レイキャビク(アイスランド), 2021年12月3日 /PRNewswire/ -- 製薬会社Amgen(アムジェン)の子会社deCODE genetics(デコード・ジェネティクス)の研究者は、血漿中の大量のタンパク質のレベルを人口規模で測定し、遺伝子配列の多様性やRNAの発現に関するデータと組み合わせることで、ヒトの病気やその他の表現型に関する知見を飛躍的に高めることができるとの研究成果を、ネイチャー・ジェネティクス誌に2日掲載された研究論文で発表した。
deCODE geneticsの研究者は、血漿中の5000のタンパク質をマルチプレックス・プラットフォームで、人口規模で測定、その遺伝的決定要因とヒトの疾患やその他の形質との関係を解明した。これまでのタンパク質レベルの遺伝子研究は、今回発表された研究よりはるかに少ない人数か、はるかに少ない数のタンパク質で行われていた。
deCODE geneticsの研究者は、Somascanプロテオミクスアッセイで測定した血漿中のタンパク質レベルを用いて、アイスランド人3万5559人の2700万個の遺伝子配列上の変異と血漿中の4719個のタンパク質レベルとの関連を分析した。その結果、1万8084の遺伝子配列上の変異とタンパク質レベルとの間に関連があることが判明、そのうちの19%は全ゲノム配列解析で同定された希少変異との関連だった。全体として、関連性の93%は新規のものだった。さらに、これまでで最大規模の血漿プロテオミクス研究で報告されていた関連性のうち、Somascan法によるものの83%、抗体ベースのOlinkアッセイによるものの64%が再現された。
血漿中のタンパク質レベルと373の疾患やその他の形質との関連を調べたところ、25万7490の関連が得られた。また、遺伝子配列上の変異とタンパク質レベル、疾患やその他の形質との関連を統合したところ、疾患やその他の形質との関連が報告されている約5万の変異のうち、12%がタンパク質レベルとも関連していることが分かった。
論文の上席著者の1人でもあるdeCODE geneticsのKari Stefansson最高経営責任者(CEO)は「プロテオミクスは、ある遺伝子配列の変異が病気に及ぼす影響をどの遺伝子が担っているのかを明らかにするという、遺伝子研究の大きな課題の1つを解決するのに役立つ。さらに、プロテオームは、血液中のタンパク質レベルがイベントの前後の時間に応じて上がったり下がったりするため、時間を測る尺度にもなる」と語った。