【東京、シンガポール2021年12月2日PR Newswire=共同通信JBN】世界有数のバイオテクノロジー企業「ジェンスクリプト・バイオテック(GenScript Biotech Corporation)」(「ジェンスクリプト」、銘柄コード:1548.HK)と三重県を拠点とする創薬ベンチャー「バイオコモ株式会社」は1日、ジェンスクリプトのSARS-CoV-2代替ウイルス中和試験(sVNT)キット「cPass(TM)」を BC-PIV由来のSARS-Cov-2ワクチンの体外中和アッセイとして共同研究開発するプロジェクトの戦略的合意を発表した。ジェンスクリプトは、sVNTキットcPass(TM)とワクチン評価のための技術的専門知識の提供を担当する。両社は、日本におけるSARS-CoV-2ワクチン開発に向けたsVNTの用途拡大に協力して取り組む。
BC-PIVは、バイオコモと三重大学が共同開発した革新的な非伝染性ウイルスベクターで、組換え型ヒトパラインフルエンザ2型ウイルス(hPIV2)に由来する。SARS-CoV-2の経鼻ワクチンであるBC-PIVは、SARS-CoV-2に感染させたハムスターで、スパイクタンパクに対する高レベルの中和IgG抗体および粘膜IgA抗体を誘導、肺を完全に保護し、鼻甲介を実質的に完全に保護した。経鼻ワクチンBC-PIVは、SARS-CoV-2の感染・伝播に対抗する有望なワクチン候補となり得る。
三重大学とバイオコモは、この最新の研究成果を2021年11月17日、米科学誌「iScience」で発表した。この動物モデルでの素晴らしい結果は、SARS-CoV-2の感染・伝播に対する効果的なコロナウイルス経鼻ワクチンが生まれる可能性を示すもので、既存の承認済みワクチンとの重要な差別化要素となる。BC-PIVは、市販のワクチンの免疫力低下に対応するブースター接種に使用できる(注1)。本研究における阻害試験は、SARS-CoV-2代替中和(cPass(TM)キット)試験(ジェンスクリプト)のELISA法により、SARS-CoV-2 RBDとhACE2の相互作用について実施した(注1)。現在、鼻腔スプレーワクチンは、「次世代ワクチン」として使用するための競争が世界的に激化している。近い将来、三重大学とバイオコモは品質と安全性を確認するための次の段階の研究に入り、その後、1年以内に第I/II相臨床試験を行う予定。
中和抗体は、ワクチンの効果を判定するための重要なバイオマーカーの1つである。sVNTキットcPass(TM)は、従来の手間と時間のかかる複雑な検査法を使わずに、ワクチン接種者やCOVID-19感染後の個人の体内で機能している中和抗体を検出できる。このキットは、ほとんどの標準的な検査室で、短いターンアラウンドタイム(最長1時間)で実施できる。ハイスループット化や完全自動化された検査にも対応している。これにより、sVNTキットcPass(TM)は、ハイスループット環境下でのワクチンの有効性評価に理想的なツールとなる。ジェンスクリプトのsVNTキットcPass(TM)は、初めて市販されたSARS-CoV-2中和抗体検出キットで、シンガポール保健科学庁(HSA)の暫定承認、欧州のCE-IVDマーキング、米食品医薬品局(FDA)の緊急使用許可(EUA)を取得している。
バイオコモの福村正之代表取締役は「SARS-CoV-2ワクチンの開発を加速するために、ジェンスクリプトと協力する機会を得たことを大変喜んでいる。当社の使命は、感染症の治療や予防のための次世代ワクチンの技術や製品を育成し、人々がより長く、より健康的に生きられるようにするイノベーションに貢献することだ。ジェンスクリプトと協力して、新しい経鼻SARS-CoV-2コロナワクチンを開発し、このワクチンをできるだけ早く皆さんに届けられるよう努力していく」とコメントした。
