDは増え続けている健康問題で、世界人口の最大25%に影響を及ぼすと推定されている。非アルコール性脂肪肝(NAFL)は、過度のアルコール消費などの特定可能な原因がなく肝臓の5%以上に脂肪がたまっている状態で、これがNAFLDの第1段階となる。NAFLは、非アルコール性脂肪肝炎(NASH)に進行しうるもので、さらに肝硬変や肝細胞がん(HCC)にも進行しうる。NAFLDは診断と監視が難しい場合があり、現在、利用可能な療法はない。したがって、潜在的な薬物ターゲットとバイオマーカーの同定が非常に重要になる。
NAFL、肝硬変およびHCCの大規模な全ゲノム関連解析が実施され、発現とプロテオームのデータを統合した結果が得られた。NAFLについては、36116の肝臓MRIから抽出したプロトン密度脂肪画分(PDFF)に加え、アイスランド、英国、米国、フィンランドからの9491の臨床例が利用された。科学者が発見した配列変異体のうち、アイスランドの集団で、まれで、機能を保護的に喪失したと予測された変異体がMTARC1とGPAMにあった。これは、MTARC1またはGPAMを抑制することが、NAFLまたはNASHの治療に役立つ可能性があることを示唆する。
血漿中で測定された何千ものタンパク質のレベルを分析したところ、疾患や疾患の進行、またはターゲットとの関与について、潜在的なバイオマーカーが同定された。また、プロテオーム解析のデータを用いて、NAFLと肝硬変を区別することができるモデルが構築された。したがって今回の結果は、NAFLDを評価・診断するための、非侵襲的ツールの開発に向けた道を提供するものだ。
さらに、52の他の表現型や形質との関連を調べることで、同定された変異体の多面的な効果を探った。BMIはNAFLDの最も一般的な危険因子の1つであり、長期的なPDFF測定により、NAFLD危険因子としてよく知られているPNPLA3のp.Ile148Metのキャリアは、非キャリアよりもBMIの変化の影響を受けやすいことが示唆された。
本研究は、NAFLDの遺伝的基盤に光を当てるために行われたこれまでで最大規模の研究であり、この結果がNAFLDに苦しむ患者を助ける診断ツールや治療法の開発に貢献することが期待される。
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