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Artmarket.com: Artpriceは2021年上半期において、デジタルトランスフォーメーションによる強化により、アート市場が健康危機から見事な回復を遂げたことを分析

Artmarket.com
2021-08-09 21:22 1704

パリ, 2021年8月9日 /PRNewswire/ -- 2021年の上半期には、アートオークション市場は、その活力すべてを取り戻すことに成功しました。順調にゆけば、9月にアートフェアが再開する見込みです。しかし、既存の体制を激しく揺さぶっているふたつの現象、すなわち、NFTのセンセーショナルな登場と、若手人気アーティスト作品の高額取引について、アートフェアはこうした大規模な変更が生じている市場に対応してゆく必要があります。コレクターたちは、ギャラリーを介さないとしても、「アート市場2.0」という投資を急いでいるように思えます。一方で、多くのアーティストたちはアート市場のデジタルトランスフォーメーションを利用したいと考えており、オークションハウスは、この「破滅的」とも思えるプロセスにぜひ参加したいと考えているようです。 

アート市場の健全性を表すArtpriceによる指標(2000年上半期~2021年上半期)オークション落札額、落札率、未落札率、最高価格(前期)

Artprice indicators of the art market’s health (H1 2000 - H1 2021)
Artprice indicators of the art market’s health (H1 2000 - H1 2021)

Photo - https://mma.prnasia.com/media2/1588299/artprice_indicators_of_the_art_market_health_h1_2000_and_h1_2021.jpg?p=medium600  

Artmarket.comのCEOであり、同社およびそのArtprice部門の創立者でもあるTherry Ehrmannは次のように述べています。「現在、2つのアート市場が共存しています。ひとつは有機的で、もうひとつは破滅的なものです。ひとつ目の市場は規定、美術館、ギャラリー、フェア、ビエンナーレなど、アートの伝統を重んじています。もうひとつの市場は、#metooや#blacklivesmatterなどの運動を通じて「公式の伝統」に挑んでおり、前途にある様々な政治的課題、気候問題、健康や技術的な課題に正面から目を向け、大幅に再構築されつつある世相を反映しています。 

この分析は、2021年上半期の変革に関する概要を示しています。「新しい」アート市場と「古い」アート市場の区分けは、純粋に論理的なものですが、一部の市場取引の根底にある現在のメカニズムを理解する助けとなります。これにより、BeepleのThe first 500 days(2021年)が、開始価格がたった100ドルだったにも関わらず、6900万ドルで落札された理由も理解できます。彼はギャラリーの経験がなく、展示会やオークションで結果を残したこともなかったため、市場のキープレーヤーたちの関心を集めてはいませんでした。しかし、インスタグラムに数百万人のフォロワーを持ち、伝統あるオークションハウスのクリスティーズから支援がありました。

美術品オークション落札額(2000年上半期~2021年上半期)
(創作期間別)

Fine Art auction turnover (H1 2000 - H1 2021)
Fine Art auction turnover (H1 2000 - H1 2021)

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新しく設定された市場で中核となる手頃な価格の作品 

2021年上半期に美術品オークションは69億ドルを生み出し、2019年上半期と比較すると3%増加しました。この業績は、健康上の危機的問題により、文化的なシーンのセグメント全体が依然として機能しておらず、実質的にそれが短期的な不確実性の原因となっていることを考えると、とても心強く感じられます。にもかかわらず、オークションハウスは、健康危機が生じる以前の10年間(2010年上半期~2019年上半期)、すなわち、国際的なアート市場に中国が台頭して以来の平均値に匹敵する落札額を生み出しました。 

この最新の回復状況は、記録的な取引数に基づいているため、より堅調なものとなっています。つまり、半年間で288,500のアート作品が売却され、2019年上半期と比較すると5%増加しました。販売ロット数が13%増加した1,000ドルから20,000ドルの価格帯をカバーする手頃なセグメントにおいては、特に目に見える増加を示しています。ハイエンド市場は今年の半年間にやや減速し、1~5,000万ドルで販売されているロットは、855ロット(2019年上半期)から843ロットへと1.4%縮小しました。 

需要の厳しさは、通常よりも極めて低迷した売れ残り率に裏付けられています。この指標は、需要と供給のバランスを反映しており、過去10間に32%と36%の間を上下しています。2021年の最初の6か月間で28%まで低下しているため、今後数ヶ月間は注意深く観察する必要があります。 

アート市場の1%を占めるBeeple

オンラインでの販売は、今やオークションハウスの戦略の重要な部分となっています。本年度のはじめ、アングロサクソン系の大手のクリスティーズ、サザビーズ、フィリップスは事業の半分強を電子化しました。258の美術品のセッションのうち、133はオンラインのみで行われました。これらの取引は、エントリーレベルとミッドレンジのロットの販売チャネルに用いているため、依然として、事業者の売上高の10分の1(9.3%)にとどまっています。 

しかし、販売会社により設定された自動化オンラインプラットフォームは、本質的には、ハイエンド市場において大きな可能性を有しており、NFTには最も適しています。事実、NFTはオンライン販売額の3分の1を占めており、2021年上半期の世界的なセカンダリーアート市場の2%に相当します。Beepleは、クリスティーズでの最初の販売で6,900万ドルを達成し、彼だけでは全体のちょうど1%を占めています!                     