ジェンスクリプトのJohnson Wangアジア太平洋地域担当プレジデントは「バイオコモと協力してSARS-CoV-2ワクチンの開発を加速できることをうれしく思う。ジェンスクリプトは、さまざまな分野で最先端の製品を提供し、独自の技術を使用することで、世界の研究開発の取り組みを加速させることに注力している。バイオコモのワクチン開発や臨床試験に関する豊富な経験と実績を生かせる今回の提携では、顧客のワールドクラスの専門家との協力や、ライフサイエンス研究における総合サービスの活用が可能になる。BC-PIV SARS-CoV-2ワクチンが成功を収め、早く人々に恩恵をもたらしてくれるよう期待している」と語った。
参照
(注 1)Ohtsuka et al., Non-propagative human parainfluenza virus type 2 nasal vaccine robustly protects the upper and lower airways against SARS-CoV-2, iScience (2021) https://doi.org/10.1016/j.isci.2021.103379
▽バイオコモ(BioComo)について
2008年5月、三重県に設立されたバイオテック企業であるバイオコモは、三重大学大学院医学系研究科感染症制御医学・分子遺伝学分野と共同で、新規かつ優位性のあるワクチン担体と免疫力を高めるアジュバントをつくるための最先端の技術プラットフォームを開発している。彼らは既に、高い有効性を持つ最先端のワクチン担体と新規アジュバント候補の開発に成功している。彼らの技術は、RSウイルス、エボラウイルス、インフルエンザウイルス、SARS-CoV-2などの感染症を予防する次世代ワクチンの製造に応用される。こうしたワクチンが、より早く、コスト効率良く製造できるようにもなる。BC-PIVはバイオコモの社名から命名したコア・プラットフォーム技術で、組換え型ヒトパラインフルエンザ2型ウイルス(hPIV2)ベクター由来の代表的なワクチン担体である。バイオコモは、世界的な感染症の脅威と悪性腫瘍の両方に対する新たなワクチンの開発に取り組んでいる。
詳細については、www.biocomo.jp を参照。
▽ジェンスクリプト・バイオテック(GenScript Biotech Corporation)について
ジェンスクリプト・バイオテック(GenScript Biotech Corporation)(銘柄コード:1548.HK)は、ライフサイエンスの研究開発と製造向けの世界有数の技術・サービスプロバイダーである。ジェンスクリプト・バイオテックは、確かな遺伝子合成技術をベースとして、ライフサイエンスサービス・製品プラットフォーム、バイオ医薬品受託製造開発機関(CDMO)プラットフォーム、グローバル細胞療法プラットフォーム、産業用合成バイオ製品プラットフォームの4つの主要プラットフォームに分かれている。
ジェンスクリプト・バイオテックは2002年に米ニュージャージー州で設立され、2015年に香港証券取引所に上場した。ジェンスクリプト・バイオテックは、米国、中国本土、香港、日本、シンガポール、オランダ、アイルランドに現地法人を置き、100を超える国と地域で事業を展開している。ジェンスクリプト・バイオテックは、10万を超える顧客にプレミアムで便利かつ信頼性の高いサービスと製品を提供している。
ジェンスクリプト・バイオテックには2021年6月30日現在、世界中に4500人以上の従業員がおり、そのうちの40%超が修士号か博士号あるいはその両方を取得している。さらにジェンスクリプト・バイオテックは、160を超える特許、600を超える特許出願、多数の企業秘密を含む数多くの知的財産権を保有している。
ジェンスクリプト・バイオテックは、「バイオテクノロジーを通じて人と自然をより健康にする」という企業理念のもと、世界で最も信頼できるバイオテック企業になることを目指している。2021年6月30日現在、ジェンスクリプト・バイオテックのサービスと製品は世界中の6万4700の査読付き専門誌論文で引用されている。
詳細については、ジェンスクリプト・バイオテックの公式ウェブサイトhttps://www.genscript.com を参照。