ニューヨーク
2021年3月12日
/PRNewswire/ --
COVID-19がパンデミックと宣言されてから1年、最高経営責任者(CEO)は世界の景気回復に記録的水準の楽観論を示し、世界のビジネスリーダーの76%は、2021年に経済成長が改善すると予測している。
PwCの第24回世界CEO意識調査(Annual Global CEO Survey)は、今年1月から2月にかけて100カ国・地域のCEO 5050人を対象に実施された。
成長への信頼を表明したCEOの比率は2020年の22%、2019年の42%から上昇し、2012年にこの質問が開始されてから最高水準の楽観論を示した。
世界経済成長に対するCEOの楽観論は特に北米と西欧で強く、それぞれ86%、76%の同地域のCEOが今後1年の世界成長改善を予測している。
PwC NetworkのBob Moritz会長は「人類の悲劇と広範な経済的困難の年のあとで、投資決断と従業員雇用の責任者が今後1年を控えめながら楽観しているのを見て勇気づけられる。CEOはワクチンの急速な開発と世界の多くの地域の展開に後押しされて、成長が回復すると信じている」と語った。
「CEOは激動のここ1年、拡大バランスシートに対処し、このような異常な状況でかじ取りを余儀なくされた従業員を支援しながら、何をどうするか再考、再設定しなければならなかった」
「CEOは今や2つの基本的課題に直面している。第1は、いかに多様な利害関係者との信頼を構築するかである。彼らのビジネスに対する期待はかつてなく高まっている。第2は、急激に変化する外部環境の中で、いかにビジネスを適応させて持続的成果を提供するかである。これを正しく理解する組織は、将来のショックに耐えられる強力で回復力があり、生産性の高いビジネスとして、パンデミックから抜け出す最適な場所に位置を占める」
▽CEOは収益の伸びが長期的平均に回復すると確信
CEOは自社のビジネス展望をより楽観している。今後12カ月の自社収益増の見通しについて、調査対象の約36%は「確信している」と回答した。2020年のCEOの27%から伸びた。
世界的な信頼は高まっているが、業界によって大きな違いがあり、パンデミックの影響を受けた消費者行動の程度の差を反映している。技術、電気通信部門のCEOは、それぞれ45%、43%と最高水準の信頼を示している。一方、輸送・物流(29%)、ホスピタビリティー・レジャー(27%)部門のCEOは、今後12カ月の収益増で最も信頼度が低くなっている。
▽米国はトップ成長国として中国に対するリードを拡大
調査によると、米国はCEOが今後12カ月に成長を期待するナンバー1市場として35%とリードを広げ、中国の28%を7ポイント上回った。2020年に米国は中国のわずか1ポイント上にすぎなかった。
新しい政治的展開と従来の緊張が米CEOの見方に影響を与えた。彼らは成長の原動力として中国重視を軽減し、2020年に比べてカナダとメキシコへの集中を増大した。これら2カ国に対する米CEOの関心は78%増加した。一方、中国のCEOは、主要輸出先の米国、ドイツ、日本などへの関心を高めていると回答した。
ドイツは17%で成長国リスト第3位を占め、EU離脱後の英国は4位(11%)に上昇、インド(8%)を上回った。日本もランクを上げ、最も魅力的な成長国の第6位になり、昨年その位置にあったオーストラリアにとって代わった。
▽COP26の年に気候変動への切迫した取り組みなし
気候変動に関心を示すCEOの比率は、2020年の24%から2021年は30%に上がった。これは、COP26(第26回気候変動枠組条約締約国会議)が今年英国のグラスゴーで開催される状況からみて、わずかな増加にすぎない。調査結果は、ほぼあらゆる形の脅威に対する不安増大の状況も反映している。気候変動は、CEOが成長への脅威とみる中で9位でしかない。
さらに、CEOの27%は、気候変動について「全く関心がない」か「さほど関心がない」と回答した。これは、パンデミックや過剰規制、サイバー脅威のようなほかの問題に比べて、気候変動を成長への差し迫った脅威とみていないためとみられる。
一方、調査対象のCEOの39%は、環境影響を「測定」するために自社がやるべきことがもっとあるとみている。そして43%は、それについて「報告」するためにやるべきことがもっとあるとし、ほかの情報開示分野に比べて大きな比率になっている。環境影響に関するより多くの優れた企業情報は、ネットゼロ経済達成に必要な変化を促進するカギになるため元気づけられる。
しかし、CEOの60%はまだ戦略リスク管理活動に気候リスク要因を入れておらず、気候変動がビジネスの物理・移行リスクを増大させているために懸念される。国レベルでは、インドや中国のように自然災害のリスクが高い国々のCEOは、気候変動リスクに準備ができていない方である。
CEOの23%はCOVID-19を受けて、持続可能性イニシアチブへの大幅な投資増額を計画しているが、CEOのほぼ3分の1は変更計画が全くない。