この新しい市場は、Artpriceが指摘する破滅的な現象の中核を成すものであり、オークション業界での改革に向けた推進力となっています。Beepleの作品がクリスティーズで販売されてからひと月後、サザビーズでは、PakのThe Fungible Collection と題するNFT(非代替性トークン)が販売されました。10日後、Phillipsは初の第二世代のNFTとなるMad Dog JonesのReplicatorという作品を提供しましたが、それ自体がランダムにレプリカを生成するようデザインされています。 

戦後アートを凌ぐ現代アート

現代アートのセグメント(1945年以降生まれのアーティスト)は、2021年上半期に歴史的な実績を記録し、2019年上半期比で50%の増加となりました。現代アートのセグメント(-8%)と戦後アートのセグメント(-4%)は、健康危機が拡大する前のレベルにはまだ回復していません。 

このような状況によって現代アートの認知度が高まり、世界の美術品オークションの総売上高は20年前には3%でしたが、現在ではの23%を占めるようになりました。3億ドル以上(Andy Warholの2倍)を売り上げたJean-Michel Basquiatだけで、2021年上半期の世界の美術品オークション市場の4.3%を占めました。

2021年上半期における世界のオークション市場トップ10アーティスト

© Artprice.com

1.Pablo PICASSO(現代アート):352,169,000ドル

2.Jean-Michel BASQUIAT(コンテンポラリーアート):303,537,000ドル

3.Andy WARHOL(戦後):149,982,000ドル

4.Claude MONET(19世紀):131,638,000ドル

5.BANKSY (コンテンポラリーアート): 123,328,000ドル

6.ZAO Wou-Ki(現代アート):114,518,000ドル

7.Gerhard RICHTER(戦後):97,920,000ドル

8.Sandro BOTTICELLI(往年の巨匠):94,206,000ドル

9.奈良美智(コンテンポラリーアート):85,937,000ドル

10.ZHANG Daqian(現代アート):82,295,000ドル

Banksy、時代の象徴

47歳の匿名ストリートアーティストであるBanksyは、世界のアートオークション市場で最も成功したシグネチャーの5人のうちのひとりで、あらゆるクリエイティブな時代を結び合わせています!彼は、現存するアーティストの中で最も収益性が高く、しかも、Larry GagosianやDavid Zwirnerなどの支援を受けていません!詩的で皮肉のこもったBanksyの作品が公共のスペースに入り込むと、広く受け入れられ、彼はPest Control機関でアート市場に革命を生じさせて、何十万ものユニークで限定された作品の流通の認証と制御を行っています。

過去5年間において、Banksyのオークション落札額は桁違いに増加しています。2016年は300万ドル、2017年は700万ドル、2018年は1600万ドル、2019年は2900万ドル、2020年は6700万ドル、2021年上半期は1億2300万ドルです。ここ半年間で、913ロットがオークションで販売され、現在のBanksyはあらゆる価格帯をカバーしています。インスタグラムのフォロワー数は1100万人で、すでに将来の世代のコレクターたちも獲得しています。

2021年3月23日のチャリティーオークションでは、 キャンバス画のGame Changer(2020年)がクリスティーズの予想を超えて2,320万ドルというオークション新記録を達成しました。この作品への熱狂ぶりには、世相を反映した衝撃的な作品を求めるアート市場の嗜好が表れています。作品は幼い男の子がバットマンやスーパーマンの人形を放置して、「スーパーナース」の人形で遊んでいる様子を描いています。

勢いずく香港市場

2020年に成長が途絶えた香港のアート市場は、2期連続でかつてないほどの勢いを見せています。香港は今や、オークションで落札された美術品の平均価格が、世界で最も高額な都市となりました。上半期に販売された3,200ロットの美術品だけで総額9億6,200万ドルとなり、平均価格はおよそ300,000ドルです。この統計は、ロンドンやニューヨークの平均価格がそれぞれ32,000ドルや41,000ドルであることを考えると、香港は他の主要な都市のアート市場とは桁違いの状況であることが分かります。

