レイキャビク, アイスランド, 2023年10月4日 /PRNewswire/ -- deCODE geneticsの研究チームは22日に発表した論文で、アフィニティーベースの方法で行われた血漿プロテオミクスの研究成果を明らかにしました。研究チームは、疾患やゲノム配列の多様性の観点からタンパク質を解析し、英バイオバンクとアイスランドの大規模集団サンプルで、2つのプラットフォームを使用した数千のタンパク質の測定値を比較しました。
製薬会社アムジェン(Amgen)の子会社であるdeCODE genetics(デコード・ジェネティクス)の研究チームは、血漿プロテオミクスがいかに疾患の理解に役立つかを22日、ネイチャー誌 の掲載論文で明らかにしました。研究チームは、血漿プロテオームに着目した本研究で、さまざまな疾患と特定のタンパク質のレベルとの関連性を見出しました。deCODE geneticsの研究者で論文の上席著者の1人であるPatrick Sulem氏は「住民単位の集団で数多くのタンパク質を測定することで、循環バイオマーカーの発見や疾患の早期発見が可能になります」と述べました。
研究チームはさらに、タンパク質レベルに影響を与える遺伝的要因を利用して、配列バリアント群と疾病の発病機序の間の生物学的関係も明らかにしました。deCODE geneticsの研究者Kari Stefansson氏は「配列バリアント群と疾患との生物学的関連は、理解しにくいことが多くあります。プロテオゲノミクスを解析に取り入れることで、疾病発症の分子メカニズムを明らかにすることができます」と話しています。
研究チームは、Olink Exploreプラットフォーム上で2941回の免疫測定を行い、英バイオバンクの欧州系、アフリカ系、アジア系の約5万人のデータを解析しました。データは、循環タンパク質バイオマーカーを研究している、アムジェンをはじめとするバイオ製薬会社13社のコンソーシアム「英バイオバンク製薬プロテオミクス・プロジェクト(UK Biobank Pharma Proteomics Project、UKB-PPP)」が作成しました。論文著者らは、SomaScanプラットフォーム上で4907回のアプタマーベースの免疫測定を行い、約4万人のアイスランド人のデータを解析した先行研究と、今回の研究結果を比較しました。その結果、配列バリアントとタンパク質レベルとの関連性を8万以上、疾患やその他の形質とタンパク質レベルとの関連性を50万以上同定しました。
研究チームが、両プラットフォームを用いて一部のサンプルを調べたところ、タンパク質レベルの測定値に相違が見られました。こうしたプラットフォーム間の相違は、循環疾患バイオマーカーの発見や、タンパク質レベルと疾患発現の両方に影響を与える遺伝的因子の検出に影響を与えていました。アイスランドと英国の大規模集団を精査することで、相当数の関連性を検出することができ、今回の比較を有意義なものにできました。論文著者らは、個々の測定をケースバイケースで検証することの有用性を強調しています。
論文の上席著者の1人であるdeCODE geneticsのKari Stefansson最高経営責任者(CEO)は「この2つのプロテオミクス・プラットフォームは、大規模なデータセットで何千ものタンパク質を同時に検査するには有用な手段ですが、個々のタンパク質については慎重な検証が必要です」と述べています。
アイスランドのレイキャビクを拠点とするdeCODEは、ヒトゲノムの解析と理解のグローバルリーダーです。deCODEは、独自の専門知識と人的資源を活用し、数十の一般的疾患の遺伝的危険因子を発見してきました。疾患の遺伝的特徴を理解する目的は、その情報を使って新たな疾患の診断、治療、予防法を生み出すことです。deCODEはアムジェン(NASDAQ:AMGN)の完全子会社です。
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