Bob Moritz氏は「今日われわれの世界が直面する最大の課題に取り組むため、われわれは意思決定推進のインセンティブを変える必要がある。これには、金融市場が経済的利益と短期的な価値だけではなく、より広い視野で価値を見る必要がある。そうすれば資本が適切な場所に流れる。優れて比較可能な非財務的企業報告も重要である。利害関係者は財務目標達成とともに、企業が社会と地球のために価値をいかに生み出しているか見ることができる。このことを理解する企業はそのブランドを強化し、利害関係者との信頼を構築する」と語った。
▽サイバー、税務政策、偽情報への不安が増加
驚くことではないが、パンデミックと健康危機(注1)が成長展望への脅威でリストのトップになり、2014年から全世界のCEOにとって長期にわたって最大の懸念事項だった過剰規制への不安を上回った。
デジタル化の高まりがサイバー脅威のリスクを増大させている。ランサムウエア攻撃などで2020年に大きく増加したサイバーセキュリティー事故とあいまって、サイバー脅威がリストの順位を大きく上げて懸念事項の第2位になった。これを挙げたCEOは2020年では33%だったが、それが47%になった。サイバー脅威はとりわけ北米と西欧のCEOから関心が高く、同地域のCEOはパンデミックよりも脅威と考えている。
CEOの懸念事項リストで急速に上昇しているのは選挙、評判、公衆衛生に影響を及ぼす偽情報(2020年の16%から28%に増加)の拡散で、社会全体にわたる信頼の低下を一層助長している。税務政策の不確実性は、2020年ではCEOの懸念事項としてはトップ10入りしておらず、これに関心を持っていたCEOは僅か19%だった。今年はその重要性が急激に高まって7位(31%)になった。CEOは明らかに政府の累積債務を注視し、事業税を引き上げる必要がありそうなことに気付きはじめている。
▽将来へのデジタル投資
デジタルトランスフォーメーションへの支出について問われたCEOの約半数(49%)は、10%またはそれ以上の支出増を予想した。サイバー攻撃への不安を述べるCEOの増加レベルにもかかわらず、明確な行動に反映されていない。デジタル投資の増加を計画するCEOの半数以下は、サイバーセキュリティーとデータプライバシーへの投資を10%またはそれ以上増加させる計画も策定している。
同時に、ますます多くの数のCEO(36%)は、彼らの労働力の競争力を高めるために自動化とテクノロジーを使用する計画であり、2016年に変更なしと答えたCEOの2倍の数になっている。
Bob Moritz氏は次のように付言した:「パンデミックが1年目を迎え、全世界でワクチン接種が広がりを見せる中、われわれは転換点にいる。どのような回復形態になるかは分からないが、われわれは以前と同じようなやり方に単純に戻れないことは明らかだ。必要とされる変化を達成するためにCEOは異なった考え方をして、より広い社会的影響に及ぼす自分の決定や行動を常に評価する必要がある。そのために彼らは、信頼を構築して利害関係者、社会、地球に持続可能な結果をもたらす道を策定するだろう」
備考:この報告のダウンロードは以下で
PwCは2021年1月と2月、100の国と地域の5050人のCEOを対象に調査を行った。回答者が3501人だった昨年の調査に比べて増加した。この報告の世界的・地域的な数字は1779人のCEOの副サンプルに基づき、国の名目GDPに比例し、CEOの見解が全ての主要地域を代表するものであることを確実にしている。国、国家、産業ごとのさらなる詳細については要請の上で入手可能である。
回答が世界および地域の数字として使用された1779人のCEOのうち、
当社は6主要地域のCEOとも掘り下げた対面式インタビューを行った。そうしたインタビューの一部はこの報告で引用されており、より詳細な記録は当社ウェブサイトhttps://www.strategy-business.com/inside-the-mind-of-the-ceo で閲覧できる。
▽PwCについて
PwCは、社会における信頼を築き、重要な課題を解決することを目的としている。われわれは、世界155カ国の法人のネットワークで、28万4000人以上のスタッフを擁し、高品質な保証、助言、税務のサービス提供にコミットしている。詳細とPwCへの要望については、www.pwc.com を参照。
PwCは、PwCネットワークおよび/ないしは独立法人である1社あるいはそれ以上のメンバーファームを意味している。詳細についてはwww.pwc.com/structure を参照。
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(注)New risk category this year: was last included in the survey in 2015(今年の新リスクカテゴリー:最新は2015年調査に含まれる)
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