香港では、Jean-Michel Basquiatの優れた絵画3点も注目を浴び、それぞれ3500万ドル以上の値をつけました。現在、クリスティーズとサザビーズはどちらも、それらアメリカ現代アートの傑作(ニューヨークのMoMAは、それらの作品がもっと手頃な価格だった時に入手し損ねたことを後悔している)がロンドンよりもアジアでより高値で販売されると確信しているようです。

中期的には、2021年上半期に総額12億ドル(香港の9億6,200万ドルをわずか21%上回る)を記録したイギリスに次いで世界で2番目の市場になる可能性が見えてきました。10年前、イギリスのセカンダリーアート市場は、香港よりも5倍近い規模(+380%)でした。しかし、イギリスはより多様なアート市場を保持しており、2021年上半期には、香港の10倍にあたる36,000の作品が販売されています。

現在、見積金額を実質的に上回る入札をする意欲的なバイヤーたちと共に、香港は超現代アート市場を加速させる役割を果たしています。ロンドンとニューヨークのオークショナーは香港を意識して価格を設定しないと、将来のアート市場のスーパースターたちの作品がすべてアジアで売られてしまうリスクにさらされています。 

数百万ドルの結果を叩き出す40歳以下のアーティスト

Matthew Wong(1984年~2019年)は亡くなってから2年ほど後に、62作品が、ニューヨーク、ロンドン、香港でオークションにかけられました。 

このアーティストの作品の価格に影響を与えた「国際的なラチェット機構」は、1980年以降に生まれた同世代の他のスーパースターたちの価格にも影響しているようです。Salman Toor、Avery Singer、Amoako Boafoのようなアーティストの価格は、驚くべきスピードで上昇しました。数か月も経たないうちに、国際的なアート市場において彼らの作品は不動のものとなりました。優れた才能と、時代を鋭く象徴する彼らの作品は、アメリカ、ヨーロッパ、アジアのコレクターたちから同時に熱烈な支持を受けてきました。 

1980年以降に生まれたアーティストのトップ5(2021年上半期)におけるオークション落札額の地域別内訳

1.Matthew Wong、3,000万ドル:香港(44%)、ニューヨーク(37%)、ロンドン(19%)

2.Avery Singer、1,050万ドル:香港(53%)、ニューヨーク(38%)、ロンドン(8%)

3.Salman Toor、790万ドル:ニューヨーク(45%)、ロンドン(28%)、香港(27%)

4.ロッカクアヤコ、720万ドル:香港(40%)、東京(35%)、台北(11%)

5.Amoako Boafo、500万ドル:ロンドン(35%)、ニューヨーク(33%)、香港(32%)

先述のとおり、日本人アーティストのロッカクアヤコ(1982年生まれ)による作品の売上げは、図式のとおりにはなっていません。キャンバスに描かれたカラフルな彼女のアクリル画は、熱烈な支持を受けて東南アジアで流通しており、2021年上半期には、44点の絵画が平均価格170,000ドルでオークションにかけられました。彼女の最高傑作は、最初はアムステルダムに拠点を置くデライブギャラリーが流通させましたが、ほとんどはアジアでのオークションで落札されています。

ブルーチップアーティストたちが持つ不動の強み

ニューヨークでは、Pablo PicassoのWoman Seated by the Window (1932年)が2年ぶりに1億ドルのラインを超えました。この結果は、買い手と売り手の双方が自信をよみがえらせたことを裏付けています。一連の金融危機や健康危機にもかかわらず、四半世紀の間に、Picassoの作品の価値は飛躍的に上昇し、真の評価を受けてきました。この絵画の価値は、1997年には750万ドルでしたが、2013年には4500万ドルへと上昇し、本年には最終的には1億340万ドルに達しました。 

2021年は、Sandro Botticelliの肖像画の販売(1月末)がついに行われ、ニューヨークのハイエンド市場においても好調なスタートを切りました。9,200万ドル以上の値がつけられたこの作品は、Leonardo da VinciのSalvatore Mundiに次ぐ歴史的巨匠のオークションの中では2番目の高値でした。しかしながら、この作品の販売から3年半以上が経ち、2017年11月にクリスタルオーブを持ったキリストの肖像画に支払った4億5000万ドルに対して多くの疑問が寄せられました。 

また、2021年の最初の半年間には、印象派の傑作(Monet、Van Gogh、Cézanne作)や、アメリカの抽象芸術や抒情抽象の傑作(Twombly、 Rothko、Chu Teh-Chun作など)が多数売却されました。それらの中には、著名な肖像画(WarholのDouble ElvisやLucien FreudのDavid Hockney)もありました。しかしこの期間は、とりわけNFTの最初の販売と非常に若いアーティストたちの顕著で記録的な価格に特徴付けられています。Artpriceは詳細を分析し、10月に行われるフリーズとFIACのアートフェアの際に刊行する現代アート市場報告でお伝えする予定です。 

画像:

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ソース: Artmarket.com